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日刊IETF (2026-01-20) 前編:AIエージェント認証とLLMベンチマーク、PQC-KEMベースEDHOC認証が登場

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おはようございます!
GMOコネクトの名もなきエンジニアです。
よろしくお願いします!

日刊IETFは、I-D AnnounceやIETF Announceに投稿されたメールをサマリーし続けるという修行的な活動です!!
今回は、2026-01-20(UTC基準)に公開されたInternet-DraftとRFCをまとめました。

  • Internet-Draft: 26件(前編20件、後編6件)
  • RFC: 0件

参照先:


その日のサマリー & Hot Topics

今日は26件のInternet-Draftが公開され、AI時代の技術標準化が活発化している様子が見て取れます。特に注目すべきは、AIエージェントのための認証・認可フレームワーク、LLM推論システムのベンチマーク標準化、そしてAI生成コンテンツに対抗する人間起源証明の仕組みです。

Hot Topics:

  • AIエージェント時代の到来: OAuth Transaction Tokensにエージェントコンテキスト(actor/principal)を追加する提案が登場し、自律エージェントとその起動元を区別できる仕組みが標準化されつつあります
  • LLM性能評価の標準化: LLM推論システムのベンチマーク用語・手法・プロファイルを定義する3つのドラフトが同時に公開され、AI基盤の性能評価フレームワークが整備されています
  • PQC実装の進展: ML-KEM等のPQC-KEMを用いたEDHOC認証方式が提案され、署名なしでポスト量子認証を実現する軽量プロトコルの研究が進んでいます
  • IoT/Digital Twin標準化: SDF(Semantic Definition Format)関連の仕様が複数更新され、IoTデバイスとDigital Twinのモデリング標準化が加速しています

投稿されたInternet-Draft

Instance Information for SDF

IoT機器のSemantic Definition Format (SDF)にインスタンス関連メッセージを追加する仕様です。インスタンス情報とクラス情報を厳密に分離し、4つの「アーキタイプ」に分類することで、デバイスのライフサイクル管理と実際の機器操作の両方でコンテキスト情報を活用できるようにします。今回のリビジョンでは大幅な構造変更と概念の明確化、3つの実験的アプリケーションシナリオの追加が行われています。
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Real Human Verification (RHV): A Hardware-Rooted Cryptographic Standard for Human-Origin Visual Evidence

AI時代における視覚的証拠の人間起源を暗号学的に証明する標準規格を提案しています。RHVはハードウェアベースの捕捉要件と公開透明性ログ機構を定め、デジタル写真や動画が物理的に認証された人間の撮影パイプラインから生成されたことを証明可能にします。コンテンツの真偽を判定するのではなく、暗号学的に検証可能な人間起源の捕捉、改ざん検知、公開監査可能な来歴チェーンを提供することで、司法・制度・社会がデジタル視覚証拠に依拠するための中立的で公開検証可能な基盤を構築します。
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Transaction Tokens For Agents

OAuth Transaction Tokensフレームワークを拡張し、エージェントベースのワークロードにおけるエージェントコンテキストの伝搬をサポートする仕様です。「actor」(アクションを実行するエージェント)と「principal」(エージェントのアクションを起動した人間またはシステムエンティティ)という2つの新しいコンテキストフィールドを定義します。自律的に動作するエージェントの場合、principalフィールドは省略可能です。これらの追加コンテキストにより、コールグラフ内のサービスがより詳細なアクセス制御判断を行えるようになり、セキュリティが強化されます。
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Guidelines for IANA DNS Root Zone Publication List Providers

IANA DNSルートゾーンの内容を取得できるURLリストを公開したいエンティティ向けのガイドラインです。主にIANAへの指針として提供されていますが、独自の目的でIANA DNSルートゾーンソースのリストを構築したい他のエンティティにも適用できます。ルートゾーン配布の透明性と信頼性を向上させる取り組みの一環です。
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Populating resolvers with the root zone

