はじめに:計画を立てただけでは終わらない
前回の記事では、プロジェクトを成功させるための「計画の立て方」について学びました。
しかし、計画を立てただけでプロジェクトが順調に進むほど、現実は甘くありません。むしろ、ここからが本番です。
- チームメンバーに「大丈夫です」と言われたのに、リリース直前にタスクが大幅に遅れていることが判明する
- 一部のメンバーに作業が集中し、チーム全体が疲弊している
こんな状況に陥らないために、計画通りにプロジェクトを進めるための「進捗管理」が欠かせません。
この記事では、私と同じPM未経験者がまず知っておくべき、「見える化」をキーワードにした3つの進捗管理手法を解説します。
1. なぜ進捗管理は難しいのか?
進捗管理がうまくいかない最大の原因は、「状況がブラックボックス化している」ことにあります。
- 個々のタスクがどうなっているか見えない
- 誰が何に困っているか見えない
- プロジェクト全体が予定通りか見えない
これらの「見えない」状態が、問題を放置し、手戻りや手遅れを引き起こします。進捗管理の本当の目的は、単にタスクの進み具合を把握することではなく、問題を早期に発見し、手遅れになる前に対応することにあるのです。
2. チームの生産性を高める3つの「見える化」手法
進捗の「見える化」には、さまざまな手法があります。ここでは、特に効果的で始めやすい3つの手法を紹介します。
手法①:カンバン方式でタスクの流れを見る
カンバン方式は、「ToDo(やるべきこと)」「Doing(やっていること)」「Done(終わったこと)」のようにタスクを分類し、ボード上で管理する手法です。
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メリット
- タスクの停滞がひと目でわかる:Doingにタスクが溜まっていたら、それがボトルネックになっている可能性が高い。
- チームの状況が明確になる:誰が何に取り組んでいるか、チーム全員がすぐに把握できます。
手法②:デイリースタンドアップミーティングで課題を共有する
デイリースタンドアップミーティング(朝会)は、毎日短時間(10〜15分程度)で進捗を確認する会議です。
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効果的な進め方
- 「昨日やったこと」
- 「今日やること」
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「困っていること(阻害要因)」
この3つの項目に絞り、一人ひとりが簡潔に報告します。重要なのは、問題を早期に発見し、その場で解決策を議論しないこと。ミーティング後に別途時間を設けて話し合うことで、時間を効率的に使えます。
手法③:バーンダウンチャートで全体像を把握する
バーンダウンチャートは、プロジェクトの「残りタスク量」と「残り日数」をグラフで可視化する手法です。
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グラフの見方
- 理想曲線:プロジェクトが予定通りに進んだ場合の線。
- 実績曲線:実際のタスク消化状況を示す線。
- 遅延の発見:実績曲線が理想曲線より上にある場合、プロジェクトが遅れていることを示します。
バーンダウンチャートを使えば、プロジェクト全体が順調に進んでいるか、客観的に把握できるため、早い段階で対策を立てることができます。
まとめ:進捗管理はチームを「守る」ための盾
進捗管理は、単なる監視活動ではありません。それは、チームの努力を無駄にせず、疲弊から守るための重要な活動です。
今回紹介した「カンバン」「デイリースタンドアップ」「バーンダウンチャート」は、どれもすぐに実践できる強力な手法です。まずは小さなプロジェクトで試してみて、その効果を実感してみてください。
次回の記事では、計画と進捗管理の精度を左右する「タスクの見積もり」について、私が学んだことをシェアしたいと思います。
参考書籍
この記事は以下の書籍の内容を参考にしています。
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『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』
- 著者:橋本 将功
- 出版社:翔泳社