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MB-700(D365FO ソリューションアーキテクト) 合格体験記

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MB-310に引き続きMB-700(Dynamics 365 Finance and Operations Apps Solution Architect)に一発合格しました。これでMB-310とMB-700を合わせて上位資格であるExpert資格の認定となります。

こちらも日本語での試験内容の情報や体験記が無かったので共有します。

筆者プロフィール

自己紹介

投稿時点で新卒入社4年目の25歳です。
入社からPower Platformをメインに開発・トレーニングを実施しており、Dynamics 365 Sales, Customer Insightsなどの技術調査およびプリセールス活動も並行で実施しています。

3年目からDynamics 365 Finance導入PJTに要件定義から参入し約1年半程度経験しました。
会計およびSCMなどの知識はPJT開始時点では一切ありませんでした。

資格取得を目指した経緯と目的

PJTで学べなかった要素のおさらいを今回の資格取得の目的としています。
またMicrosoftの考えるベストプラクティスや提供するツールに対応するフェーズ等を学ぶべく受験しました。
そのため試験対策も仕組みを深く理解することに重きを置いており、資格を取るという面では多少非効率な部分もありますがご了承ください。

MB-700 試験の概要

MB-700とは

MB-700 (Microsoft Dynamics 365 Finance and Operations Apps Solution Architect) は、
Dynamics 365 Finance & Operations全体の理解を示す資格になります。
どれか製品に特化した内容というよりかは、全体のアーキテクチャやプロジェクトの進め方に加え、各製品知識を浅く広く問われる問題内容になっていました。

主にソリューションの全体最適を担うアーキテクトのロールをターゲットとした資格のため、プロジェクトの推進のベストプラクティス、要件に合わせたインフラ設計、業務に合わせたツールの仕様・管理、他サービス統合のための親和性理解といった幅広い範囲が問われます。
機能コンサルタントとは異なり細かい操作や設定内容を問われることは少なく、かつ開発者でもないためX++の細かい実装も問われることはありませんでした。

難易度はExpertレベルのため上級です。名に恥じぬ難しい資格だと個人的にも思います。
MB-310のFinance機能コンサルタントとは少し異なり、ベースとなる会計知識やサプライチェーンの概念を完璧に理解しておく必要はないと感じました。

試験構成

実際の試験構成

試験日:2024年11月29日
問題数:51問 (ケーススタディ : 1題(7問) 小問集合:44問)
合格点:700/1000以上で合格 (私は785点でした)
試験時間:100分
出題の流れ: ➀ケーススタディ→②小問集合
(※次のセクションに進むと前のセクションは見直しできなくなるので注意)

試験範囲

公式ドキュメント記載の試験範囲

受験した当時(2024年11月)は以下の試験範囲と点数配分でした。

・アーキテクト ソリューション (20 - 25%)
・ソリューション戦略の定義 (40 - 45%)
・実装の管理 (15 - 20%)
・テストの管理 (10 - 15%)

※随時変更されますので最新情報と詳細は以下から必ずご確認ください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/resources/study-guides/mb-700

実際に学習した・出題された範囲の具体的な内容

プロジェクトの進め方系

・FastTrack (Success by Design、各ワークショップ・レビュー)
・LCSメソドロジー(Sure Step)
・要件定義と設計・Fit&Gapの進め方
・導入構想と浸透へのベストプラクティス(チーム編成・トレーニング・チャンピオン制度)
・ライセンス(形態[Base/AttachやTeamMember・Deviceライセンス]・(契約[EA契約・CSP・SCE・Azureサブスクリプション])

アーキテクチャ系

・Dynamics 365FOとCRMのアーキテクチャ
・環境(推奨構成とTierごとの特徴)
・サーバー(オンプレとクラウドの機能差異と選定基準・リージョン・SLA)
・データセキュリティ(GDPR・監査・データの地理外転送)
・他サービス統合 (D365 CRM/PowerPlatform/M365やほか3rdパーティソリューション)
・データエクスポート(Dual Write・エンティティストア・BYOD)

アプリ機能系

・各モジュールの役割と機能理解(Finance、SCM[マスタープラン・需要予測、資産管理]など)
・セキュリティ(ロール・職務分掌・ワークフロー)
・レポーティング(財務諸表・SSRS・電子申告・Management Reporter・embedded Power BI)

開発・テスト系

・開発ツール(DevOps・Trace Parser・Performance Timer・Debugger・Fidler・PerfSDK)
・テスト(単体・結合・システム・受入・パフォーマンス・DevOps・perfSDK・SysTest Framework・RSAT)
・パッケージ管理(オールインワン配置可能パッケージ、標準配置可能パッケージ、PDP)

その他ツール

・LCSツール(監視・アセットライブラリ・BPM・使用状況プロファイラー・SQL insight、パフォーマンス向上)
・印刷管理・Document Routing Agent
・移行・アップグレード(AX2009, A2012, D365FO間と既存システムからの移行)

ご参考までに。

どんな問題が出るか(例題)

D365がどんなアーキテクチャ・ポリシーを基に構築されているかなどの基本知識や「こういった場合はこういう製品の特性を生かしてこの手法を使用する」といった製品の強みや目的を生かして構築を検討する質問が多い印象です。


[例題➀]
ドイツの会社はクラウドベースのD365を実装しようと考えています。
この会社は次の要件を満たす最適なソリューションを構築する予定です。
・ データはEU(欧州連合)内に保存する必要がある。
・ 愛国者法に基づいたとしても米国政府がデータを閲覧できないことが必要である。
・ 状況に応じて必要最低限のデータ転送の例外を認めるが、法務チームによる承認が必要となる。
米国へのデータ転送が行われるクラウドサービスを特定する必要があります。
以下の選択肢の内、どの3つのサービスがデータ転送される可能性がありますか?

