1.はじめに
こんにちは!
エンジニアの皆さん、最新技術のキャッチアップ、どうされていますか?
今回は、Google の AIノートブック「NotebookLM」の機能について検証していきます。題材として、Google Cloud 認定資格「Generative AI Leader」の試験対策を選びました。
大量のドキュメントの読み解き、知識の整理には時間と労力がかかりますよね。NotebookLM は、AI がドキュメントを自動で要約、質問応答、関連情報を抽出してくれる「AI 学習アシスタント」です。
本稿では、NotebookLM の機能を検証しつつ、Generative AI Leader試験対策を効率的に行う方法を、具体的な手順と事例を交えて解説します。試験対策だけでなく、技術ドキュメントの理解や、新しい知識の習得にも役立つはずです。NotebookLM の実力を体感してみてください!
2.NotebookLM とは
NotebookLM は、AIを活用したノートアプリです。
大量の資料を読み込ませることで、AI が内容を要約したり、関連情報を整理してくれます。難しい論文や技術ドキュメントも、NotebookLM を使えば効率的に学習できます。情報収集やアイデア出しを強力にサポートしてくれる、エンジニアの頼れる学習アシスタントです。
NotebookLM の詳細は、こちらをご確認ください。
NotebookLM の一部の機能は、Google の最新AIモデルである Gemini のマルチモーダル解析機能によって実現されています。マルチモーダルとは、テキスト、画像、音声など、複数の種類の情報を組み合わせて解析することができる高度なAIモデルです。
Gemini のマルチモーダル機能については、下記をご参考ください。
NotebookLM は手軽に利用できます。
・無料で利用可能(有料版もありますが、今回は割愛します)
・すぐに利用可能(Googleアカウントは必要です)
・簡単に利用可能(シンプルなインターフェースと直感的な操作性)
今回は下記3機能について実践を交えながら解説していきます。
2.1. 音声概要(Audio Overviews)
指定したソースに基づいて、AI が2人の人間の自然な対話形式で内容を要約・解説する機能です。2025年4月に日本語対応されたようです。
ご参考:NotebookLM の音声概要が日本語を含む 50 以上の言語で利用可能に
2.2. 学習ガイド
アップロードした教材(教科書、論文など)をもとに、AI が学習をサポートしてくれる機能です。具体的には以下のことができます。
・重要な概念の抽出:教材の中から重要な概念を自動で抽出してくれます
・学習内容の要約:教材の内容を要約し、ポイントを絞って理解を助けます
・用語集の作成:教材に出てくる専門用語をまとめて用語集を作成してくれます
2.3. 質問応答
アップロードしたドキュメントの内容について、AIと対話形式で質問できる機能です。そのドキュメントに詳しい専門家と会話しているかのように、疑問点を解消したり、理解を深めたりすることができます。
・自然な対話形式:質問を文章で入力すると、AIが自然な言葉で答えてくれます
・文脈の理解:過去の質問と回答の文脈を理解した上で、質問に答えてくれます
・ドキュメントに基づいた回答:アップロードしたドキュメントの内容に基づいて、
正確な回答を生成します
・参照元の明示:回答の根拠となったドキュメントの箇所を明示してくれます
3.Generative AI Leader とは
Generative AI Leader 試験は、Google Cloud の認定資格の1つです。
当試験は、2025年5月14日に一般公開された比較的新しい資格です。
当試験は、生成 AI に関する基礎的な知識、Google Cloud や Google Workspace の生成 AI 関連サービス・機能の知識が問われます。また、Google Cloud 認定資格でありながら、非技術系のビジネスパーソンも対象としています。
・試験時間:90分
・言語 :英語(2025年6月現在、英語版のみ提供)
・問題数 :50〜60問
Generative AI Leader の詳細は、こちらをご確認ください。
今回こちらを題材とした理由は、生成 AI に関する新資格であり興味があったことと、下記を解消したい目的がありました。
・GAされたばかりの試験のため学習教材が少ない
・提供される資料は英語が多く手を出しづらい
・とにかく効率的に学習したい
4.NotebookLM を実際につかってみる
NotebookLM は下記から利用できます。
> https://notebooklm.google.com/
※Googleアカウントがあればすぐに利用可能です
はじめにアクセスすると「NotebookLM へようこそ」画面が表示されます。

