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SUUMOをスクレイピングして家賃の決定要因を探る

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Last updated at Posted at 2026-04-18

1. 背景と目的

 賃貸物件の家賃がどのような要因によって決まるのかをデータをもとに分析し、その傾向を明らかにすることを試みる。家賃は、専有面積や築年数、立地、階数などさまざまな要因によって決まると考えられるが、それぞれの影響の大きさや相互関係は明確ではない。今回は、実際の賃貸データを収集・整理し、家賃と各要因の関係性を統計的に検証することで、市場の特徴を定量的に理解することを目指す。また、分析を通じて、賃貸物件を探す際の参考となるような知見を得ることを目的とする。
 さらに、今回の分析を通じてデータ分析の技術の向上も目指したい。家賃とその特徴量(築年数、最寄り駅からの距離、専有面積など)との相関をテーマにすることは、データ分析の初学者である自分にとって有益かつ取り組みやすいテーマであると感じた。

 家賃を決定づける要因は多岐にわたる一方で、比較的シンプルに数値化できる特徴量がそろっているため、データの前処理の練習に適している。築年数や駅からの距離、専有面積などは、異常値や欠損値が含まれやすい情報である一方、単位を揃えたり文字列を数値に置き換えたりといった基礎的な整備作業を行うことで、分析に使える形へと加工しやすい。
最後に、家賃データは公的機関や不動産情報サイトなどから比較的入手しやすく、スクレイピングの練習になるという利点も挙げられる。今回の分析では、不動産情報サイト SUUMO をスクレイピングすることでデータセットを用意した。


2. 分析の方法と手順

東京都23区の賃貸物件に対象を限定し、賃貸物件の家賃とその決定要因を分析する。データの収集、前処理、統計分析、機械学習を用いた家賃予測の順に作業を進める。

まず、データ収集の段階では、日本の主要な不動産情報サイトである SUUMO からスクレイピングを用いて東京都23区の賃貸物件データを取得する。収集する情報には、家賃、専有面積、築年数、階数、部屋の階、最寄り駅までの距離、物件の所在地(区)など、家賃に影響を与えると考えられる変数を含める。

次に、データの前処理を行う。まず、欠損値や入力ミスによる異常データを処理し、データの品質を確保する。次に、外れ値の影響を軽減するために、家賃の上下0.5%を削除する。

データが整った後、家賃と各説明変数の関係を明らかにするために、相関分析と可視化を実施する。具体的には、家賃と専有面積や築年数、階数、最寄り駅までの距離などの相関係数を算出し、それらの関係性を散布図やヒートマップなどを用いて可視化する 。これにより、どの変数が家賃に最も大きな影響を与えているかを確認し、市場の傾向を把握する。

分析には PythonのJupyter Lab を使用し、データの収集から処理、分析、可視化、予測モデルの構築まで一貫して実施する。


3. データセットの加工

表1 使用したデータセット

No. 建物種類 建物名 最寄り駅 築年数 階数 家賃 間取り 専有面積
1 その他 斉木 江戸川 小岩 8 26 1 1 13000 ワンルーム 12
2 アパート 西武池袋線 江古田駅2階建 築55年 豊島 江古田 10 55 2 1 15000 ワンルーム 7
...

今回の分析では、東京都23区の賃貸物件を対象として、不動産情報サイト SUUMO からデータを取得し、分析に適したデータセット(表1)を作成した。データの取得にはスクレイピングを用い、Pythonの requests を利用してウェブサイトへ接続し、BeautifulSoup (bs4) を用いてHTML データを解析した。

スクレイピングによって取得したデータは、まずHTML ファイルとして保存し、その後 pandas ライブラリを用いてCSV形式に変換した。具体的には、各物件の「建物種類」、「建物名」、「区」、「最寄り駅」、「歩」、「築年数」、「階数」、「階」、「家賃」、「間取り」、「専有面積」の情報(表2)を抽出し、データフレームとして整形した後、to_csv() メソッドを用いてCSVファイルに出力した。

「最寄り駅」のデータは SUUMO では最大3件まで表示されるが、最も近くのもののみを取得した 。また、「新築」は築年数0年として処理し、「平屋」は「階数」・「階」を1として処理した。さらに、「家賃」は「賃料」と「管理費」の合計とし、データセット全体を「家賃」で昇順にソートした。

