MA3シミュレーターでカラー制御に挑戦した話(失敗と学び)
はじめに
EyeTrackシステムとMA3を連携させ、カラーをフェーダーで制御しようとして、様々な試行錯誤をした記録です。結論から言うと、GDTF Shareからメーカー公式版をダウンロードして使用するのが正解でした。
環境
- 照明卓: grandMA3 onPC 2.3.2.0
- フィクスチャー: Martin MAC One(Compact Mode, 20ch)
- 自作コントローラー: EyeTrack(STM32F407 + Art-Net)
- GDTF: MVRからインポートした「Dummy - MAC One」
EyeTrack\EyeTrack_GDTF_bak\screenshots\2025-12-14-MA3
問題発生
Art-NetではRGB=255/255/255(白)を送信しているのに、MA3シミュレーターではシアンが表示される。
原因調査
MVRからインポートしたGDTFを解析:
<!-- description.xml より抜粋 -->
<DMXChannel DMXBreak="1" Offset="4,5" ...>
<LogicalChannel Attribute="NoFeature" ...> <!-- VCW → NoFeature -->
</DMXChannel>
<DMXChannel DMXBreak="1" Offset="6,7" ...>
<LogicalChannel Attribute="NoFeature" ...> <!-- Red → NoFeature -->
</DMXChannel>
全てのカラー属性が「NoFeature」 になっていた!
| CH | 属性 | GDTFの定義 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2-3 | Dimmer | ✅ 定義あり | 動作する |
| 4-5 | VCW | ❌ NoFeature | 無視 |
| 6-11 | RGB | ❌ NoFeature | 無視 |
試行錯誤その1: カスタムGDTF作成
RGB属性を正しく定義したGDTFを作成:
<Attributes>
<Attribute Name="ColorAdd_R" Pretty="Red" Feature="Color.RGB"/>
<Attribute Name="ColorAdd_G" Pretty="Green" Feature="Color.RGB"/>
<Attribute Name="ColorAdd_B" Pretty="Blue" Feature="Color.RGB"/>
</Attributes>
結果
- GDTFファイルサイズ: 2KB(3Dモデルなし)
- MA3へのインポート: 成功
- カラー表示: 変わらず
試行錯誤その2: RGB直接制御
ファームウェアを修正して、VCW=0固定、RGBをフェーダーで直接制御:
// RGB直接制御: フェーダ0-50を5段階に分割
if (fader <= 10) {
red = 255; green = 255; blue = 255; // 白
} else if (fader <= 20) {
red = 255; green = 0; blue = 0; // 赤
} else if (fader <= 30) {
red = 0; green = 255; blue = 0; // 緑
} else if (fader <= 40) {
red = 0; green = 0; blue = 255; // 青
} else {
red = 255; green = 255; blue = 0; // 黄
}
Art-Netでの確認
[1] RGB=255/255/0 ← 黄色を送信
[2] RGB=255/255/0
MA3での表示
シアン/緑のまま変わらず!
