はじめに
こんにちは。
アミフィアブル株式会社に勤める tnishiwaki-amif と申します。
以前、初級ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE初級)を取得し、ソフトウェア品質の基礎知識を体系的に学びました。初級の学習を通じて品質保証の全体像が見えてきたことで、さらに実務レベルの理解を深めたいという気持ちが強くなり、次のステップとして中級に挑戦しました。
そして、このたび、私は 中級ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE中級)にも合格することができました。
Qiitaには、このJCSQEを取り上げた記事がいくつかありますが、中級に関して言及する記事は、今のところ存在しないようです。
中級合格者である私が、中級に関する記事を投稿することは、たいへん意義があると思われます。
そこで、本記事では、中級合格者の立場から以下をまとめます。
- 試験の概要
- 資格を取得する意義
- 実際に行った勉強法
これから受験を検討されている方の参考になれば幸いです。
試験概要
試験名
- 試験名:ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)
- 級:中級
この試験は、ソフトウェアの品質保証(QA)に関する体系的な知識を認定するものです。
品質を重視した開発は、顧客要求を効率よく確実に実現する上で欠かせません。
資格体系
JCSQEには、以下のような5段階の知識レベルが設けられています。
| レベル(L) | 補足説明 |
|---|---|
| レベル1(L1):知っている | 概念や用語を知っており、その概要を述べることができる。 |
| レベル2(L2):知識を説明できる | 概念や用語の意味や背景を理解しており、具体的な例を挙げて説明することができる。 |
| レベル3(L3):概念と使い方がわかる | 概念や技術の使い方がわかっており、それらを適切に選択して、限られた条件の下で与えられた課題を解決できる。 |
| レベル4(L4):詳しく理解し応用できる | 概念や技術を詳しく理解しており、実用的な問題を解決するために、その知識を応用できる。 |
| レベル5(L5):熟達している | 実社会の複雑な問題に対して、構造を明らかにして要素に分解するとともに、解決に必要な検討を加えて結論を導くことができる。 |
JCSQEのシラバスでは、初級にL1~3、中級にL2~4の知識が配置されています。
初級は選択式で品質の基礎知識を問うのに対し、中級では選択式に加え、具体的なシナリオへの対応を記述式で答える形式もあり、実務への応用力が問われます。初級については、Qiitaに詳しい記事があります(「JCSQE 初級」などで検索してみてください)。また、JCSQE公式サイトでも詳細を確認できます。
なお、上級は、JCSQE公式サイトによれば、「新設予定」とあり、まだ存在していないようです。
教材
公式に指定されている教材は、以下の通りです。
主参考書籍
『ソフトウェア品質知識体系ガイド』
- 編者:SQuBOK策定部会
- 出版社:オーム社
- ISBN:978-4274226311
- Amazon.co.jp
副参考書籍
『ソフトウェア品質保証 入門』
- 著者:保田勝通、奈良隆正
- 出版社:日科技連出版社
- ISBN:978-4817192639
- Amazon.co.jp
ただし、副参考書籍は、ほぼ参照なしで合格することができました。したがって、教材は『ソフトウェア品質知識体系ガイド』で十分だと思われます。
受験の意義
この資格の最大の魅力は、学習コスパがよいという点にあります。
こちらの図をご覧ください。
これは、JCSQE公式サイトに掲載されている、ITSSキャリアフレームワークマップです。
このマップには、ITに関するさまざまな資格試験が、縦軸にスキル熟達度、横軸に職種や専門分野をとって配置されています。
JCSQE中級は、黄色くマークされた部分をカバーしています。
- JCSQE中級がカバーする分野
- プロジェクトマネジメント
- システム開発
- ネットワークサービス
- ソフトウェア製品開発
- ITスペシャリスト
- プラットフォーム
- ネットワーク
- データベース
- アプリケーション共通基盤
- システム管理
- セキュリティ
- アプリケーションスペシャリスト
- 業務システム
- 業務パッケージ
- ソフトウェアディベロップメント
- 基本ソフト
- ミドルソフト
- 応用ソフト
- カスタマーサービス
- ハードウェア
- ソフトウェア
- ファシリティマネジメント
- ITサービスマネジメント
- 運用管理
- システム管理
- オペレーション
- サービスデスク