表2 各データの説明

データ 説明
建物種類 アパート、マンション、一戸建てなど
建物名 賃貸物件の名称
東京都xx区
最寄り駅 その賃貸物件から最も近くにある駅の名称
最寄駅から歩く分単位の時間
築年数 建てられてから経過した年数。新築は0年として処理した
階数 その賃貸物件に存在する最大の階数
その賃貸物件が存在する階
家賃 賃料+管理費
間取り ワンルーム、1K、1DK、1LDKなど
専有面積 平方メートル単位の専有面積

取得したデータには、異常値(図1)や欠損値が含まれていたため、適切な処理を施した。まず、家賃の上下0.5%のデータを削除することで、極端に高額または低額な賃貸物件の影響を排除した 。

図1 異常値の例。賃料の誤入力と思われる。
image.png


4. データ分析の結果

4.1 基本統計量とヒストグラム

上記のデータの前処理を経て、実際にデータを見ていく。まず基本統計量をデータフレームにした。また、間取りをワンルーム、1K、1DKに限定した基本統計量も調べた。

表3 基本統計量

最小 最大 平均 中央値
家賃 42000 715000 131801.142 107500
専有面積 1 829 32.989982 26.09
築年数 0 99 18.261042 16
階数 1 60 6.416024 4
1 59 3.68992 2

表4 ワンルーム、1K、1DKに限定した基本統計量

最小 最大 平均 中央値
家賃 42000 673000 93537.32056 86000
専有面積 1 517 22.712929 22.37
築年数 0 99 19.496789 18
階数 1 60 5.715953 4
1 43 3.298145 2

次に、ヒストグラムで各値の分布を調べる。全体の場合と一人暮らし用の間取り(ワンルーム、1K、1DK)の場合の両方一緒に表記した。(図2)

図2 各ヒストグラム
image.png

これらの分析結果から、東京都23区の賃貸物件の基本統計量とヒストグラムの分析から、家賃は42,000円から最大で70万円を超える幅広い分布を示しているが、中央値は10万円台前半であり、多くの物件がこの価格帯に集中していることがわかる。また、ヒストグラムからも、家賃の分布は右に長い裾を引く形をしており、比較的安価な物件が多数を占める一方で、高額物件は一部に限られていることが確認できる。ワンルーム・1K・1DKに限定した場合、家賃の中央値は約86,000円とやや低く、全体の家賃分布よりも安価な傾向が見られるが、最小値や最大値に大きな差はなく、単身向けの物件においても高価格帯の物件が一定数存在することがわかる。

専有面積については、全体では平均約33㎡、中央値26㎡となっており、大半の物件が30㎡以下に収まっていることがわかる。ワンルーム・1K・1DKに限定すると、平均は約23㎡、中央値は22㎡程度となり、単身向け物件では特に20㎡前後の広さが主流であることが示されている。築年数に関しては、新築から築99年まで幅広く分布しているが、平均は18~19年、中央値は16~18年程度となっており、比較的築浅の物件が多いことが確認できる。ヒストグラムを見ても、築5年以内の物件が市場に多く供給されている一方で、築20年以上の物件も一定数流通しており、その間に作られた物件が多い時期と少ない時期の波を繰り返している様子が見られる。

階数については、全体の平均が約6階、単身向け(ワンルーム・1K・1DK)の物件では約5.7階となり、低層の建物が主流であることがわかる。実際の物件の階 (部屋の位置) についても、平均は約3階、中央値は2階となっており、1~3階に多くの物件が集まっていることが示されている。ヒストグラムを見ても、5階以下の物件が圧倒的に多く、10階以上の物件は数が大きく減少する傾向がある。ワンルーム・1K・1DKに限定した場合、さらに低層階の物件が多く、高層階にある単身向け物件は少数派であることが確認できる。

4.2 建物種類別の統計

SUUMO では建物種類がアパート/マンション/一戸建て/テラス・タウンハウス/その他の5つに分けられている。それぞれ異なる特徴を持っていおり、個別として数字データの分布を見てみる。(表5、表6、図3)

表5 建物種類別の基本統計量(全体)

