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モチベーションクラウドシリーズAdvent Calendar 2019

Day 4

いやぁデータドリブンな組織に変革するってめちゃくちゃ泥臭いッス、先陣切る人がこれだけは覚悟しておくべき3つの心得

Last updated at Posted at 2019-12-04

初めまして。
モチベーションクラウドシリーズのアドベントカレンダー4日目を担当する東山です。
データドリブンなカスタマーサクセスを立ち上げるために、割と泥臭いことをやった/ているので大切な心得を共有します。
想定読者は 今日から君が我が社で初めてのデータサイエンティストだ!とりあえずクールによろしく! とアサインされて途方にくれている/くれたい人とかです。
初めてのデザイナーがいたり、弊社は初めての奴ばかり感が出る気がしますが、サービスも組織も個人もどんどんとチャレンジをしているのだと推察下さい。

基本的にはゼロからイチを立ち上げる場面を想定しているので、モデルなどの具体的な手法ではなく

  1. 目的 = なぜやるのか、やることのメリット
  2. 対象 = どこから、何をやるのか
  3. 役割 = どこまでやるのか
    を順に述べて行きたいと思います。

TL;DR

  • 心得1 目的: データで同じ「コト」に向かわせよ!
  • 心得2 対象: もっとも事業に貢献できるところから着手せよ!
  • 心得3 役割: 改善施策の実行と振り返りまでが役割と認識せよ!

はじめに

私はこの4月にリンクアンドモチベーションにジョインしました。
前職ではデータエンジニアとしてHadoopなどでログを集計したり、機械学習を用いた機能開発を行なっていました。
この8月くらいから、

  • 解約意向を受けてからのフォローアップってなんだかとっても大変そうだな
  • 解約に至るまでの期間、お客様もずっと困っているんだろうな

といったところが気になって、システムから取れるデータで解約しそうなお客様を予測/検出し、早期にフォローアップすることで顧客価値を最大化したいと偉い人に提案しました。

弊社における解約抑止の問題設定

モチベーションクラウドの魅力の一つは、単にシステムを利用できるだけでなく、熟練したコンサルタントが組織改善のためにお客様と並走するところにあります。
現状、このコンサルタントが直接お客様に満足度などをヒアリングしつつ、サービス向上に努めております。
ただ、システム利用状況のデータを使えばより安定的に、またより積極的にお客様の課題を吸い上げ、課題が大きくなる前にコンサルタントによるフォローアップが可能になるはずです。
つまり、キーワードとしては顧客の課題を予防することにあります。

心得1 目的: データで同じ「コト」に向かわせよ!

データドリブンな経営やカスタマーサクセスをやる目的ですが、ちょースマートで銀の弾丸のようなソリューションでお金ガッポガッポというのではありません。残念ですが。

1番の目的は課題を明確に定義することにあると思ってます。
上司「解約したお客様の周期をみると、組織改善のための従業員アンケートをやったりやらなかったりバラバラだね、なんでだろうか」
部下「おそらく、中間管理職層のアンケートへの重要性が訴求できていなくて、実施が遅れたりしてますね」
上司「なるほど、では意義訴求のためのセミナーうんぬん」
というような同じ課題[コト]に対して協力しあえる構図が得られます。

また、課題が明確だとそれに対する打ち手のノウハウが蓄積し、型化がしやすくなります。
部下「お客様のアンケート周期が結構バラバラなんです。。。」
上司「AくんやBくんも同じ傾向が出てたと言っていたよ、中間管理職層の支持が得られなかったり、人事施策に入っていないと運用に乗らなくて周期がバラバラになると言ってたな、君のお客様にも当てはまらないかな?彼らに相談してみたらどう?」
というように頼るべき相手が明確になったりします。

このように課題を明確にする仕組みとしてデータを活用することが大切だと考えます。

解約抑止のためにやったこと

弊社の場合、冒頭で述べた解約抑止に対しての課題があったので、具体的には

  1. システム利用状況など安価で安定的に取れるデータをもとに
  2. 解約を予測するモデルを構築
    しました。

例えば、モチベーションクラウドでは組織状態を可視化するための従業員アンケートを取るのですが1、今回の分析ではこのアンケート周期が安定していないと解約するという傾向が見られました。
モチベーションクラウドはこのアンケートを通してエンゲージメントスコアという組織と個人の相思相愛度合いを測ります。
弊社では定期的に組織の状態を可視化し、組織改善のための施策に繋げましょうというメッセージを送っているのですが、その価値が実際には届いていないということです。

これはダイエットするのに定期的に体重計に乗れていない状態です。僕はデブなので書いていて悲しい気持ちになりました。

この他にもいくつか解約傾向の知見が得られたので、これらをまとめて各コンサルタントがチェックすべき項目を策定し、問題への対応を促す運用を導入しようとしています。

余談ですが、モデルのレポート時に注意した方がいいこととして、相関関係を因果関係のように語らないことが大切です。
例えば、上記のアンケート周期をひたすら安定させればよいという訳ではなく、周期が乱れてしまっている理由がお客様の課題としてあるはずなので、そちらがなんなのか、どう取り除けるのかをコンサルタントの役割として伝えることが大切です。

心得2 対象: もっとも事業に貢献できるところから着手せよ!

