はじめに
言語によって、シンボルまたはマスコットとなっているモノ、ありますよね。
自分がよく使う言語のモチーフを妙に気に入ったり、言語は触ったことないけどシンボルだけ知ってたり。
技術の本筋ではないけど、イメージや愛着の元となるモチーフたち。今回は、動物に絞ってまとめてみました。
※ 厳密には言語だけではないですが.......
Go — Gopher(ホリネズミ)
青いホリネズミのGo Gopher。
個人的に面白いと思ったのは、このGopherがGoより先に存在していた、という点です。
元々はRenée Frenchという人が、ニュージャージーのWFMUというラジオ局の、資金集めTシャツ用に描いたものでした。
それを2009年のGo公開時に、本人が「あれを使おう」と提案して採用された。( The Go gopher )
デザインが先にあって、言語が後から乗っかった形になります。
また、ホリネズミは、「ネズミ」(クマネズミ・ハツカネズミ等)とは別科で、ホリネズミ科(Geomyidae)という独立した一群に属するらしい。
地味な話ですが、このGopherには名前がありません。
ただ "Go gopher" と呼ばれているだけです。
固有名があると思っていたので、少し意外でした。
Rust — Ferris(カニ)
Rustのユーザーは、自分たちのことを Rustaceans と呼びます。
crustacean(甲殻類)との言葉遊びですね。
そこからカニのFerrisが生まれました。動物が言葉遊びから決まっている例です。( rustacean.net )
ただし、Ferrisはあくまで非公式のマスコットです。
Rustの公式ロゴはカニではなく、歯車状のRなので、「Rustのロゴはカニ」と言うと半分間違いになります。
コミュニティに愛されているキャラ、という位置づけだと思います。
Flutter / Dart — Dash(ハチドリ)
ハチドリのDashは、元々Dartのマスコットで、後からFlutterに引き継がれました。
ハチドリは速さを表しているそうです。
普段Flutterを書いているので、Dashが出てくると少し親しみを感じます。
PHP — elePHPant(ゾウ)
名前がよくできています。
elePHPant、elephantの中にPHPが埋め込まれている。
作者のVincent Pontierが、PHPの文字をいじっていたら、横から見たときにゾウに見えた、というのが由来だそうです。( 本人インタビュー )
公式のぬいぐるみまで存在します。
PostgreSQL — Slonik(ゾウ)
ゾウのSlonik(ロシア語で「子ゾウ」)。
由来がいいです。
メーリングリストのロゴ議論で「ゾウは記憶力がいい=DBっぽい」という連想から採用された、とされています。
アガサ・クリスティの『象は忘れない』 まで引き合いに出たそうです。
ちなみに、Slonikの権利は2025年3月に作者からPostgreSQLコミュニティへ、CCライセンスで正式に譲渡されています。( 経緯 )
Hadoop — 黄色いゾウ
ゾウですが、由来が他とは少し違います。
ちなみに、Hadoopという名前の由来は、作者Doug Cuttingの息子のぬいぐるみ(黄色いゾウ)の名前から。だから、黄色いゾウ。( WIRED )
黄色いゾウさんどうして〜♫ どうして黄色いの?
というローカルCMを思い起こしますね。
MySQL — Sakila(イルカ)
イルカの名前はSakilaといいます。
"Name the Dolphin" という、ユーザー公募のコンテストで決まった名前です。( ソース )
アフリカのある言語の単語が元になっている、という話が公式の履歴に残っています。
命名を公募で決める、というのが潔いと思いました。
Linux — Tux(ペンギン)
ペンギンのTux。
Larry Ewingが1996年にGIMPで描いたものです。
Linus Torvalds自身が「マスコットはペンギンがいい」と推したのは有名で、Linusが昔ペンギンに噛まれた(あるいはつつかれた)からだ、という逸話が付いています。
ここは諸説あるようですが、「ペンギンを推したのはLinus」というところまでは確からしいです。
Perl — ラクダ
ラクダは、O'Reillyの『Programming Perl』、通称ラクダ本の表紙から来ています。(Wikipedia)
書影が先、なんですね。
ただし、このラクダはO'Reillyの商標なので、「Perlの公式ロゴ」と言い切ると少し違います。
本のラクダが独り歩きした、という感覚が近いと思います。
Python — ヘビ
ロゴはヘビ。
ただし、Pythonの名前は、蛇(ニシキヘビ)に由来していません。
公式FAQにはっきり書かれています。( General Python FAQ )
作者のGuido van Rossumが、イギリスのコメディ『Monty Python's Flying Circus』を読んでいて、短くて、ユニークで、少し謎めいた名前が欲しかったからPythonにした、と。
ロゴの2匹のヘビは完全に後付けです。
import this や import antigravity といったイースターエッグも、蛇ではなくMonty Python的なユーモアの文脈にあります。
Yarn - ネコ
yarn は「毛糸」。その毛糸玉で遊ぶ子猫がロゴになっています。なぜ猫なのか、という公式の由来説明は見つけられませんでしたが、毛糸と猫なので、まあ猫ですよね。
にゃ~ん ( NYarn) ってことかも?
おわりに
並べてみて思ったのは、技術アイコンの由来は、そのほとんどが「設計思想」ではない、ということです。
言葉遊び(PHP、Rust)、書籍の表紙(Perl)、コンテスト(MySQL)、メーリングリストの雑談(PostgreSQL)、社員の子供のぬいぐるみ(Hadoop)、好きなコメディ番組(Python)。
どれも技術仕様には影響しません。
本筋ではないからこそ、開発者たちの遊び心が宿る部分なのかも。
あと、書いていて気づいたのですが、ゾウが多い。
名前やアイコンは技術仕様ではない。
けれど、技術が広がるときの入口にはなっている。
あなたが普段開発している言語やツールのロゴやキャラクターのモチーフは?
調べてみると、もっとその技術を好きになる、かも?
由来は確認できたものを中心に書いていますが、公式に一次ソースが見当たらないものも含まれています。
より正確な情報やソースをご存知の方は、コメントで教えていただけると嬉しいです。