JGD2024 に関する EPSG コード追加を申請していましたが、審査等が完了し2026年4月に EPSG Dataset v12.055 で追加されました。
MapTiler が運営する epsg.io はタイムラグがあります。ベースとする EPSG dataset のバージョンはフッターをご覧ください。
JGD2024 のおさらい
まず JGD2024 について再確認いたします。
2025年4月1日から新たな標高体系に移行しました。基準となる日(元期)は2024年6月1日です。この新たな鉛直基準系を「日本測地系2024 (JGD2024)」といいます。
EPSG の区分では緯度経度や楕円体高、投影座標などに関する基準の「測地系」は英語では Geodetic Datum といい、標高(鉛直)に関する基準系のことを Vertical Datum といいます。しかし日本ではどちらも「測地系 / Geodetic Datum」という語を使っています。標高であっても日本測地系と呼び、英語の略称は JGD を用いています。(諸悪の根源1)
EPSG などでは、標高の方は JGD2011 (vertical) みたいな表記で区別しています。
一方、今回の改定では、緯度経度などに関する基準は変化していません。つまりこれからも「日本測地系2011 (JGD2011)」相当の基準が使われます。具体的には東日本は2011年、北日本や西日本や1997年を基準とします。
Q1-6 令和7年4月1日の改定では、標高のほか、緯度経度や平面直角座標の数値も改定されるのですか。
A1-6.
令和7年4月1日に標高値のみ改定します。
しかし標高体系の改定とあわせて、改定のない緯度経度など Geodetic Datum の方も「日本測地系2024 (JGD2024)」と呼称することとなりました。(諸悪の根源2)
Q1-9 測量成果の名称が「測地成果2024」に変更されますが、測地系の名称は変更されますか。
A1-9.
測地系の名称を「日本測地系2011(JGD2011)」から「日本測地系2024(JGD2024)」に変更します。なお、測地系の定義を変更するものではなく、測量成果との名称を統一させるための変更となります。
標高を含む座標値に関しては旧標高を JGD2011 とし、新標高を JGD2024 と呼ぶことで使い分けます。一方、標高を含まない緯度経度や平面直角座標は JGD2011 = JGD2024 であるため、使い分ける必要がありません。
Q2-9 基準点の改定前の標高成果と新たな標高成果を見分けるルールはありますか。
A2-9.
改測や改算により標高成果の改定を行った基準点の測量成果、令和7年4月1日以降に得られた基準点の測量成果の名称は「測地成果2024」とします。具体的には、基準点成果表の右上に「測地成果2024」を記載し、改定前の測量成果である「測地成果2011」との区別をします。
詳しくは国土地理院のページをご確認ください。
EPSG 更新の要点
今回の EPSG の更新は上記で説明した国土地理院による JGD2024 運用方針に沿ったものとなります。
CRS (座標参照系)にしぼって EPSG Dataset v12.055 の更新内容を簡潔にまとめると、次のとおりとなります。
- 標高関係
- 今回改定された JGD2024 (vertical) が EPSG:11317 として登録されました
- EPSG:6697 JGD2011 (vertical) を置き換えるものとなります
- 改算前の場合は EPSG:6697 JGD2011 (vertical) を使い、改算もしくは新規に測量した場合は EPSG:11317 JGD2024 (vertical) を使用してください
- 標高以外(緯度、経度ならびに投影座標)
- 従来の JGD2011 に関しては、基準は変更されていないためコードの改廃はなく、以前のコードをそのまま使用し続けます
- ただし、日本の運用にあわせ JGD2011 から JGD2024 に名称変更が行われました( JGD2011 は別名として登録されています)
- 複合座標系(水平座標と標高の複合)
- JGD2024(JGD2011) の緯度経度や平面直角座標と、 JGD2024 の新標高を組み合わせた複合 CRS が登録されました
このため、
- 2次元データ(緯度経度あるいは平面直角座標)の場合
- 従来使用していた EPSG:6668 地理座標系(緯度経度)あるいは EPSG:6669 - 6687 の平面直角座標系を使い続けてください
- ただし、お使いの GIS が新たな EPSG Dataset に対応したら名称が JGD2024 に自動的に変化します
- 3次元データであっても今まで複合座標系を指定していない場合
- 互換性等の兼ね合いであったり、標高値の厳密な取扱いを行わないため、今まで2次元の CRS を使っている場合は、同様に従来通りのコードを使用してよいと思います
- 3次元データで、ちゃんと標高入りの複合 CRS を使用している場合
- 標高値が JGD2024 基準であれば、新しい EPSG コードを使用する必要があります
すなわち 2D CRS が使われることの多い GIS の場合、多くのケースで気にせず従来の EPSG コードをそのまま使用し続けることができます。
一方 BIM/CIM ツールなど高さ情報をシビアに扱うシステムでは新しいコードを使用する必要がでてくる可能性があります。
新旧対照表
単なる名称変更と、改定が混在していますが、下記のような感じです。
この表での新旧区分は EPSG Dataset のバージョン差のことではなく、2024年以降に取得した座標値の場合どちらを使用するかどうかという観点で区分しています。
前述のとおり、標高に関係しない座標系種別の場合は、基準となる日(元期)は変わりませんが名称変更となります。
標高に関しては JGD2024 (vertical) が追加され、 JGD2011 (vertical) と使い分けることとなります。複合座標系についても同様で、標高がいつ基準の値かを区別します。
なお、平面直角座標系との複合座標系は JGD2011 では13系までしか登録されていませんが、 JGD2024 では19系まで登録されました。注意点として、複合座標系の EPSG コードは連番でなくなっています。
