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NotebookLM ― AIが“ドヤ顔で喋る”のをやめて、ちゃんと資料を読んでくれる話

Last updated at Posted at 2025-12-15

「このプロジェクトの資料、どこにありますか?」
「……全部だよ」

エンジニアなら、一度は聞いたことがあるセリフだと思います。


エンジニアあるある:資料が多すぎ問題

新しいプロジェクトに参加した初日。

渡されたもの:

  • PDF設計書 12本(1本50ページ超え)
  • Google Docs 8個(最終更新日:2年前)
  • 議事録は Slack / Notion / Confluence に散乱
  • そして魔法の一言
    「全部読めば分かるよ」

ChatGPTに聞いてみると:

「このシステムの全体構成は?」

返事はとても流暢。
それっぽい。
でも……

👉 どの資料を根拠にしてるのか分からない。

AIが悪いわけではありません。
「喋りすぎるAI」を信用できないだけです。


NotebookLMとは?(超ざっくり)

NotebookLMを一言で言うと:

渡した資料だけを根拠に答えるAI。
知らないことは「知らない」と言うAI。

最近のAI界隈では、これはもはや 美徳 です。


王道ユースケース:「プロジェクトの脳」

NotebookLMの一番強い使い方はこれです:

プロジェクト資料を全部突っ込んで、
「全部読んだ人」に質問する。

アップロードするもの:

  • Design Doc
  • API仕様書
  • Architecture資料(PDF)
  • 議事録
  • ADR(設計判断メモ)

そして聞く:

  • 「なぜRESTじゃなくてEvent-driven?」
  • 「ユーザー登録の処理フローは?」
  • 「今のtechnical debtはどこ?」
  • 「この決定、いつ誰が決めた?」

重要ポイント
NotebookLMは資料外の知識を使いません。

つまり:

  • 答え=資料に書いてあること
  • なければ「見つかりません」

NotebookLM UI demo


なぜNotebookLMはエンジニア向き?

1. 嘘をつかない(最重要)

  • 書いてないことは言わない
  • 「一般的には〜」を始めない
  • 経験談で補完しない

👉 エンジニアにとって
嘘をつかないAI=信頼できるAI


2. ドキュメント間の関係を理解する

NotebookLMは単なる検索ではありません。

  • 設計書 × 議事録を横断
  • 判断の背景を説明
  • 「なぜそうなったか」を語れる

Ctrl + F では一生無理です。


3️. オンボーディングが爆速

新人:

  • 同じ質問を何度もしなくていい
  • 「読んだけど分からない」が減る

先輩:

  • 夜中にSlackが鳴らない

キャッチアップ期間
数週間 → 数日


NotebookLMの中身

RAG(Retrieval-Augmented Generation)をご存じの方にはお馴染みの内容になりますが、 RAGについてあまり馴染みがない方は、以前こちらの記事で基本から解説しています。先に目を通していただくと、以降の内容がより理解しやすくなると思います。

AIの「ハルシネーション」?あなた専用データをAIに“参照”させるRAG (Retrieval-Augmented Generation)の仕組みとは

結論から言います。

NotebookLMは、めちゃくちゃ出来の良いRAGシステムです。


全体の流れ(やさしめ)

ドキュメント
 → 意味単位で分割
 → Embedding
 → Vector DB
 → 関連部分を検索
 → contextを整理
 → LLMが回答(制御あり)

はい、RAGそのものです。


NotebookLMがうまいところ

Chunkingが賢い

  • token数で雑に切らない
  • セクション・文脈単位
  • metadata付き(どの資料のどこか)

Contextの掃除が丁寧

  • top-kをそのまま投げない
  • 重複を消す
  • 定義・決定事項を優先

👉 LLMが考えやすい状態になる
→ hallucinationが激減


NotebookLMの鉄の掟

資料に書いてないことは使わない。

その結果:

  • 創作は苦手
  • 文章生成は地味
  • でも 業務利用では最強

NotebookLM vs 自作RAG

観点 NotebookLM 自作RAG
手軽さ ⭐⭐⭐⭐⭐ ⭐⭐
カスタマイズ ⭐⭐ ⭐⭐⭐⭐⭐
安定性 ⭐⭐⭐⭐⭐ 実装次第
ドキュメント理解 ⭐⭐⭐⭐⭐ ⭐⭐⭐

👉 NotebookLMは
「RAGベストプラクティスの完成形」


どんな時に使う?

おすすめ:

  • 資料が多いプロジェクト
  • 正確さ最優先
  • 新人オンボーディング
  • 設計レビュー・監査

向かない:

  • ブログ創作
  • 物語生成
  • AIに夢を見たい時

🏁 まとめ

NotebookLMは、

  • 何でも知ってるAIではない
  • ちゃんと読むAI

AIがどんどん饒舌になる時代に、
黙って資料を読んでくれるAIは貴重です。


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