建物種類 家賃 専有面積 築年数
その他 51 120000 23 35 2
アパート 47408 70000 20 19 2
テラス・タウンハウス 910 179000 65 17 1
マンション 138570 123000 27 14 3
一戸建て 4134 240000 81 9 1

表6 建物種類別の基本統計量(単身向け)

建物種類 家賃 専有面積 築年数
その他 44 96500 23 35 2
アパート 36646 66000 19 21 2
テラス・タウンハウス 40 85000 29 13 1
マンション 83569 99000 25 17 3
一戸建て 72 98000 32 42 1

建物種類別に賃貸物件の家賃や特徴を分析すると、建物の特性によって価格や面積に大きな違いが見られることがわかる。まず、アパートとマンションは市場における供給量が圧倒的に多く、それぞれ 47,408件、138,570件の物件があった。一方で、テラス・タウンハウスや一戸建ての物件数は相対的に少なく、一戸建ては4,134件のみにとどまっている。特に単身向け物件に限定すると、一戸建てやテラスハウスの供給はさらに限定的であり、マンションとアパートが単身者市場の主流を占めていることがわかる。

家賃について見ると、建物種類ごとに大きな差があり、アパートの平均家賃は約70,000円、マンションは123,000円、一戸建ては240,000円と高額になっている。単身向け物件に限定した場合でも、マンションの家賃は約99,000円、アパートは66,000円と、マンションの方が約1.5倍高い傾向にある。この差は、マンションが設備や立地条件の面でより高品質な物件が多く含まれていることが影響していると考えられる。また、専有面積に関しても、マンションが平均27㎡であるのに対し、アパートは20㎡と小さい傾向にあり、家賃の違いは専有面積にも起因していることが示唆される。

築年数については、一戸建てが最も新しく、平均9年と他の建物種類と比較して築浅の物件が多いことが特徴的である。これは、一戸建て賃貸が建て替えによって新しく供給されるケースが多いことを示している。一方、アパートは平均19年、マンションは14年となっており、アパートの方が築年数がやや古い傾向にある。また、単身向け物件に限定した場合、アパートの平均築年数は21年、マンションは17年となり、単身向け市場では築年数がさらに古くなる傾向が見られる。これは、単身向け物件は新築よりも築年数が経過した物件の流通量が多いことを示唆している。

図3 建物種類別ヒストグラム
image.png

さらに、各建物種類の家賃分布をヒストグラムで見ると、アパートとマンションはともに右に長い裾を引く形になっており、低価格帯の物件が多い一方で、高額な物件も一定数存在することがわかる。特にマンションは、100,000円を超える物件が多く、より幅広い価格帯で供給されていることが確認できる。アパートの場合、50,000円~100,000円の範囲にほとんどの物件が集中しており、家賃の上限は比較的低い。一戸建てについては、家賃分布が他の建物種類とは大きく異なり、100,000円を超える物件が大半を占め、ばらつきが大きいことが特徴的である。これは、一戸建て賃貸が通常のアパート・マンション市場とは異なる価格帯で取引されていることを示している。

これらの分析から、東京都23区の賃貸市場において、マンションとアパートが主流であり、マンションは価格帯が広く、より高額な物件が多いことがわかる。一方、アパートは低価格帯の物件が多く、特に単身向け市場では手頃な価格の物件が豊富に供給されている。また、一戸建ては供給量が少なく、価格帯も大きく異なるため、通常の賃貸市場とは異なる需要を持つ市場であると考えられる。

4.3 地域別の統計

以降、単身向けの賃貸物件(ワンルーム・1K・1DK)のみを分析対象にする。次に、地域別に賃貸物件の家賃を比較する。(表7)

表7 「区」別の家賃比較(昇順)

家賃 専有面積 家賃/1m²
足立 10593 78000 25 3120
葛飾 6632 78000 23 3391
江戸川 8517 80000 29 2759
練馬 11375 84000 25 3360
杉並 12705 84000 23 3652
板橋 11227 88000 25 3520
世田谷 16703 93000 25 3720
中野 8532 93000 25 3720
7076 95000 25 3800
大田 11393 96000 25 3840
荒川 3893 105000 30 3500
豊島 6896 113000 25 4520
品川 8308 120000 25 4800
墨田 7230 126000 28 4500
文京 5046 129000 27 4778
江東 8502 129000 26 4962
目黒 6154 129000 28 4607
新宿 10776 140000 26 5385
台東 6862 142000 31 4581
渋谷 6743 147000 30 4900
千代田 2034 170000 32 5313
中央 6119 185000 40 4625
7757 193000 37 5216