画面下部にある(+ノートブックを新規作成)ボタンを押すと、「ソースを追加」ダイアログが開きます。

ここからソースファイルをアップロードします。画面からもわかるように対象は下記です。
・ソースをアップロード:PDF、.txt、Markdown、音声(mp3)
・Google ドライブ:Google ドキュメント、Google スライド
・リンク:ウェブサイト、YouTube
・テキストを貼り付ける
今回は、Generative AI Leader 試験対策として、公式サイトで提供している下記2つのPDFファイルをアップロードしました。
・試験ガイド
・学習ガイド
※どちらも英語での提供となっています。
資料をアップすると下記のようなメイン画面になります。
画面左側の「ソース」エリアへ、アップロードしたファイルが一覧表示されます。
画面中央の「チャット」エリアへ、アップロードしたソースの概要が表示されます。
ここから、NotebookLM の機能検証を進めて行きます。
4-1. 音声概要(Audio Overviews)機能を使ってみます
メイン画面 右側上部の「音声概要」エリアで(生成)ボタンを押してみます。
会話の生成に数分程度時間がかかりますが、しばらく待つと再生可能状態になります。
8分程度の音声ファイルが生成されました。
音声ファイルは掲載しませんが、ぜひ本機能をご自身で体験してみてください!
こちらの音声ファイルは衝撃的でした。
男性と女性の2人が、ディスカッション形式で、今回アップロードしたソースの内容について議論しています。ソースの概要を読み上げるわけではなく、2人の会話により、ソースの要点について非常にうまく説明されているのです。
また、この音声ファイルの中で語られていたのですが、今回ソースとしてアップロードした「学習ガイド」自体が、NotebookLM を使って作られているとのことでした。AI について学ぶためのガイドを AI が作っている。という とても興味深いですね!
なお、音声ファイルは生成するたびに新たに作成され、内容が異なるようです。
4-2. 学習ガイド 機能を使ってみます
メイン画面 右側下部の「メモ」エリアで(学習ガイド)ボタンを押してみます。
同様に(よくある質問)ボタンも押してみます。
実際の出力内容は下記です。(左側が学習ガイド、右側がよくある質問の出力例)
「学習ガイド」は、ソース内容を理解するための手助けとなる質問(クイズ)やトピック、用語集を自動生成してくれます。それらの質問に答えたり、トピックについて調べたりすることで、教材の内容をより深く理解できるといった狙いのようです。
「よくある質問」は、ソース内容に関して、人々が疑問に思いつきそうな質問とその回答を自動生成してくれます。質問と回答を読むことで、ソースの概要や重要なポイントを素早く把握できるといった狙いのようです。
上記機能により、インプットとしたソースをもとに、短時間(ものの数秒)で情報が整理されていきます。ソース全体を読まなくても、重要な情報や疑問点を効率的に把握できます。
4-3. 質問応答 機能を使ってみます
メイン画面中央の「チャット」エリアを使います。(下記画面を参照)
これまでに得られた内容などを参考に、疑問に思ったことを聞いてみます。
> 例文:Gemini と Vertex AI の関係性について教えてください。

インプットとしたソースをもとに、質問内容について答えてくれます。ここは想定通りですが、この時、回答の根拠となったドキュメント(ソース)の箇所を明示してくれます。引用部分にカーソルを合わせると、引用元のテキスト全体を表示してくれます。
また、回答に加えて、次の質問候補を提示してくれます。ここがすばらしいと感じました。
> 例文:Vertex AI の目的とは?

タイピング不要で、質問候補をマウス選択するだけで次々と質問を投げることができます。
AI とのキャッチボールにより繰り返し学習を進めることで、理解がどんどん深まっていくと感じました。
いかがでしょうか。
ソースPDF(英語)を翻訳して読み進める場合、時間と手間がかかりますが、これまでの機能を活用すれば短時間で要点を把握し、不明点を即座に質問・解決できます。NotebookLM は、知識習得の効率を飛躍的に向上させる、有効なツールであると実感しました。
ここまで、NotebookLM の3つの基本機能について確認してきました。
ここからは、おまけで Generative AI Leader サンプル試験問題を生成していきます。
5.NotebookLM でサンプル問題を生成する
チャット機能を利用して、サンプル試験問題を生成させてみます。
下記のように簡単な指示を与えるだけで、期待する結果が得られました!
ここで、より本試験に近しいサンプル問題を作成するために、フューショットプロンプティングを試してみます。具体的には、インプットソースとして、「試験ガイド」「学習ガイド」の他に、「Google Cloud 公式サンプル問題」を加えてみました。
サンプル試験問題は下記で公開されています。
Generative AI Leader Sample Questions(2025年6月時点 英語版のみの提供となっています)
フューショットプロンプティング(Few-shot prompting)とは、タスクの実行例をいくつか与えることで、そのタスクの実行能力を向上させる手法です。モデルにタスクの形式や期待される出力を理解させることにより、モデルはパターンを学習し、同様のタスクを実行できるようになります。
加えて、NotebookLM へのプロンプトを少々丁寧に記載し問題を生成してみました。
生成された実例を3問ほど掲載します。
個人的な感想になりますが、ポイントをおさえた良い問題が生成されたと感じました。
本番試験と同等の難易度かどうかは何とも言えないところですが、練習問題としては十分活用できると思います。
なお、本試験は英語での提供となっているため、英語対策も必要となります。
6.まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回は NotebookLM を活用した学習術として、Generative AI Leader試験対策を例にご紹介しました。NotebookLMの自動要約、質問応答機能は、大量の試験範囲を効率的に理解する上で非常に有効であると感じました。
NotebookLM は試験対策だけでなく、技術ドキュメントの読解や最新技術のキャッチアップなど、エンジニアの学習を幅広くサポートします。AIが学習をアシストする時代、NotebookLM は学習効率を飛躍的に向上させる強力なツールとなることでしょう。
NotebookLM を学習に取り入れ、AIを活用した新しい学習スタイルを体験してみてはいかがでしょうか。 エンジニアとして更なる成長を遂げるための強力な武器となるはずです。