[選択肢]
A Lifecycle Services
B テクニカルサポート
C 使用状況データ
D Power BI ダッシュボード
E データセンターのフェイルオーバー


[例題②]
ある会社はD365 Financeを実装しようと考えています。社内には開発者はいません。
現在レポートツールを検討しています。D365に蓄積されたトランザクションデータを活用して外部で使用できるようにするためにモデリングツールを使用する必要があります。
あなたはどのツールが最適として推奨しますか?

[選択肢]
A Microsoft Excel
B Embedded BI
C SSRS Report
D Power BI
E Management Reporter


例題➀
[正解]
A Lifecycle Services
B テクニカルサポート
C 使用状況データ

[解説]
消去法で考えます。
D Power BIは指定した地域内のみでデータを保管します。
E データセンターのフェイルオーバー(災害復旧)は基本同じ地域内の別リージョンで実施、ブラジルのみリージョンが1個しかないのでUSに入ることがあります。(ただし今回はドイツの会社なので該当しない)
正解の選択肢については、URLの中にあるPDF内に記載があります。
https://learn.microsoft.com/en-us/dynamics365/get-started/availability


例題②
[正解] E Management Reporter

[解説]
以下の表に基づき最適なレポートツールを選定する必要があります。
(※パワーユーザー=開発者ではないが比較的扱いに長けている人材)
image.png

試験対策の前に

前提

前提としてD365ファミリーや良く統合されるMicrosoft製品の機能理解が必要になります。
・CRM(Sales, Customer Service, Field Serviceなど)
・ERP(Finance, SCM, Project Operationsなど)
・Power Platform(Apps, Automate, BIなど)
・M365(Word, Excel, Teamsなど)

前提をクリアするための対策

過去にCRMやPower Platform・M365の経験があったため、そこまで苦労はしませんでした。
もし経験がない場合は、それぞれのFundamentals資格にあるMS Learnトレーニングをお勧めします。

試験問題への対策

試験対策の内容はMB-310と同様の手法を取りました。詳細は以下をご覧ください。
https://qiita.com/tipsfromhiroya/items/ac6a3cffd0413ed92212

ただし一点注意点として、問題集の過去問は3割程度しか出ませんでした。
初見の問題が非常に多くかなり厳しい印象ですので丸暗記は役に立ちません。Learnのトレーニングでしっかり理解して挑みましょう。

学習時間目安

最終的にトータル100時間程度学習しました。

当日の心得

最後に当日の心得です。

時間配分に気を付けよう

試験は時間との勝負です。常に少し急ぎながら回答するよう心掛けておくと良いと思います。またケーススタディと小問集合のセクション間は一度進むとセクションを戻れないので注意が必要です。最終のケーススタディは問題文の設問も多く、ひっかけ要素も多いため最低でも30分は残しておきたいところです。

回答に迷ったら「後で見直す」ボタンでチェックを付けよう

時間配分が大事なため、一問に長く悩んでいる時間はありません。回答がすぐできなさそうなら「後で見直す」ボタンで一度保留にして、最後に残り時間と相談して解くか判断しましよう。

試験中のMicrosoft Learnに頼らない(頼れない)

試験中にドキュメントを調べることが最近できるようになりましたが、できるだけ使うことは避けましょう。
予め「このドキュメントのここに記載がある」とわかっている時なら良いですが、さっぱりわからない状況で一から調べるのはかなり時間を消費します。残り時間と相談して余裕があれば調べる程度にしましょう。
またMB-700の問題に関わるドキュメントはほぼ英語でしか提供されていません。普段はWebサイト上でGoogle翻訳を使って読んでいましたが、試験中は翻訳機能が使えないので英語で読むしかできず、ほぼ使い物になりませんでした。

単語表現に疑問を持ったら英語に切り替えよう

Microsoft資格試験あるあるですが英語試験をベースに日本語へ翻訳しているため、翻訳が適切でない時がたまにあります。その際は言語を英語に変えて表現がどうなっているかを確認してみましょう。特に似た名称の機能が多い場合は翻訳で別の機能の名前になることがあるため注意が必要です。

ケーススタディはひっかけに注意

最終問題のケーススタディはかなりひっかけ要素が多いです。簡単に正解が分かったときこそ注意が必要と心がけてください。できれば選択肢の中から正解を探すのではなく、不正解をつぶしていく方式で考えるとひっかかりにくくなると思います。

以上、参考になれば幸いです。

おわり

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