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おはようございます!
GMOコネクトの名もなきエンジニアです。
よろしくお願いします!

日刊IETFは、I-D AnnounceやIETF Announceに投稿されたメールをサマリーし続けるという修行的な活動です!!
今回は、2025-11-30(UTC基準)に公開されたInternet-DraftとRFCをまとめました。

  • Internet-Draft: 10件
  • RFC: 0件

参照先:


この記事でわかること

  • AIエージェントの標準化動向:Web of Agents(WoA)とAgent Persistent State(APS)という2つの革新的なドラフトが登場
  • セキュリティ技術の進化:HPKE×JWE統合、CBOR決定論的エンコーディングの最新動向
  • ネットワーク運用の高度化:IOAM、OSPF-GT、ACTNなどインフラ技術の最前線

その日のサマリー & Hot Topics

サマリー

2025年11月最終日は、AIエージェント関連の標準化が大きく前進した記念すべき日となりました。Web of Agents(WoA)はHTTPホスト上でAIエージェントを統一的に発見・呼び出す仕組みを提案し、Agent Persistent State(APS)はエージェントの永続状態管理に関するストレージ標準を定義。両者を組み合わせることで、相互運用可能なAIエージェントエコシステムの基盤が見えてきます。セキュリティ分野ではHPKE×JWE統合がv15に到達し、実用化間近です。

Hot Topics

今回の目玉は何といっても「Web of Agents」と「Agent Persistent State Profile」の2つの新規ドラフト!ChatGPTやClaudeなどのLLMが急速に普及する中、エージェント間の相互運用性を標準化しようという動きがIETFにも波及してきました。WoAはwell-knownエンドポイントでエージェント情報をJSON形式で公開し、APSはエージェントのメモリ(埋め込みベクトル、安全ログ、推論履歴など)をどう永続化するかを定義。まさにAI時代のインフラ標準が産声を上げた瞬間です。


投稿されたInternet-Draft

The Web of Agents (WoA)

AIエージェントをWeb上で発見・呼び出すための最小限の仕様を定義する野心的なドラフトです。HTTPホストがwell-knownロケーション(/.well-known/woa など)にJSON形式でエージェント情報を公開し、クライアントは統一的なインターフェースでエージェントを呼び出せます。JSON Schemaで入出力を記述するため、OpenAPIに近い使い勝手を実現。ディスカバリプロトコル自体は定義せず、上位システムへの拡張を前提とした設計思想が光ります。MCP(Model Context Protocol)との関係性も気になるところ。

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Agent Persistent State Profile

自律型エージェントの永続状態を管理するためのストレージサービスクラスを定義する実験的仕様です。ユーザー設定、埋め込みベクトル、安全ログ、推論履歴、監査証跡などをどう保存・管理するかが主題。現状のエージェントフレームワークがストレージを汎用ファイルシステムとして扱い、ストレージ管理者がエージェントをステートレスVMとして扱う「レイヤーミスマッチ」問題を解決します。GDPR対応の暗号学的消去、高頻度小I/O、ベクトルインデックスワークロード、Kubernetes/CSI統合まで考慮した包括的な設計です。

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Use of Hybrid Public Key Encryption (HPKE) with JSON Web Encryption (JWE)

HPKE(Hybrid Public Key Encryption)をJWE(JSON Web Encryption)で使用するための仕様がv15に到達しました。HPKEは任意サイズの平文を受信者の公開鍵で暗号化でき、適応的選択暗号文攻撃に対する安全性を提供します。本仕様はHPKEの機能サブセットをJWEで使用する方法を定義し、RFC 7516を更新して統合暗号鍵確立モードを有効化。PQC移行期における暗号アジリティ向上にも貢献する重要な仕様です。

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CBOR::Core - CBOR Cross Platform Profile

CBOR(RFC 8949)のプラットフォーム非依存プロファイル「CBOR::Core」を定義するドラフトがv19に更新されました。ブラウザ、モバイル端末、Webサーバーなど計算能力の高いシステムでJSONの代替として機能することを目指します。署名やハッシュなどの暗号メソッドを「生の」CBORデータに適用可能にするため、決定論的エンコーディングを必須化。セキュアなCBORデータ操作のためのAPI機能も概説しており、CBORツール開発者必読の内容です。