| EPSG | 名称 |
|---|---|
| 11319 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS I + JGD2024 (vertical) height |
| 11320 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS II + JGD2024 (vertical) height |
| 11321 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS III + JGD2024 (vertical) height |
| 11322 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS IV + JGD2024 (vertical) height |
| 11323 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS V + JGD2024 (vertical) height |
| 11324 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS VI + JGD2024 (vertical) height |
| 11325 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS VII + JGD2024 (vertical) height |
| 11326 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS VIII + JGD2024 (vertical) height |
| 11327 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS IX + JGD2024 (vertical) height |
| 11328 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS X + JGD2024 (vertical) height |
| 11329 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XI + JGD2024 (vertical) height |
| 11330 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XII + JGD2024 (vertical) height |
| 11333 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XIII + JGD2024 (vertical) height |
| 11336 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XIV + JGD2024 (vertical) height |
| 11434 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XV + JGD2024 (vertical) height |
| 11442 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XVI + JGD2024 (vertical) height |
| 11443 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XVII + JGD2024 (vertical) height |
| 11444 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XVIII + JGD2024 (vertical) height |
| 11445 | JGD2024 / Japan Plane Rectangular CS XIX + JGD2024 (vertical) height |
更新申請をしてみて思うこと
国土地理院の方で更新の動きがなかったため、標高および複合座標系に対する登録申請をしてみました。
従来の JGD2011 の取り扱いについては、国土地理院が標高以外も「日本測地系2024」に改称する運用とした以上、その運用状況を伝え、方針は Dataset Team に委ねつつ、弱い要望としてリネームやエイリアスなども提案しました。少なくとも、水平位置の基準自体は改定されていないため、コードの改廃を行うのではなく、従来コードを用いる方針は妥当と思われますし、「日本測地系2024」と改称された以上はリネームなりエイリアスなり、なんらかの名称対応は必要でしょう。
更新方針としては、この手法しかなかったわけですが、具体的にコードが追加されると、自分で要望出しときながら、正直、混乱が生じる予感でげんにょりします。特に詳しい人ほど。。。
あと、追加直前のつい最近、下記の項目を見て、
Q1-8 電子基準点成果表に記載の楕円体高の値は変更されるのですか。
A1-8.
標高成果の改定に合わせて楕円体高の値も変更します。楕円体高は、標高の元期と同じ「令和6年6月1日」相当の値となり、水平の元期から標高の元期までの間の地殻変動等による楕円体高の変化が反映されます。なお、数年の移行期間後に楕円体高の記載は成果表から削除します。
基準の改定がないとされていた従来の Geodetic Datum としての JGD2011 も、 JGD2024 になるにあたり、緯度、経度、楕円体高が実は $(\phi_{2011}, \lambda_{2011}, h_{2024})$ に改定されているのでは? という懸念が生じてきています。
地理院に問い合わせしてからになりますが、もしかすると修正依頼を投げることになるかもしれません。もっとも、定義的に正確になるかもしれませんが、より複雑にはなります。
EPSG に、どのように登録するのが正解なんだ……
