Raspberry Pi用dockerの構築

1. ラズパイ用のdocker

　これでラズパイ用のdocker構築シリーズとしては3本目になります。最後がdockerについてです。

　dockerは、Dockercon17で発表されたように docker/dockerからmoby/mobyにリポジトリも移行しています。この移行後のmoby/mobyでもラズパイはサポートされていますので、この環境での構築方法のメモ書きとなります。

　Docker参照ドキュメントとして、Work with a development container

2. moby/mobyをクローン

　最初にmoby/mobyをクローンします。

git clone https://github.com/moby/moby.git

3. dockerのビルド

　dockerを作成するには、クローンしたディレクトリにcdして、そのままmakeを実行します。

cd moby
make

　ラズパイで実行して約6分ほどでしたが、色々とキャッシュされていて早かったのかも知れません。

　続けて、できあがったバイナリをインストールします。ビルドと同様にクローンしたmobyディレクトリで以下を実行します。

make install

　既定値では、/usr/local/binディレクトリに以下のコマンドがインストールされます。

-rwxr-xr-x 1 root root  17121380 Apr 23 22:19 docker
-rwxr-xr-x 1 root root  35243444 Apr 23 22:20 dockerd
-rwxr-xr-x 1 root root   6068608 Apr 23 22:20 docker-runc
-rwxr-xr-x 1 root root   7822060 Apr 23 22:20 docker-containerd
-rwxr-xr-x 1 root root   7330636 Apr 23 22:20 docker-containerd-ctr
-rwxr-xr-x 1 root root   2506768 Apr 23 22:20 docker-containerd-shim
-rwxr-xr-x 1 root root   2236867 Apr 23 22:20 docker-proxy
-rwxr-xr-x 1 root root    400064 Apr 23 22:20 docker-init

4. dockerの実行

　/usr/local/binにあるdockerコマンドを実行します。

# docker version
Client:
 Version:      17.06.0-dev
 API version:  1.30
 Go version:   go1.7.5
 Git commit:   83ee902
 Built:        Sun Apr 23 13:01:10 2017
 OS/Arch:      linux/arm

Server:
 Version:      17.06.0-dev
 API version:  1.30 (minimum version 1.12)
 Go version:   go1.7.5
 Git commit:   83ee902
 Built:        Sun Apr 23 13:01:10 2017
 OS/Arch:      linux/arm
 Experimental: false

　dockerのバージョンが17.06.0-devでAPIバージョンも1.30になっています。

　ちなみに、現在docker公式で配布されているバージョンは、以下となっています。

# docker version
Client:
 Version:      17.04.0-ce
 API version:  1.28
 Go version:   go1.7.5
 Git commit:   4845c56
 Built:        Mon Apr  3 18:22:23 2017
 OS/Arch:      linux/arm

Server:
 Version:      17.04.0-ce
 API version:  1.28 (minimum version 1.12)
 Go version:   go1.7.5
 Git commit:   4845c56
 Built:        Mon Apr  3 18:22:23 2017
 OS/Arch:      linux/arm
 Experimental: false

5.システムの設定

　docker公式で配布されているdocker-engineの場合、/usr/binディレクトリにインストールされていますので、既にdocker-engineをインストールしている場合には、思い切って削除するかパスで細工するなりしておきましょう。

　docker-engineでは、systemd対応して/etc/systemd/system/multi-user.target.wants/docker.serviceが使用されています。このdocker.serviceファイルは、/etc/default/dockerファイルに対応していませんので、ExecStart=の行を直接編集しています。

## ExecStart=/usr/bin/dockerd -H fd://
ExecStart=/usr/local/bin/dockerd -H fd://

　編集後はsystemctl daemon-reloadするか、システムを再起動するかしておきます。

　ちなみに、上記のdocker version例では、/usr/local/bin/dockerdをビルドした新しいものにしているためにServerのバージョンも17.06.0-devとなっています。

　とりあえずは、以上となります。お楽しみいただけましたでしょうか。