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A YANG Data Model for In Situ Operations, Administration, and Maintenance (IOAM) Integrity Protected Options

IOAM(In-Situ OAM)のIntegrity Protected Optionsを管理するためのYANGモジュールを定義します。IOAMはネットワークパス上でテレメトリ情報を収集するon-path hybrid測定手法で、収集したデータはネットワークの監視・測定・再構成に活用されます。本ドラフトはRFC YYYYで定義されるIOAMデータフィールドの完全性保護をYANGモデルで管理可能にするもので、ネットワーク可観測性の向上に貢献します。

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GLobal Unique Enterprise (GLUE) Identifiers

企業・組織向けのURN名前空間「GLUE(GLobal Unique Enterprise)Identifiers」を確立する仕様です。既存の認証機関からの組織IDをこのURN名前空間内で表現できるようになり、企業や組織を一意に識別するURN識別子の利用が可能になります。分散アイデンティティやVerifiable Credentialsのエコシステムにおいて、組織の信頼できる識別子として機能することが期待されます。

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Adding a Wrong Recipient URL for Handling Misdirected Emails

メール受信者が送信者に「自分は意図された受信者ではない」と通知するメカニズムを定義します。誤送信メールの処理という、一見地味ながら実用的な課題に取り組んでいます。v05への更新で、プライバシー保護と使いやすさのバランスを取りながら、誤送信問題の解決を目指しています。企業のセキュリティポリシーや個人情報保護の観点からも注目される仕様です。

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OSPF-GT (Generalized Transport)

OSPFv2/v3の信頼性の高いフラッディングメカニズムを、ルーティング情報以外の情報配信にも活用するための仕様です。OSPF-GT(Generalized Transport)インスタンスを分離することで、追加情報がOSPFルーティングドメインの安定性に影響を与えることを防ぎます。OSPF-GTネイバーは直接接続される必要がなく、非ルーティング情報を必要とするルータにのみ配信する独立したスパーストポロジを定義できます。

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Integrating YANG Configuration and Management into an Abstraction and Control of TE Networks (ACTN) System for Optical Networks

光ネットワーク向けACTN(Abstraction and Control of TE Networks)システムにFCAPS機能を統合する拡張仕様です。従来のMTOSIやCORBAベースのFCAPS管理から、IETF標準のYANGおよびRESTful APIへの移行パスを提示。Rich-Detail Network Management(RDNM)をACTNアーキテクチャに追加し、構成管理とサービス保証の両面でネットワーク運用を強化します。

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IETF In Memoriam 2025

2025年に逝去されたIETFへの重要な貢献者を追悼するドキュメントです。インターネットコミュニティ全般ではなく、IETFに顕著な貢献をした方々に焦点を当てています。Independent RFC Streamで公開される予定で、RFC4846のガイドラインに準拠。技術文書とは異なる性質を持ちながらも、IETFコミュニティの歴史を記録する重要な役割を果たします。

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編集後記

2025年11月最後の日に、AIエージェントの標準化という大きな波がIETFにも到達しました。Web of AgentsとAgent Persistent Stateという2つのドラフトは、まさに「AIエージェントのためのインフラ標準」を目指すもので、個人的には2025年のIETFにおける最重要トピックの一つになると感じています。

一方で、HPKE×JWE統合がv15、CBOR::Coreがv19と、着実に成熟を重ねている仕様もあります。派手な新規ドラフトに目を奪われがちですが、こうした地道な改訂作業こそがインターネット標準の信頼性を支えていることを忘れてはいけませんね。明日からいよいよ12月、2025年の締めくくりに向けてどんなドラフトが登場するか楽しみです!


最後に、GMOコネクトでは研究開発や国際標準化に関する支援や技術検証をはじめ、幅広い支援を行っておりますので、何かありましたらお気軽にお問合せください。

お問合せ: https://gmo-connect.jp/contactus/

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