気づき
MA3標準ライブラリのMAC Oneは、VCW + RGBの組み合わせで色を計算している。
- VCW=0: 白ベース
- RGB=255/255/255: 補正なし
- 結果: VCWの色 + RGBミキシング
私たちはRGBだけで制御しようとしたが、MA3のGDTFはVCWを主体に設計されている。
解決策: VCW制御に戻す
// VCW制御: フェーダで色を選択
int vcw = Dmx[n][6] * 5; // 0-50 → 0-250
switch (TxC - (m - 1)*KchM) {
case 4 : USendData(vcw ) ; break ;// Virtual Color Wheel
case 6 : USendData(255 ) ; break ;// Red (白ベース固定)
case 8 : USendData(255 ) ; break ;// Green (白ベース固定)
case 10 : USendData(255 ) ; break ;// Blue (白ベース固定)
}
結果
正常に動作! フェーダーで色が変化するようになった。
学んだこと
1. GDTFは信頼する
カスタムGDTFを作成しても、実機との互換性が保証されない。MA3標準ライブラリのGDTFは、メーカーが検証したもの。
2. VCWとRGBの関係
MAC OneのVCW(Virtual Color Wheel)は:
- 0: 白
- 50-250: 様々な色(実機のカラーホイール依存)
RGBはVCWの色を補正するためのもの。RGB単独で色を作るわけではない。
3. シミュレーターの限界
MA3シミュレーターは「おおよその表示」。実機での最終確認が必要。
最終構成
| 要素 | 設定 |
|---|---|
| GDTF | MA3標準「Martin MAC One」 |
| Mode | Compact (20ch) |
| VCW (CH4) | フェーダー制御 (0-250) |
| RGB (CH6-11) | 255固定(白ベース) |
まとめ
2時間の試行錯誤の結果、「標準を使え」 という結論に至りました。
カスタマイズは楽しいですが、照明機器のような複雑なシステムでは、メーカーが提供するGDTFを信頼するのが最も確実です。
次回は実機での検証を行う予定です。
参考
Build: '25 12/14 11:30
追記: 12/14 午後の試行錯誤
問題の再発
午後のセッションで再度カラー制御に挑戦。以下の問題が発生:
- フェーダ0%でシアン、100%で白 — 方向が逆
- 何度修正しても元に戻る(6回目の報告)
試行錯誤の記録
1. VCW方向の修正
// MA3のVCW解釈が逆だった
// VCW=0 → 色(シアン)
// VCW=250 → 白
int vcw = 250 - (cold * 5); // 反転して対応
結果: フェーダ方向は正常に(0%=白、100%=色)
2. RGB直接制御の試み(VCW=250固定)
// 6色プリセット
if (cold <= 8) { r=255; g=255; b=255; } // 白
else if (cold <= 16) { r=255; g=0; b=0; } // 赤
else if (cold <= 25) { r=0; g=255; b=0; } // 緑
...
case 4: USendData(250); // VCW=250固定
case 6: USendData(r); // Red
case 8: USendData(g); // Green
case 10: USendData(b); // Blue
結果: Art-Netでは正しいRGB値を送信しているが、MA3では色が変わらない
3. VCW=255での試行
VCW=250を255に変更してみた。
結果: 緑(RGB=0/255/0)を送信してもマゼンタが表示される
4. GDTFの差し替え
Martin公式のGDTFを再インポート。
結果: 変わらず
最終的な結論
MA3シミュレーターはVCWを優先してRGBを無視している可能性が高い。
| 送信値 | 期待する色 | MA3表示 |
|---|---|---|
| VCW=250, RGB=255/0/0 | 赤 | シアン系 |
| VCW=250, RGB=0/255/0 | 緑 | マゼンタ系 |
| VCW=0, RGB=255/255/255 | 白 | シアン |
RGB直接制御はMA3シミュレーターでは機能しないという結論。
暫定対応
VCW=250固定、RGBで色変化する方式を採用:
// 0-40%: 色温度変化(白→電球色)
if (cold <= 20) {
vcw = 250;
r = 255;
g = 255 - (cold * 115 / 20); // 255→140
b = 255 - (cold * 205 / 20); // 255→50
}
// 41-100%: 6色プリセット
else if (cold <= 25) { r=255; g=0; b=0; } // 赤
else if (cold <= 30) { r=255; g=255; b=0; } // 黄
else if (cold <= 35) { r=0; g=255; b=0; } // 緑
else if (cold <= 40) { r=0; g=0; b=255; } // 青
else if (cold <= 45) { r=255; g=0; b=255; } // マゼンタ
else { r=0; g=255; b=255; } // シアン
Git: 8ec914a - ハイブリッドカラー方式
