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日刊IETF (2026-02-06) Part 1/2 ― LLM URIスキーム登場&AIエージェント認可、証明書管理の刷新まで一気読み

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こんばんは!
GMOコネクトの名もなきエンジニアです。
よろしくお願いします!

日刊IETFは、I-D AnnounceやIETF Announceに投稿されたメールをサマリーし続けるという修行的な活動です!!
今回は、2026-02-06(UTC基準)に公開されたInternet-DraftとRFCをまとめました。

  • Internet-Draft: 35件
  • RFC: 0件

投稿数が多いため、2回に分けてお届けします。こちらはPart 1(20件)です。

参照先:


その日のサマリー & Hot Topics

  • 2026年2月6日は35件のInternet-Draftが公開されました。MPLSやBGP、SRv6といったネットワークルーティング関連のドラフトが多数を占める一方、LLMエンドポイントを識別するための「llm」URIスキームの新規提案や、分散マルチエージェントシステムにおけるクロスドメイン認可の仕組みなど、AI時代を見据えた標準化の動きが目を引きます。証明書管理プロトコルCMCの刷新(RFC 5272/5273/5274の後継)も3本まとめて投稿されており、PKI分野のアップデートも活発です。
  • 特に注目したいのは、LLMの接続情報をURIとして一元的に表現する「llm」スキームの提案(draft-levy-llm-uri-scheme)です。データベース接続URIのように、プロバイダ・モデル識別子・認証情報・推論パラメータを1つの文字列にまとめることで、LLMアクセスのポータビリティを高める狙いがあります。また、分散マルチエージェント環境でのクロスドメイン認可情報共有(draft-diaconu-agents-authz-info-sharing)も、AIエージェントのセキュリティ標準化として今後の議論が楽しみなテーマです。

投稿されたInternet-Draft

MPLS Network Action (MNA) Sub-Stack Specification including In-Stack Network Actions and Data

本ドラフトは、MPLSラベルスタック内でネットワークアクション(Network Actions)と付随データ(Ancillary Data)を運搬するためのMNAサブスタック仕様を定義しています。MNAを活用すると、パケット転送の判断に影響を与えたり、運用・管理・保守(OAM)情報をMPLSパケットに付加したり、ユーザー定義の操作を実行したりできます。改訂20版となる本ドラフトは、MPLSデータプレーンの柔軟性を拡張する取り組みとして、標準化に向けた議論が進んでいます。
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Operational Recommendations for DS Automation

DNS運用において、子ゾーンのDSパラメータを親側が自動的に受け入れる仕組み(RFC 7344、8078、9615に基づく)を導入する際の運用上の推奨事項をまとめたドラフトです。レジストリやレジストラが技術的に判断すべき受け入れチェック、エラー・成功の報告方法、並行更新などのマルチパーティ問題について、実運用でのベストプラクティスを提示しています。DNSSEC運用の自動化を進めるうえで、現場のエンジニアにとって参考になる内容です。
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ISP Dual Queue Networking Deployment Observations

IETFのTSVWGが策定したL4S(Low Latency, Low Loss, Scalable Throughput)およびNQB(Non-Queue-Building)に関する実験的RFCをベースに、ISPが実際にデュアルキューネットワーキングを展開する際の課題と知見をまとめたドラフトです。世界初の大規模展開から得られた観察をもとに、L4SおよびNQBの導入・普及を促進するための具体的な提案が含まれています。低遅延ネットワーキングの実装を検討している方には貴重な実装ガイドとなるでしょう。
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ISIS Hierarchical SNPs

IS-ISプロトコルにおける新しいオプションのSNP(Sequence Number Packet)タイプとして、階層的SNP(HSNP)を提案するドラフトです。従来のCSNP交換をマークルツリー風の構造に圧縮することで、大規模データベースや多数の隣接関係の同期を高速化し、通常運用時のCSNP交換による負荷を軽減します。大規模ISPネットワークでのリンクステート同期の効率化に寄与する提案です。
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BGP extensions for SRv6/MPLS Transport Interworking

SRv6を導入する過程で、既存のMPLSインフラとの相互接続を実現するために必要なBGP拡張を定義するドラフトです。SRv6展開環境においてMPLSとのトランスポートインターワーキングを可能にすることで、ネットワーク事業者が段階的にSRv6へ移行する際のブリッジソリューションを提供します。マルチプロトコル環境での相互運用性を高める実践的な提案といえます。
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Transmission of IP Packets over Overlay Multilink Network (OMNI) Interfaces