では次にどこをデータドリブンにすべきかを考えます。
DataRobot社のCEO Jeremy氏が以前の講演で、事業インパクトの大きなところからやるべきだと述べていました。2

弊社の場合、実は解約抑止以外にもデータを使った機能開発など、データ活用としてやれることはあったと思います。
ただ、一番最初に解約抑止をやるべきだと考えたのには、Saasにおいて解約(Churn)はLTVに直結する大変重要な部分であり、また、解約とはお客様に価値を届けられていない最悪のケースとして看過できない問題であるためです。

データドリブンの推進には手間がかかる

事業インパクトの大きなところからやる理由は、その果実を獲得するまでに何回かの試行錯誤など時間がかかる可能性があるためです。

そもそも、

  • 問題を説明するのに必要なデータが取得できているか => NOならデータ取得の設計から
  • データはすぐに使える状態か
  • データは簡単に処理できる量か => NOなら処理基盤の設計から
  • モデルを構築するのに十分なケースが存在するか3
  • データに欠損値がある場合、どのように処理するのがビジネス上適切なのか

など、モデルを構築する前のデータ取得や加工、いわゆるETL処理には手間がかかります。

なので投資分のリターンを早期に回収するためにも事業上重要なところから着手すべきです。

弊社でのマイルストン

実際のところ、いきなりデータドリブンの推進は難しいので、弊社でもマイルストンを切って対応しています。

例えば、システム利用状況についてのデータは出せるのですが、コンサルタントとお客様との接点の情報などがまだあまり取得できていない状況です。
こちらは、一旦システム利用状況からだけで解約を予測し、PDCAを回します。
その間に、コンサルタントの行動についてもデータ取得を行うように仕込み中です。

まとめると、事業インパクトの大きなところで、段階を作って進めるというのがおすすめです。

心得3 役割: 改善施策の実行と振り返りまでが役割と認識せよ!

最後に、どこまでやることが大切かについて述べます。これはかなり自戒の念を込めてになる部分です。

立ち上げ期では、提案した打ち手や運用フローについてちゃんと実施できているか、フォローアップや確認がとても大切です。

データのチームに対して大きなリソースが割かれていたり、社内の分業が進んでいるところではモデル作ってレポートしたら、データアナリストのような立場からすると仕事がおわりということで効率があがるかもしれません。

ただ、立ち上げ期に関しては打ち手やその運用について並走したり、データを出しなおしたりすることがとても大切です。
そもそもデータドリブンにPDCAを回すこと自体がみんなにとって初めての経験になり得るので、打ち手の実行などが難しい場合があるためです。

弊社での運用フォロー

弊社でも1回目のレポートに対して、「これで行ける!」みたいな前向きなフィードバックが多かったのですが、では実際の打ち手の実行となるとなかなか進まないという期間が長くなってしまいました

これは打ち手を実行するコンサルタントの方達の現状の動きを変革するために環境が整っていないことが大きな理由でした。
そのため、普段コンサルタントの方達が必ず使用するSalesCloudの中にモデルが予測した結果を格納するように別途開発を行なっています。

また、SalesCloudでのダッシュボードの作成や具体的な運用フローをコンサルタントのマネージャーたちと連携して、業務として落とせるようにしています。

体制について

以上の運用フォローは一人で行うとなると、多くの方のコンセンサスをとったり業務知識が必要になったりと、なかなか開発や分析をしながらだと難しいものがあります。

弊社では、私と同時期に入ったカスタマーサクセスの業務経験のある同僚がいたため、最近では業務フローの設計やコンサルタントの方との折衝面でその同僚と二人三脚で対応できています。

一般にデータサイエンティストのスキルセットとして必要と言われる

  • 業務知識(ビジネス力): 課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し、解決する力
  • データサイエンス力: 情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
  • データエンジニアリング力: データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力
    については、早い段階でチームとして役割を振って当たれると良いと思います。

下図は弊社デザイナーにお墨付きがもらえなかった役割分担のイケてる画像です。

IMG_0049.jpg

おわりに

弊社ではまだまだデータドリブンなカスタマーサクセスが実現できている状態とは言えませんが、この取り組みに対して社内ではみんなが非常に前向きに取り組めていると感じています。
お客様の課題が見やすくなり、顧客価値を最大にするために何をすべきかに対して、皆が同じ方向に向かえそうだという希望が感じられるためだと思います。
弊社では部署や組織の垣根をこえて、顧客の組織改善のために全力で取り組もうという土壌があり、新しい取り組みに対しても協力的に皆が動けるので、エンジニアとしてとても働きやすさを感じます(エンジニア採用はこちら)。

最後になりましたが、今後もお客様の組織改善に弊社一丸となり、全力で取り組みますので、アップデートされていくモチベーションクラウドシリーズにご期待下さい。

  1. 組織診断といいます

  2. 引用なくてごめんなさい、2017年のAI DATA Summitでの聞きました

  3. 例えば1000社の顧客がいるのに、解約したのが1社だったらモデルの構築は難しいです。

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