今後の課題
- 実機での検証 — MA3シミュレーターではなく、実際のMAC Oneで確認
- MA3のバージョン確認 — 2.3.2.0のバグの可能性
- 他のシミュレーター — Capture等での確認
【2025/12/17 追記】GDTF Share から公式版をダウンロードして解決
問題の再発
12/17に再度テストしたところ、実機では色が変化するのにMA3ビジュアライザでは白のままという問題が発生。
- DMX Sheet: CH10 (Blue) が 0-255 で変化 ✅
- ビジュアライザ: 色が変わらない ❌
解決策: GDTF Share から公式版をダウンロード
Step 1: GDTF Shareにアクセス
- ブラウザで https://gdtf-share.com/ を開く
- 右上の「Sign up for free」から無料アカウントを作成
- Reason: 「Download Fixtures」を選択
- CAPTCHA(計算問題)に回答
- メール認証後、ログイン
Step 2: MAC One GDTFをダウンロード
- 上部メニューの「Find fixture」をクリック
- 検索ボックスに「MAC One」と入力
- 左側の Manufacturer から「Martin」を選択
- 検索結果から以下を選択:
- Martin Professional → MAC One → Revision: 20251212
- 「Compact」(Channels: 20)をクリックして展開
- ダウンロードボタンをクリック
- ファイル名:
Martin_Professional@MAC_One@20251212.gdtf
Step 3: MA3のライブラリフォルダにコピー
Windows の場合:
# GDTFファイルをMA3ライブラリにコピー
Copy-Item "ダウンロードしたファイルのパス\Martin_Professional@MAC_One@20251212.gdtf" `
-Destination "C:\ProgramData\MALightingTechnology\gma3_2.0.2\gma3_library\fixturetypes\" `
-Force
フォルダパス(バージョンによって異なる):
- MA3 v2.0.2:
C:\ProgramData\MALightingTechnology\gma3_2.0.2\gma3_library\fixturetypes\ - MA3 v2.3.2:
C:\ProgramData\MALightingTechnology\gma3_2.3.2\gma3_library\fixturetypes\
Step 4: MA3を再起動
GDTFファイルをコピー後、MA3を完全に再起動してライブラリを再読み込み。
Step 5: Fixture Typeを変更
- Setup → Patch を開く
- 左メニューの「Fixture Types」をクリック
- MAC One が2つ表示されることを確認:
- 旧: MAC One (Version 2.2.0.0) - 現在使用中
- 新: MAC One (Version 2.3.2.0) - 今回インポート
- 「Patch」に戻る
- 変更したいフィクスチャー(FID 11-14など)をShift+クリックで全選択
- 右クリック → 「Change Fixture Type」
- 新しい MAC One を選択
- Mode: 「Compact」または「Compact Direct」を選択(20ch)
- 「Apply」をクリック
Step 6: 動作確認
- Patch画面を閉じる
- 3Dビジュアライザを表示
- Art-Net入力でCH10 (Blue) を変化させる
- ビジュアライザで色が変化することを確認
ポイント
| 項目 | MVRインポート版 | GDTF Share公式版 |
|---|---|---|
| VCW属性 | NoFeature | ✅ 正しく定義 |
| RGB属性 | NoFeature | ✅ 正しく定義 |
| CTC属性 | NoFeature | ✅ 正しく定義 |
| カラー表示 | ❌ 白固定 | ✅ 変化する |
| Revision | 不明 | 20251212 |
| Source | grandMA3内部 | Martin Professional公式 |
注意事項
- MVRからインポートしたGDTFは属性が欠落している場合がある
- MVRはステージ配置データであり、GDTF定義は最小限になっていることが多い
- 必ずGDTF Shareからメーカー公式版をダウンロードして使用すること
結論
GDTF Shareからメーカー公式版をダウンロードして使用することで、MA3ビジュアライザでも正しくカラー(CTC/色温度)が表示されるようになった。
MVRからインポートしたGDTFは属性が欠落している場合がある。
GDTF Shareからメーカー公式版をダウンロードして使用することで、MA3ビジュアライザでも正しくカラーが表示されるようになった。

カラーは まだ 未確認
教訓
- MA3シミュレーターのカラー表示は参考程度
- VCW + RGB の複合動作はシミュレーターで正確に再現されない
- 実機での最終確認が必須
MA3ショーファイルをスタッフに渡す方法
12/17
https://gdtf-share.com/share.php?page=home&manu=Martin%20Professional&fix=MAC%20One&rev=120962
以前

