航空機、車両、船舶、宇宙システム、携帯電話など、多様なドメインで移動するモバイルノードを対象とした仮想マルチリンクインターフェイス仕様です。モバイルルータがワイヤレスおよび有線データリンクを介してネットワークベースのモビリティサービスと連携するための適応層を定義しています。グローバルなモバイルインターネットワーキングを安全に実現するための包括的なフレームワークとして、73回目の改訂を重ねているドラフトです。
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A Simple BGP-based Mobile Routing System for the Aeronautical Telecommunications Network

ICAO(国際民間航空機関)が検討しているIPサービス対応の航空通信ネットワーク(ATN/IPS)向けに、BGPをベースとしたシンプルかつ拡張可能なモバイルルーティングサービスを記述した情報提供ドキュメントです。航空管制官やエアライン運用管理者、商用航空機を対象としたグローバルなエアトラフィック管理に対応するため、業界標準のBGPを活用するアプローチを提案しています。航空ネットワークの近代化を支える基盤技術です。
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The "llm" URI Scheme

LLM(大規模言語モデル)のエンドポイントとその設定を識別するための「llm」URIスキームを定義する新規ドラフトです。PostgreSQLやMongoDBのデータベース接続URIのように、プロバイダのホスト情報、モデル識別子、認証資格情報、推論パラメータを1つのポータブルな接続文字列にエンコードします。RFC 7595に基づきIANAの暫定登録として提案されており、LLMアクセスの標準化に向けた第一歩として注目されます。
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OAuth Identity and Authorization Chaining Across Domains

OAuth 2.0フレームワークを使用する異なる信頼ドメイン間で、アイデンティティと認可情報を保持するためのメカニズムを定義するドラフトです。マイクロサービスアーキテクチャやフェデレーション環境において、ドメインをまたいだ認証・認可チェーンの維持は実装上の大きな課題です。本ドラフトは、こうしたクロスドメインシナリオにおけるOAuthの拡張を標準化する取り組みとして、7回目の改訂が行われました。
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Certificate Management Messages over CMS (CMC): Compliance Requirements

CMS上の証明書管理プロトコル(CMC)に準拠するための要件をまとめたドラフトです。CMCの登録プロトコルに関するASN.1構造やトランスポートメカニズムは他のドキュメントでカバーされており、本ドラフトは準拠バージョンの実装に必要な情報を提供します。RFC 5274およびRFC 6402を廃止(obsolete)する位置づけで、PKIにおける証明書管理の最新化を図る一連の取り組みの一部です。
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Certificate Management over CMS (CMC): Transport Protocols

CMCメッセージを転送するためのトランスポートメカニズムを定義するドラフトです。HTTP、ファイル、メール、TCPの4つの転送手段について記述しており、RFC 5273およびRFC 6402を廃止する後継仕様として策定されています。先述のCompliance Requirementsドラフトおよび次のCMC基本仕様と合わせて、CMCプロトコルの全面的なリフレッシュを構成しています。
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Certificate Management over CMS (CMC)

暗号メッセージ構文(CMS)を使用した証明書管理プロトコルCMCの基本構文を定義するドラフトです。インターネットPKIコミュニティにおける2つの喫緊のニーズに対応する内容となっています。上記2つのCMCドラフト(Compliance RequirementsおよびTransport Protocols)と合わせ、CMCの全面的な仕様更新を構成するコアドキュメントです。証明書管理の標準を現代の要件に合わせて改訂する取り組みとして注目されます。
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BGP Extensions of SR Policy for Composite Candidate Path

セグメントルーティング(SR)ポリシーにおけるComposite Candidate Path情報を配布するためのBGP拡張を定義するドラフトです。SRポリシーは1つ以上のCandidate Pathに関連付けられ、それぞれ動的、明示的、またはコンポジットに分類されます。本ドラフトにより、コンポジット型のCandidate Pathの情報をBGPで配信し、SRポリシー適用時にインストールできるようになります。SRネットワークの柔軟な制御に貢献する提案です。
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x509 Decentralized Identifier

X.509証明書チェーンとコンパクトな発行者識別子(DID文字列)の間に、直接的かつ解決可能なバインディングを提供するdid:x509分散識別子メソッドを定義するドラフトです(revision 02)。証明書のフィンガープリントと、サブジェクト名やSAN、拡張鍵用途、発行者情報に関するオプションポリシーを組み合わせた、コンパクトで相互運用可能な識別メカニズムを提供します。透明性サービスや暗号的バインディングを必要とするシステムでの活用が期待されます。
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Protocol-Specific Profiles for JSContact

