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AIで要件定義〜アーキテクチャ設計を自動化するSaaSを作った話

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Last updated at Posted at 2026-05-06

はじめに

5月10日に ArchitectAI というSaaSをリリースします。

一言で言うと「仕様書・RFPを入力するだけで、クラウドアーキテクチャ設計フェーズの成果物(要件定義書・アーキテクチャ設計書・構成図・見積・提案書)を自動生成するサービス」です。

対象フェーズについて: 本サービスが支援するのは「要件定義〜アーキテクチャ設計フェーズ」です。SIerが担当する基本設計書・詳細設計書の作成は対象外です。

本記事では、何ができるのか・どんな技術スタックで作ったのか・なぜ作ったのかを紹介します。

はじめての方へ: 「何を入力すればいい?」という方向けに、製造業DX(受発注・在庫管理)のサンプルシナリオ(Step0〜6の全入力データ付き)をダッシュボードから無料でダウンロードできます。クレジットカード不要でそのまま試せます。

なぜ作ったか

エンジニアとしてプロジェクトを経験してきた中で、こんな状況をよく目にしてきました。

  • RFPが届いた翌日に提案書の締め切り
  • 設計書のフォーマットや品質がメンバーによってバラバラ
  • コスト見積はエンジニアの感覚頼み
  • 「アーキテクチャを3案比較して」と言われても、1案書くだけで丸1日かかる

設計書を書くことに工数の大半が消えて、「本来考えるべき設計の中身」に使える時間が少ない。

この状況を変えたくて、ArchitectAI を作り始めました。

ArchitectAI でできること

入力は業務要件、仕様書、RFP、業務フロー概要など、テキストであれば何でもOKです。ファイルアップロード(PDF・DOCX)にも対応しています。

出力される成果物:

成果物 形式 対応プラン
業務要件定義書 MD + DOCX 全プラン
機能要件定義書 MD + DOCX 全プラン
非機能要件定義書 MD + DOCX 全プラン
データ要件定義書 Markdown 全プラン
外部IF定義書 Markdown 全プラン
アーキテクチャ設計書 Markdown 全プラン
3案比較資料 Markdown 全プラン
アーキテクチャ決定記録(ADR) Markdown 全プラン
システム構成図 draw.io XML 全プラン
コスト見積レポート Excel(XLSX)★ 全プラン
提案書ドラフト Markdown 全プラン

生成フローによる形式の違いについて: ArchitectAI には「15ステップのプロジェクトフロー(推奨)」と「アーキテクチャ単体生成フロー(旧)」の2モードがあります。プロジェクトフローでは、アーキテクチャ設計書・3案比較・ADRを含む全成果物が Markdown 形式で出力されます(要件定義書 Step4〜6 は MD と DOCX を同時生成)。★ コスト見積(XLSX)はアーキテクチャ単体生成フローのみで出力されます。

成果物の活用について: Markdown形式の出力データは情報精度が高く、そのまま編集・転用できます。DOCXのレイアウト、構成図(draw.io)はLLMの特性上、そのまま顧客提出できる体裁にならない場合があります。出力したデータをPowerPoint・draw.io等の専用ツールで仕上げる活用方法もあわせてご検討ください。提案書ドラフト(Markdown)は GammaMarp でスライドに変換できます。

実際のサービス画面で確認してみてください。

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▲ 業務要件・RFP・仕様書をテキストで貼り付けるだけ。PDF/DOCXファイルのアップロードにも対応

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▲ アーキテクチャ設計完了後の3案比較画面。バランス型・コスト最適型・高可用性型の5軸スコアを並べて確認できる

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▲ 設計完了後の成果物ダウンロード画面。DOCX・Excel・draw.io が1クリックでダウンロードできる

技術スタック

技術・サービス
フロントエンド Next.js 14 (App Router) + TypeScript + Tailwind CSS + shadcn/ui
認証 Amazon Cognito (User Pool + Identity Pool)
API Next.js API Routes
ORM Prisma + Amazon Aurora Serverless v2 (PostgreSQL)
キャッシュ Amazon ElastiCache Serverless (Redis)
ジョブキュー Amazon SQS (FIFO)
ファイルストレージ Amazon S3
メール配信 Resend
LLM(設計生成) Claude Sonnet (Amazon Bedrock)
LLM(品質審査) Claude / GPT (OpenAI) / Gemini (Vertex AI)
バックエンドWorker Python on Amazon ECS Fargate
インフラ CloudFront + ALB + ECS Fargate
IaC AWS CDK (TypeScript)
CI/CD GitHub Actions
決済 Stripe (Checkout + Webhooks)

LLM は Claude Sonnet を Bedrock 経由で呼び出しています。OpenAI・Vertex AI は品質審査用として直接 API 利用しています(Azure OpenAI は法人要件のため OpenAI 直接利用、Google Cloud Vertex AI は最新モデルへのアクセスのため採用)。

