はじめに
5月10日に ArchitectAI というSaaSをリリースします。
一言で言うと「仕様書・RFPを入力するだけで、クラウドアーキテクチャ設計フェーズの成果物(要件定義書・アーキテクチャ設計書・構成図・見積・提案書)を自動生成するサービス」です。
対象フェーズについて: 本サービスが支援するのは「要件定義〜アーキテクチャ設計フェーズ」です。SIerが担当する基本設計書・詳細設計書の作成は対象外です。
本記事では、何ができるのか・どんな技術スタックで作ったのか・なぜ作ったのかを紹介します。
はじめての方へ: 「何を入力すればいい?」という方向けに、製造業DX(受発注・在庫管理)のサンプルシナリオ(Step0〜6の全入力データ付き)をダッシュボードから無料でダウンロードできます。クレジットカード不要でそのまま試せます。
なぜ作ったか
エンジニアとしてプロジェクトを経験してきた中で、こんな状況をよく目にしてきました。
- RFPが届いた翌日に提案書の締め切り
- 設計書のフォーマットや品質がメンバーによってバラバラ
- コスト見積はエンジニアの感覚頼み
- 「アーキテクチャを3案比較して」と言われても、1案書くだけで丸1日かかる
設計書を書くことに工数の大半が消えて、「本来考えるべき設計の中身」に使える時間が少ない。
この状況を変えたくて、ArchitectAI を作り始めました。
ArchitectAI でできること
入力は業務要件、仕様書、RFP、業務フロー概要など、テキストであれば何でもOKです。ファイルアップロード(PDF・DOCX)にも対応しています。
出力される成果物:
| 成果物 | 形式 | 対応プラン |
|---|---|---|
| 業務要件定義書 | MD + DOCX | 全プラン |
| 機能要件定義書 | MD + DOCX | 全プラン |
| 非機能要件定義書 | MD + DOCX | 全プラン |
| データ要件定義書 | Markdown | 全プラン |
| 外部IF定義書 | Markdown | 全プラン |
| アーキテクチャ設計書 | Markdown | 全プラン |
| 3案比較資料 | Markdown | 全プラン |
| アーキテクチャ決定記録(ADR) | Markdown | 全プラン |
| システム構成図 | draw.io XML | 全プラン |
| コスト見積レポート | Excel(XLSX)★ | 全プラン |
| 提案書ドラフト | Markdown | 全プラン |
生成フローによる形式の違いについて: ArchitectAI には「15ステップのプロジェクトフロー(推奨)」と「アーキテクチャ単体生成フロー(旧)」の2モードがあります。プロジェクトフローでは、アーキテクチャ設計書・3案比較・ADRを含む全成果物が Markdown 形式で出力されます(要件定義書 Step4〜6 は MD と DOCX を同時生成)。★ コスト見積(XLSX)はアーキテクチャ単体生成フローのみで出力されます。
成果物の活用について: Markdown形式の出力データは情報精度が高く、そのまま編集・転用できます。DOCXのレイアウト、構成図(draw.io)はLLMの特性上、そのまま顧客提出できる体裁にならない場合があります。出力したデータをPowerPoint・draw.io等の専用ツールで仕上げる活用方法もあわせてご検討ください。提案書ドラフト(Markdown)は Gamma や Marp でスライドに変換できます。
実際のサービス画面で確認してみてください。
▲ 業務要件・RFP・仕様書をテキストで貼り付けるだけ。PDF/DOCXファイルのアップロードにも対応
▲ アーキテクチャ設計完了後の3案比較画面。バランス型・コスト最適型・高可用性型の5軸スコアを並べて確認できる
▲ 設計完了後の成果物ダウンロード画面。DOCX・Excel・draw.io が1クリックでダウンロードできる
技術スタック
| 層 | 技術・サービス |
|---|---|
| フロントエンド | Next.js 14 (App Router) + TypeScript + Tailwind CSS + shadcn/ui |
| 認証 | Amazon Cognito (User Pool + Identity Pool) |
| API | Next.js API Routes |
| ORM | Prisma + Amazon Aurora Serverless v2 (PostgreSQL) |