JSContactプロファイルとそのIANAレジストリを定義するドラフトです。JSContactは連絡先データの交換に使われるフォーマットですが、すべてのセマンティクスをサポートすることが適切でないプロトコルやユースケースも存在します。本ドラフトは、特定のプロトコルに適した名前付きサブセットを定義する仕組みを整備することで、JSContactの実用性を高める提案です。連絡先データ交換の標準化に関心がある方にとって有用な内容です。
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Cross-Domain AuthZ Information sharing for Agents

分散マルチエージェントシステムにおいて、複数の管理ドメインにまたがるエージェントやMCPサーバー間で認可情報を安全かつ柔軟に共有するための課題と解決策を論じる新規ドラフトです。動的なアイデンティティ、相互運用可能なクレーム、検証可能な資格情報(Verifiable Credentials)の活用を含む、クロスドメイン認可の仕組みを提案しています。AIエージェントの普及に伴い、こうしたセキュリティフレームワークの標準化は今後ますます重要性を増すでしょう。
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Extensible YANG Model for YANG-Push Notifications

YANG-Push通知メッセージで使用するための、拡張可能な新しい通知構造をYANGで定義するドラフトです。NETCONFとRESTCONFの両方に対応し、XML、JSON、CBORなどYANG互換のエンコーディングを利用できます。ホスト名とシーケンス番号、およびデータの観測タイムスタンプを付与する拡張も定義しており、ネットワーク自動化における通知の信頼性と追跡可能性を向上させます。
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CBOR Encoding for HTTPS-based YANG Notifications Transport

HTTPSベースのYANG通知トランスポート(I-D.draft-ietf-netconf-https-notif)を拡張し、既存のJSONおよびXMLエンコーディングに加えてCBORエンコーディングを導入する新規ドラフトです。CBORはバイナリ形式のため、JSONに比べてメッセージサイズの削減と処理速度の向上が見込まれます。IoTデバイスやリソース制約のある環境でのYANG通知配信に適したエンコーディングオプションを追加する提案です。
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PCEP Extension for Distribution of Link-State and TE Information for Optical Networks

PCE(Path Computation Element)が最適パスを計算するために必要なトラフィックエンジニアリングデータベース(TED)の情報を、PCEP(Path Computation Element Communication Protocol)を通じて光ネットワーク向けに拡張収集するための実験的ドラフトです。従来はトラフィックエンジニアリング拡張をサポートするリンクステートルーティングプロトコルから取得していた情報を、PCEPを通じて直接やり取りできるようにします。光ネットワークの経路計算の効率化を目指す提案です。
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Extensible Delegation for DNS

DNSにおけるドメイン権限委譲の新しい拡張可能な方式として、DELEGおよびDELEGPARAMレコードを提案するドラフトです。従来のNSレコードベースの委譲ではサーバーのホスト名しか指定できませんでしたが、新しいレコードは拡張可能でDNSSECによる保護が可能です。また、委譲情報に2つの正規ソースが存在するという従来の問題も解消します。DNS委譲の近代化に向けた取り組みとして、7回目の改訂が進んでいます。
Draft Link

発行されたRFC

今回、RFCの発行はありませんでした。

編集後記

  • 今回はAI関連のドラフトが2件出ていて、個人的にワクワクしました。LLMエンドポイントにURIスキームを割り当てるという発想、データベース接続文字列に慣れている身としてはすんなり理解できる反面、認証情報をURIに含める設計がセキュリティ面でどう評価されるのか、今後のWGでの議論が気になるところです。もう一つのエージェント間認可情報共有も、MCPの文脈で具体的にIETFに提案が上がってきたのは感慨深いですね。
  • CMCの3部作も印象的でした。RFC 5272/5273/5274をまとめて刷新するという大がかりなプロジェクトで、PKIの証明書管理をモダンな環境に対応させる意気込みが伝わってきます。Part 2ではSCIONデータプレーンやRPKIルータープロトコルv2など、セキュリティ・ルーティング分野の注目ドラフトが続きますので、合わせてご覧いただけるとうれしいです。

最後に、GMOコネクトでは研究開発や国際標準化に関する支援や技術検証をはじめ、幅広い支援を行っておりますので、何かありましたらお気軽にお問合せください。

お問合せ: https://gmo-connect.jp/contactus/

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