はじめに:計画や見積もりが完璧でも…
これまでの記事で、プロジェクトを成功に導くための「計画」「進捗管理」「見積もり」について学んできました。
しかし、どれだけ綿密に計画を立て、見積もりを頑張っても、プロジェクトには予期せぬトラブルはつきものです。
- 担当メンバーが急に病欠して、作業がストップした
- 外部サービスとの連携で、想定外の仕様変更が起きた
これらの「想定外」の出来事が、プロジェクトの計画を大きく狂わせ、チームを疲弊させてしまいます。
この記事では、そんな事態に備えるための「リスク管理」について、僕が本から学んだ4つのステップを解説します。
1. なぜリスク管理は必要なのか?
リスク管理は、単なる「トラブル対応」ではありません。その目的は、問題が起きる前に、その芽を摘んでおくことにあります。
正直、僕はリスク管理と聞くと、「大変そうだな…」と思っていました。でも、本を読んで、それが「想定外を想定内に変える」ための活動だと分かり、考え方が変わりました。
事前にリスクを特定し、対策を考えておくことで、いざ問題が起きたときでも、慌てずに対応できるようになるのです。
2. プロジェクトを安定させるリスク管理の4つのステップ
リスク管理は、以下の4つのステップで進めていきます。
ステップ1:リスクを特定する(Identifing)
まずは、プロジェクトに潜むあらゆるリスクを洗い出します。チームでブレインストーミングを行い、どんな問題が起こりうるかをリストアップしましょう。
- 技術的なリスク:新しい技術の習得が間に合わない、特定の技術に詳しいメンバーがいない
- 人的なリスク:メンバーの体調不良、モチベーションの低下
- 外部要因リスク:外部サービスの仕様変更、他部署との連携遅れ
ステップ2:リスクを評価する(Assessing)
次に、洗い出したリスクを評価します。すべてのリスクに同じように備えるのは非効率なので、**「発生確率」と「影響度」**の2つの軸で優先順位をつけます。
- 高確率・高影響:最優先で対策を立てるべきリスク
- 低確率・高影響:万が一に備えて、対策を考えておくべきリスク
ステップ3:リスクの対策を立てる(Responding)
評価したリスクに対して、具体的な対策を考えます。対策には、主に4つの戦略があります。
- 回避(Avoid):リスクそのものを取り除く(例:新しい技術の使用を諦め、慣れた技術を使う)
- 転嫁(Transfer):リスクを他者に移す(例:外部サービスを利用する、詳しいメンバーに相談する)
- 軽減(Mitigate):リスクの影響を小さくする(例:代替案を用意しておく、簡単なプロトタイプを先に作る)
- 受容(Accept):リスクを受け入れる(例:万が一に備えてスケジュールにバッファを設けておく)
ステップ4:リスクを監視する(Monitoring)
リスク管理表を一度作ったら終わりではありません。プロジェクトの状況は常に変化するため、洗い出したリスクも日々変わります。
定期的にチームでリスクリストを見直し、新しいリスクがないか、すでに発生したリスクはないかを確認する習慣をつけましょう。デイリースタンドアップミーティングなどで、**「何か懸念事項はないか?」**と共有するのも効果的です。
3. 【実践】リスク管理表を作ってみよう
僕が本で学んだことをもとに、簡単なリスク管理表のテンプレート例を作ってみました。これをGoogleスプレッドシートなどに貼り付けて、すぐに実践してみてください。
(ここに、リスク管理表の画像と、スプレッドシートのテンプレートリンクを貼り付けてください)
まとめ:リスク管理は「安心」を生む活動
リスク管理は、チームにプレッシャーを与える活動ではなく、むしろ「安心感」を生むための活動です。
予期せぬトラブルに備えておくことで、チームはより安心して開発に集中できます。計画・進捗管理と合わせて、リスク管理をプロジェクトの習慣にしていきましょう。
次回の記事で、いよいよ最終回です。これまでの知識を総動員して、良いプロジェクトマネジメントの本質について解説します。
参考書籍
この記事は以下の書籍の内容を参考にしています。
-
『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』
- 著者:橋本 将功
- 出版社:翔泳社