| キャッシュ | Amazon ElastiCache Serverless (Redis) |
| ジョブキュー | Amazon SQS (FIFO) |
| ファイルストレージ | Amazon S3 |
| メール配信 | Resend |
| LLM(設計生成) | Claude Sonnet (Amazon Bedrock) |
| LLM(品質審査) | Claude / GPT (OpenAI) / Gemini (Vertex AI) |
| バックエンドWorker | Python on Amazon ECS Fargate |
| インフラ | CloudFront + ALB + ECS Fargate |
| IaC | AWS CDK (TypeScript) |
| CI/CD | GitHub Actions |
| 決済 | Stripe (Checkout + Webhooks) |
LLM は Claude Sonnet を Bedrock 経由で呼び出しています。OpenAI・Vertex AI は品質審査用として直接 API 利用しています(Azure OpenAI は法人要件のため OpenAI 直接利用、Google Cloud Vertex AI は最新モデルへのアクセスのため採用)。
設計フローは15段階
ArchitectAI の設計フローは、プロジェクトの企画フェーズから開発フェーズ移行提案まで15のステップに分かれています。
| Phase | Step | 名称 | クレジット | 主なアウトプット |
|---|---|---|---|---|
| 企画 | Step0 | 初期提案書(受注) | 2cr | 初期提案書・概算コスト |
| 企画 | Step1 | 課題整理・企画 | 1cr | 課題一覧・KPI/KGI・優先度マトリクス |
| 企画 | Step2 | 現状分析(As-Is) | 2cr | As-Is業務フロー図・業務機能構成表 |
| 企画 | Step3 | To-Be構想 | 2cr | To-Be業務フロー・ROI試算・ロードマップ |
| 要件 | Step4 | 業務要件定義 | 3cr | 業務要件定義書(DOCX)・ユースケース |
| 要件 | Step5 | 機能要件定義 | 2cr | 機能一覧・画面一覧・API一覧 |
| 要件 | Step6 | 非機能要件定義 | 3cr | 非機能要件定義書(DOCX)・8カテゴリ |
| 要件 | Step7 | データ要件定義 | 2cr | 概念データモデル・PII分類 |
| 要件 | Step8 | 外部IF定義 | 2cr | 外部IF定義書・連携方式 |
| 設計 | Step9 | アーキテクチャ設計(3案比較) | 5cr | 3案比較・ADR・全体構成図 |
| 設計 | Step10 | システム方式設計 | 2cr | 配置構成・認証/デプロイ方式 |
| 設計 | Step11 | 開発フェーズ移行提案書(オプション) | 3cr | 提案書ドラフト(MD) |
| 実証 | Step12 | PoC計画書作成(オプション) | 3cr | PoC計画書・成功基準 |
| 実証 | Step13 | PoC実施支援(オプション) | 2cr | PoC実施結果レポート |
| 導入 | Step14 | 移行方針・運用方針(オプション) | 2cr | 移行方針・障害対応方針 |
必須ステップ(Step0〜10): 26クレジット。Step11〜14はすべてオプション(Step11: +3cr、Step12〜14: +2〜3cr)。どのステップからでも開始できるのが特徴です。「アーキテクチャ設計書だけ欲しい(Step9のみ)」でも、「要件定義から全部やりたい(Step1〜14)」でも対応できます。
▲ プロジェクト画面。企画〜導入まで15のStepがカード形式で並んでいる。進捗状況・クレジットコストも一目でわかる
Multi-LLM品質ゲート
ArchitectAI が他の "AIチャット活用" と大きく異なるのは、3社のAIが並列で設計書の品質を審査する点です。
| 評価軸 | 内容 | 閾値 |
|---|---|---|
| Scalability | オートスケール・LB・非同期処理の設計 | ≥8.0 |
| Availability | マルチAZ・DR・ヘルスチェックの冗長性 | ≥8.0 |