1㎡あたりの家賃を見ると、エリアごとのコストパフォーマンスがより明確になる。足立区や江戸川区などでは 3,120円~3,750円/㎡となっており、東京都内でも最もコストパフォーマンスが良いエリアであるのに対し、千代田区(5,313円/㎡)、港区(5,216円/㎡)、新宿区(5,385円/㎡) では1㎡あたりの家賃が5,000円を超えており、単位面積あたりの家賃負担が大きいことがわかる。このことから、都心部では単位面積あたりの価格が高く、広さの割に割高な賃貸物件が多いことが確認できる。一方で、品川区や豊島区などは1㎡あたりの家賃が約4,500円前後であり、都心部と郊外の中間的な水準を形成していることがわかる。

専有面積については、全体的に25㎡前後が主流となっているが、江戸川区や荒川区では30㎡程度とやや広いことが特徴的である。一方で、千代田区や港区などの都心部では、専有面積が40㎡近くと比較的大きいことがわかる。これは、都心部では高額な賃貸物件が多く、より広い住居が提供されている可能性を示唆している。特に、港区では家賃が193,000円と最も高い一方、専有面積も37㎡と比較的広いため、価格が高いだけでなく、高グレードな物件が多いことが推測される。

4.4 各データの相関分析

次に各特徴量と家賃の相関を見る。(図4)

図4 家賃と専有面積・築年数の関係
image.png

まず専有面積が大きくなると家賃が高くなることが予想できる。築年数と合わせて専有面積と家賃の関係を説明する散布図を描いた。専有面積と家賃には強い正の相関関係があることがわかる。また、築年数が小さいと家賃が低くなる関係も確認できた。

次に、賃貸物件の階数と家賃の関係を見ていく。(図5)
図5 階数と家賃の関係
image.png

まず、低層階(10階以下)の物件では、家賃の分布が広がっており、多くの物件が100,000円以下の範囲に集中していることが確認できる。このエリアは供給量が多く、市場の主流であると考えられる。一方で、中層階(10階~30階) にかけては、家賃の中央値が徐々に上昇し、特に20階を超えるあたりからは、家賃が200,000円を超える物件が増えている。これは高層階ほど家賃が高くなる「高層階プレミアム」の傾向があることを示唆している。

また、階数が30階を超えると、家賃のばらつきが大きくなり、一部の物件では400,000円を超える超高額物件も存在している。このことから、超高層マンションでは立地や設備の影響がより顕著に現れ、階数だけでなく物件のブランド価値が家賃に大きく影響していると考えられる。さらに、折れ線グラフで示された階数ごとの家賃の平均値を見ると、全体的に階数が上がるほど家賃も上昇する傾向があるが、特定の階数では家賃が急に上がったり下がったりする点も見られる。これは、高層階の中でも眺望の良さや特定フロアの特別仕様(ペントハウスなど)が家賃に影響を与えていると考える。

加えて、カラーマップによる階ごとのヒートマップを見ると、低層階では家賃のばらつきが大きく、中層階以降では家賃がより均一な分布になっていることがわかる。これは、低層階では物件の種類や立地による価格差が大きい一方で、高層階では物件の価格設定ある程度統一されていることを示唆している。

次に、家賃と最寄り駅からの距離の相関を見る。最寄り駅からの距離の相関は「歩(単位:分)」で見ることができる。これと築年数を組み合わせて、図6の散布図を描いた 。

図6 家賃と徒歩分数の関係
image.png

まず、徒歩時間が短いほど家賃が高い傾向が顕著に見られ、特に徒歩5分以内の物件では家賃が200,000円を超えるものが多く、300,000円を超える物件も一定数存在する。これは、駅近物件の利便性が市場で高く評価され、徒歩時間の短さにプレミアムが付加されていることを示唆している。