- プロジェクトマネジメント
- JCSQE中級がカバーしていない分野
- マーケティング
- マーケティングマネジメント
- 販売チャネル戦略
- マーケットコミュニケーション
- セールス
- 訪問型コンサルティングセールス
- 訪問型製品セールス
- メディア利用型セールス
- コンサルタント
- インダストリ
- ビジネスファンクション
- ITアーキテクト
- アプリケーションアーキテクチャ
- インテグレーションアーキテクチャ
- インフラストラクチャアーキテクチャ
- プロジェクトマネジメント
- ITアウトソーシング
- エデュケーション
- 研修企画
- インストラクション
- マーケティング
JCSQE中級の下には、IPAの高度試験群が並んでいます。
これらを比較すると、JCSQE中級は、IPAの高度試験群のITストラテジストとシステムアーキテクトを除いたすべてを網羅しており、さらに、それらがカバーしていない分野も網羅していることがわかります。
以上のことから、JCSQE中級は、多くの専門分野に関して高度に熟達していることをたった1度の試験で証明でき、非常に効率がよい資格だといえます。
業務での活用イメージ
私自身は、QAレビューやテスト計画の場面でSQuBOKの知識を直接、活かすことができました。例えば、テスト計画を立案する際に品質特性の観点を体系的に整理したり、レビューでの指摘を「どの品質リスクに対応するか」という軸で整理したりできるようになりました。
SQuBOKで学んだ知識は抽象的な概念にとどまらず、「このプロジェクトで何をどの順序で確認すべきか」という実践的な判断に直結します。QAエンジニアはもちろん、開発やプロジェクトマネジメントに携わる方にとっても、品質を軸にプロジェクト全体を俯瞰できる視点は大きな強みになります。
傾向と対策
試験傾向
問題内容の詳細は守秘義務により開示できませんが、試験合格には以下3つの能力が必須です:
- SQuBOKの概念理解:SQuBOKに登場する用語・概念の正確な理解
- 状況読解力:出題された状況の正確な把握
- 文字数制限下での記述力:指定文字数以内での的確な記述
SQuBOKの概念理解
用語を答えさせる問題や用語を用いた記述式問題が頻出するため、参考書籍の体系的な学習が重要です。
状況読解力
記述式問題では、具体的なシナリオが提示され、その状況下での対応策を答える形式が出題されます。このため、参考書籍の内容を実務レベルで理解することが重要です。
文字数制限下での記述力
記述式問題は短い指定文字数以内での解答が求められます。限られた文字数で解答内容を正確に表現する訓練が必要です。
学習方法(実際に行った手順)
使用した教材・ツール
- 主参考書籍(上記参照)
- CZUR Scanner ET24 Pro(オーバーヘッドスキャナ)
- PowerToys:Text Extractor(OCRツール)
- Gemini:Gem(生成AI)
- Anki(フラッシュカードアプリ)
これらを組み合わせることで、効率的に体系的知識を習得できます。
学習ステップ
1. 主参考書籍の電子化
教材である『ソフトウェア品質知識体系ガイド』をCZUR Scanner ET24 Proで非破壊自炊。
。ページを開いたままにするため、5mm厚のアクリル板を見開きに載せ、フットスイッチで効率的にスキャン。
※著作権法で認められた私的使用の範囲内に留め、第三者への公開・配布等は一切行っていません。
2. OCRによるテキスト抽出
PowerToysのText Extractorでテキスト部分を矩形選択し、テキストエディタに貼付け。
3. 生成AIによる校閲
OCR結果をGeminiに投げ、カスタムプロンプトで高品質な校閲を実施。「表現の一貫性」と「専門用語の正確性」を重視するなどしてプロンプトを工夫。
4. テキストの細粒度化
Anki活用を前提に、Geminiで文章を複数の短文に分割。短文化により、記憶しやすく、かつ穴埋め問題に適した形に編集。
5. 穴埋め問題の作成
各短文に穴を設定し、AnkiのCloze形式に変換。
作問のポイント:
- 正答が一意に定まるように設計する
- 一意でない場合は穴にする範囲を小さくする、または、選択式にする
Geminiを補助的に活用しつつ、最終的には目視で仕上げを行いました。
6. Ankiへのインポート
完成した穴埋め問題をAnkiにインポート。#separatorや#notetypeを事前に指定しておくと、管理が効率化されます(Anki公式ヘルプも参照)。
7. 学習
インポートしたデッキを使って学習。
おわりに
JCSQE中級は、品質保証の体系的知識を習得し、プロジェクト全体を戦略的に俯瞰できる人材へのステップとなる資格です。本記事の学習手法が、受験を検討されている方の参考になれば幸いです。