設計フローは15段階

ArchitectAI の設計フローは、プロジェクトの企画フェーズから開発フェーズ移行提案まで15のステップに分かれています。

Phase Step 名称 クレジット 主なアウトプット
企画 Step0 初期提案書(受注) 2cr 初期提案書・概算コスト
企画 Step1 課題整理・企画 1cr 課題一覧・KPI/KGI・優先度マトリクス
企画 Step2 現状分析(As-Is) 2cr As-Is業務フロー図・業務機能構成表
企画 Step3 To-Be構想 2cr To-Be業務フロー・ROI試算・ロードマップ
要件 Step4 業務要件定義 3cr 業務要件定義書(DOCX)・ユースケース
要件 Step5 機能要件定義 2cr 機能一覧・画面一覧・API一覧
要件 Step6 非機能要件定義 3cr 非機能要件定義書(DOCX)・8カテゴリ
要件 Step7 データ要件定義 2cr 概念データモデル・PII分類
要件 Step8 外部IF定義 2cr 外部IF定義書・連携方式
設計 Step9 アーキテクチャ設計(3案比較) 5cr 3案比較・ADR・全体構成図
設計 Step10 システム方式設計 2cr 配置構成・認証/デプロイ方式
設計 Step11 開発フェーズ移行提案書(オプション) 3cr 提案書ドラフト(MD)
実証 Step12 PoC計画書作成(オプション) 3cr PoC計画書・成功基準
実証 Step13 PoC実施支援(オプション) 2cr PoC実施結果レポート
導入 Step14 移行方針・運用方針(オプション) 2cr 移行方針・障害対応方針

必須ステップ(Step0〜10): 26クレジット。Step11〜14はすべてオプション(Step11: +3cr、Step12〜14: +2〜3cr)。どのステップからでも開始できるのが特徴です。「アーキテクチャ設計書だけ欲しい(Step9のみ)」でも、「要件定義から全部やりたい(Step1〜14)」でも対応できます。

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▲ プロジェクト画面。企画〜導入まで15のStepがカード形式で並んでいる。進捗状況・クレジットコストも一目でわかる

Multi-LLM品質ゲート

ArchitectAI が他の "AIチャット活用" と大きく異なるのは、3社のAIが並列で設計書の品質を審査する点です。

評価軸 内容 閾値
Scalability オートスケール・LB・非同期処理の設計 ≥8.0
Availability マルチAZ・DR・ヘルスチェックの冗長性 ≥8.0
Security WAF・暗号化・Secrets Manager・最小権限IAM ≥8.0
Cost Efficiency コスト試算の根拠・過剰プロビジョニングの有無 ≥8.0
Maintainability 可観測性3本柱・デプロイ戦略・運用手順 ≥8.0

全社が全軸で≥8.0/10をクリアしないと再生成がかかります。「1社のAIが自信満々で出してきた設計」でも、他社のAIが「この可用性設計は甘い」と指摘することがあります。複数のLLMを使った相互チェックで、品質のばらつきを抑えています。

▲ 生成完了後に表示される品質審査パネル。3社AIによる5軸スコア(0〜10点)・指摘事項・改善提案が確認できる。合格(≥8.0)なら緑、未達なら再生成ボタンが表示される

draw.io 構成図の自動生成

システム構成図は draw.io の XML 形式で自動生成します。単純に XML を生成させるだけでは品質が安定しないため、「2-passレビューフロー」を実装しています。

  1. 初稿生成
  2. 3社AIが6軸でレビュー(accuracy / visual_clarity / layout_logic / legend / icon_consistency / label_quality)
  3. フィードバックを反映した改善版を生成(合否に関わらず常に実行)
  4. 最終チェック結果をDBに保存

構成図は何度でも再生成可能(1回2クレジット)です。

![ArchitectAI — 生成されたAWSアーキテクチャ構成図(draw.io)](※スクリーンショット: draw.ioで開いた構成図の全体。AZグループ・サービスアイコン・エッジラベル・凡例が見えるもの)
▲ 自動生成されたAWS構成図の例。draw.io XMLをそのまま draw.io デスクトップアプリや diagrams.net に貼り付けるだけで編集可能

アーキテクチャパターンのRAG活用

設計には、AWS・Azure・GCPの公式アーキテクチャパターンを自動クロールして pgvector でRAGデータベース化したものを活用しています。「ゼロから考える設計」ではなく「ベストプラクティスを踏まえた最適化」を自動で行うことで、設計の信頼性を高めています。

プランと価格

プラン 月額 クレジット 主な違い
FREE ¥0 10cr(使い切り) AWS・設計書生成のみ
PLUS ¥3,980 40cr/月 3クラウド・Excel見積
PRO ¥9,800 125cr/月 全クラウド+MULTIモード・125cr
BUSINESS ¥29,800 420cr/月 全クラウド・チーム利用
TEAM ¥9,800/席 150cr/席/月 組織共有プール

FREEプランはクレジットカード不要で10クレジット付与。企画フェーズ全体(Step0〜3、計7cr)がFREEプランの範囲内で体験できます。「まずどんな成果物が出るか見てみたい」という方はFREEプランから始めてください。

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▲ 料金プラン一覧。FREEプラン(¥0・10cr)からBUSINESSプラン(¥29,800/月)まで用途に合わせて選べる

まとめ

5月10日にリリース予定です。エンジニア・PM・ITコンサルタントの方に使っていただけると嬉しいです。FREEプランはクレジットカード不要で10クレジット付与(企画フェーズ全体・Step0〜3が体験できます)。フィードバックがあればコメントまたはリリース後のサービスのお問い合わせページからご連絡ください。


関連ガイド(他の内容も気になる方はこちら)

ArchitectAI のサービスサイトでは、本記事で紹介した設計フローの背景にある知識をガイドとしてまとめています。

  • 業務分析・要件定義プロセス — ステークホルダー分析・As-Is/To-Be構想の進め方
  • 要件定義書の書き方・テンプレート — 7セクション構成と失敗パターン5選
  • RFP(提案依頼書)の書き方 — SIer選定基準100点満点表・発注者が失敗しない5つのポイント
  • クラウドアーキテクチャ設計とは — Well-Architected Frameworkの基礎
  • 機能要件と非機能要件の違い — 8カテゴリの非機能要件の整理方法
  • ガイド一覧(全20本)— DX・IaC・SRE・ゼロトラスト・FinOps等

リリース後は → https://www.architect-ai.genovaai.jp

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