一方で、徒歩10分を超えると家賃の上限が徐々に低下し、150,000円以上の物件は減少する傾向が見られる。特に徒歩15分を超えたあたりから、家賃の変動幅が小さくなり、50,000円~100,000円の価格帯に収束することが確認できる。このことから、駅からの距離が家賃に与える影響は、徒歩10~15分程度までが大きく、それ以降は駅距離による価格差が小さくなると考えられる。つまり、徒歩10分以内の物件では「駅近プレミアム」が強く働くが、徒歩15分以上になると駅への距離が家賃に及ぼす影響は相対的に弱まり、周辺環境や物件の広さ、築年数など他の要因がより大きな役割を果たす可能性がある。

また、家賃のばらつきを見ると、徒歩時間が短いエリアでは家賃の分布が広がり、高額物件も多く含まれる一方で、徒歩20分以上のエリアでは家賃が一定の範囲に収束する傾向がある。これは、駅近では高級マンションやハイグレード物件の供給が多いため家賃の幅が広がるのに対し、駅から離れた物件は主に一般的な賃貸住宅となり、家賃の変動が少なくなるためと考えられる。


5. 機械学習による予測モデルの構築

以上で見た通り、家賃に影響を与える特徴量は多い。ここでは機械学習でそのための予測モデルを作ることを試みる。予測モデルの作成手法は様々であるが、今回は先行事例を参考にし、ランダムフォレスト (Random Forest) を選択した。ランダムフォレスト (Random Forest)は、決定木(Decision Tree) を複数組み合わせたアンサンブル学習手法の一つであり、高い予測精度と汎化性能を持つ機械学習モデルである。主に回帰や分類のタスクに用いられ、今回は家賃予測に活用する。

ランダムフォレストは、特徴量の重要度を算出できるため、家賃に影響を与える要因を定量的に分析できる点も利点である。本分析では、専有面積、築年数、駅徒歩、階数などの特徴量を用いてランダムフォレスト回帰モデルを構築し、家賃予測の精度を評価する。

そこで、分析する特徴量を以下のように準備した。
専有面積、築年数、階数、階、歩の5つはそのまま特徴量に使う。ただし「歩」(駅から歩く時間)は一部 NaN になっている(最寄り駅がない場合)ため、この場合100 という大きい数字に入れ替えた。残り4つの数字でないデータ(間取り/建物種類/区)については、これらを以下のように考え、1と0の数字を割り当てた。

  • 間取りは「○○」かどうか
  • 建物種類は「○○」かどうか
  • 「○○」区にあるかどうか

なお、最寄り駅は種類が多すぎるため、特徴量から除外した。学習の結果を散布図で出力した。(図7)

図7 ランダムフォレストを用いて予測した家賃と実際の家賃の関係
image.png

横軸が本当の家賃(実測値)、縦軸が予測された家賃を表しており、理想的な予測であれば点が黒い破線(y=xの直線)に沿って分布するはずである。

図を見ると、学習データをそのまますべて予測したため当然と言えるが、全体的に予測値と実測値は強い相関を示している。多くのデータ点がy=xの直線付近に分布しており、極端な予測誤差は比較的少ない。しかし、いくつかの外れ値も確認できる.

詳細に見るといくつかの傾向が見えてくる。まず、50,000円~200,000円程度の範囲では、予測値と実測値がほぼ一致しており、モデルの性能が安定していることがわかる 。この範囲は市場で最も物件数が多い一般的な賃貸市場の価格帯であり、十分な学習データが存在するため、モデルが正確な予測を行えていると考えられる。一方で、200,000円を超える高額物件では、予測値が実測値と完全には一致せず、ばらつきがやや大きくなっている。これは、高額物件が市場全体で少数派であることや、高級賃貸の価格設定が物件の特徴 (設備・ブランド価値など)に大きく依存し、学習に必要な明確なパターンが不足しているためと考えられる。

次に、どれくらいの外れ値があるのか散布図のみでは分かりづらいため、ヒストグラムを描き可視化する。

図8 予測の家賃/本当の家賃によって描かれたヒストグラム
image.png

図8では、ランダムフォレストによる家賃予測結果と実際の家賃の比率(予測の家賃/ 実際の家賃)の分布を示しており、モデルの誤差分布と外れ値の傾向を可視化した 。横軸は対数スケールで描き、1.0が理想的な予測を示し、それより大きい値は予測が実際の家賃より高い(過大評価)、小さい値は予測が実際の家賃より低い(過小評価) ことを意味する。