| Security | WAF・暗号化・Secrets Manager・最小権限IAM | ≥8.0 |
| Cost Efficiency | コスト試算の根拠・過剰プロビジョニングの有無 | ≥8.0 |
| Maintainability | 可観測性3本柱・デプロイ戦略・運用手順 | ≥8.0 |
全社が全軸で≥8.0/10をクリアしないと再生成がかかります。「1社のAIが自信満々で出してきた設計」でも、他社のAIが「この可用性設計は甘い」と指摘することがあります。複数のLLMを使った相互チェックで、品質のばらつきを抑えています。
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▲ 生成完了後に表示される品質審査パネル。3社AIによる5軸スコア(0〜10点)・指摘事項・改善提案が確認できる。合格(≥8.0)なら緑、未達なら再生成ボタンが表示される
draw.io 構成図の自動生成
システム構成図は draw.io の XML 形式で自動生成します。単純に XML を生成させるだけでは品質が安定しないため、「2-passレビューフロー」を実装しています。
- 初稿生成
- 3社AIが6軸でレビュー(accuracy / visual_clarity / layout_logic / legend / icon_consistency / label_quality)
- フィードバックを反映した改善版を生成(合否に関わらず常に実行)
- 最終チェック結果をDBに保存
構成図は何度でも再生成可能(1回2クレジット)です。

▲ 自動生成されたAWS構成図の例。draw.io XMLをそのまま draw.io デスクトップアプリや diagrams.net に貼り付けるだけで編集可能
アーキテクチャパターンのRAG活用
設計には、AWS・Azure・GCPの公式アーキテクチャパターンを自動クロールして pgvector でRAGデータベース化したものを活用しています。「ゼロから考える設計」ではなく「ベストプラクティスを踏まえた最適化」を自動で行うことで、設計の信頼性を高めています。
プランと価格
| プラン | 月額 | クレジット | 主な違い |
|---|---|---|---|
| FREE | ¥0 | 10cr(使い切り) | AWS・設計書生成のみ |
| PLUS | ¥3,980 | 40cr/月 | 3クラウド・Excel見積 |
| PRO | ¥9,800 | 125cr/月 | 全クラウド+MULTIモード・125cr |
| BUSINESS | ¥29,800 | 420cr/月 | 全クラウド・チーム利用 |
| TEAM | ¥9,800/席 | 150cr/席/月 | 組織共有プール |
FREEプランはクレジットカード不要で10クレジット付与。企画フェーズ全体(Step0〜3、計7cr)がFREEプランの範囲内で体験できます。「まずどんな成果物が出るか見てみたい」という方はFREEプランから始めてください。
▲ 料金プラン一覧。FREEプラン(¥0・10cr)からBUSINESSプラン(¥29,800/月)まで用途に合わせて選べる
まとめ
5月10日にリリース予定です。エンジニア・PM・ITコンサルタントの方に使っていただけると嬉しいです。FREEプランはクレジットカード不要で10クレジット付与(企画フェーズ全体・Step0〜3が体験できます)。フィードバックがあればコメントまたはリリース後のサービスのお問い合わせページからご連絡ください。
関連ガイド(他の内容も気になる方はこちら)
ArchitectAI のサービスサイトでは、本記事で紹介した設計フローの背景にある知識をガイドとしてまとめています。
- 業務分析・要件定義プロセス — ステークホルダー分析・As-Is/To-Be構想の進め方
- 要件定義書の書き方・テンプレート — 7セクション構成と失敗パターン5選
- RFP(提案依頼書)の書き方 — SIer選定基準100点満点表・発注者が失敗しない5つのポイント
- クラウドアーキテクチャ設計とは — Well-Architected Frameworkの基礎
- 機能要件と非機能要件の違い — 8カテゴリの非機能要件の整理方法
- ガイド一覧(全20本)— DX・IaC・SRE・ゼロトラスト・FinOps等
リリース後は → https://www.architect-ai.genovaai.jp