グラフの分布を見ると、予測値と実測値の比率は1.0 を中心に対称的に分布しており、ほとんどの予測値は実測値と比較的近い範囲に収まっていることがわかる。これは、ランダムフォレストモデルが全体的には適切な家賃予測を行えていることを示唆しているる。しかし、分布の端に目を向けると、いくつかの外れ値が存在し、特に0.25付近や2.5付近に少数のデータが集中している点が確認できる。

まず、過小評価 (0.25 付近)のデータについて考えると、これらの物件は実際の家賃に比べてモデルの予測が極端に低くなっているため、特定の要因が適切に考慮されていない可能性がある。今回の分析では他の特徴量、例えば、高級マンションのブランド価値、駅直結の利便性、特別な設備 (ジムやラウンジ付き)など、家賃を高く維持する要素がモデルの特徴量に反映されていないと考えられる。

ランダムフォレストは、特徴量の重要度を算出できる。ここでは、順番に10番目までの重要度の特徴量を見てみる。(表8)

表8 各特徴量の重要度

特徴量 重要度
専有面積 0.690316
築年数 0.085636
階数 0.070392
港区 0.035782
0.020629
渋谷区 0.012629
0.010889
目黒区 0.007220
新宿区 0.006043
アパート 0.005935

重要度の数字は高いほど重要であり、全部合わせたら1となる。この結果から、家賃を決定する最も重要な要素は専有面積であり、その影響度は他の変数と比較して圧倒的に大きいことがわかる。これは、賃貸市場において家賃が基本的に「広さ」に比例して決定されるという一般的な傾向と一致しており、専有面積が増えるほど家賃も高くなることを示している。次に影響が大きいのは築年数であり、物件の新しさが家賃に一定の影響を及ぼしていることが確認できる。

一方で、駅からの距離(徒歩分数)の影響は、築年数や専有面積ほど大きくはないことが確認できる。これは、徒歩距離が短いほど家賃が高くなる傾向はあるものの、それ単体で決定的な要因にはならず、専有面積や築年数などの他の要因と組み合わさることで価格が決定されるためであると考えられる。また、アパートという建物種別の影響は比較的小さいことから、建物の種類そのものよりも、物件の広さや立地条件のほうが家賃に大きく影響することがわかる。


6. まとめ

分析の結果、家賃に最も大きな影響を与える要因は専有面積であり、築年数や階数、立地(特定の区)、駅からの距離も一定の影響を持つことが確認された。特に、駅からの徒歩分数については、徒歩5分以内の物件がプレミアム価格となる傾向が見られた一方で、徒歩15分を超えると家賃の変動が少なくなることがわかった。

家賃予測モデルの構築においては、ランダムフォレストを使用し、実測値と予測値の関係を分析したところ、全体的には高い相関が確認され、50,000円~200,000円の一般的な価格帯では比較的良好な予測精度を示した。また、ランダムフォレストの特徴量の重要度分析からは、専有面積が家賃決定に圧倒的な影響を持つことが示され、築年数や階数、特定のエリアが次に重要な要因となることが確認された。

今回の分析にはいくつかの限界がある。まず、ウォシュレットやバルコニー付きなどの「こだわり条件」など物件の詳細な要素が考慮されていないため、家賃の決定要因としては一部の情報が不足している可能性がある。さらに、高額物件や築古物件のデータ数が相対的に少なく、それらの価格決定要因についての分析が十分に行えなかった点も今後の課題となる。

今後は、家賃予測の精度をさらに向上させるために、物件の詳細な設備情報などの広範なデータのスクレイピングの情報を加えた分析を行うことが有益であると考えられる 。また、家賃の決定には、物件の専有面積や築年数、駅からの距離といった個別の要因だけでなく、地理的な要因も大きな影響を与える。今後の展望として、単位占有面積当たりの家賃と地理的な要因について分析することも興味深い示唆が得られるだろう 。


7. 参考文献

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