DNS再帰リゾルバ運用者が、ルートサーバーからの応答取得の困難さ(ネットワーク攻撃時など)、RTTの長さ、プライバシー問題を解決する方法を示します。リゾルバがルートゾーン全体のキャッシュコピーを提供することで、これらの課題を全て解決できます。本文書では、リゾルバがルートゾーンを取得・キャッシュ・維持する方法、コンテンツの陳腐化検知、エラー条件の処理手順を示しています。
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Transaction Tokens For Agents

(revision 02 - 上記revision 03と同一ドラフトの旧版)
OAuth Transaction Tokensフレームワークを拡張し、エージェントベースのワークロードにおけるエージェントコンテキストの伝搬をサポートします。actorとprincipalの2つのコンテキストフィールドを定義し、エージェントによるアクションと、そのアクションを起動したエンティティを区別可能にします。
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DomainKeys Identified Mail Signatures v2 (DKIM2)

DKIM2は、ドメイン所有者がメールメッセージを処理したことを文書化できる仕組みです。現在のメッセージ内容のハッシュ値を計算し、そのハッシュ値とメッセージ伝送の詳細を含む暗号署名を適用します。メッセージが送信者から受信者に転送される際、本文やヘッダフィールドを変更するシステムは変更の詳細を提供し、新しいハッシュ値を計算します。さらなる署名が追加され、検証可能な「チェーン」が形成されます。これにより、検証者は中間システムによる変更の性質を識別し、変更を行ったシステムに評判を適用できます。DKIM2はメッセージの予期しない「リプレイ」検知や、配送状態通知が関与したエンティティのみに送信されることも保証します。
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Adding an Uncacheable Directory-Entry Metadata Attribute to NFSv4.2

NFSv4.2クライアントは通常、パフォーマンス向上のためにディレクトリエントリ(dirent)をキャッシュします。しかし、このキャッシュはサーバーがディレクトリエントリに対するユーザーごとのアクセス制御を実施したり、サイズやタイムスタンプなどの最新のディレクトリエントリ属性を提供したりすることを妨げる場合があります。本文書は、サーバーがクライアントにディレクトリエントリメタデータのキャッシュが不適切であることを通知できる新しいuncacheable direntメタデータ属性をNFSv4.2に導入します。これにより、既存のNFSv4.2クライアントとの互換性を保ちながら、サーバーがユーザー固有のアクセス許可に基づいてディレクトリ内容を提示できます。
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Amendments to Stateful PCE Communication Protocol (PCEP)

RFC8231、RFC8664、RFC8281を更新し、運用実装を反映してPCEPプロトコルの最適化を定義します。実際の運用で得られた知見を元に、Stateful PCEプロトコルの改善を標準化する取り組みです。
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Post-Stack MPLS Network Action (MNA) Solution

MPLSラベルスタックの後にNetwork ActionsとAncillary Dataを運ぶためのPost-Stack MPLS Network Action (MNA)ソリューションを定義します。In-Stack MNAソリューションをベースにしており、MPLSパケット内でのパケット転送判断への影響、追加のOAM情報の運搬、ユーザー定義操作の実行などに利用できます。RFC 9613のPost-Stackネットワークアクションおよびデータ固有要件に対応し、RFC 9789のフレームワークに従っています。
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Performance Benchmarking Profiles for Large Language Model Serving Systems

Large Language Model(LLM)推論システムの性能ベンチマーキングプロファイルを定義します。draft-gaikwad-llm-benchmarking-terminologyで定義された用語とdraft-gaikwad-llm-benchmarking-methodologyの手順を具体的なアーキテクチャロールとワークロードパターンに結びつけます。各プロファイルは、再現可能で比較可能なベンチマークに必要なSystem Under Test(SUT)の境界、測定ポイント、解釈制約を明確にします。本文書はプロファイルのみを規定し、新しいメトリクス、ベンチマークワークロード、受入閾値は定義していません。
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An Application Layer Interface for Non-Internet-Connected Physical Components (NIPC)

SDFモデルで記述された1つ以上のデバイスを提供するゲートウェイに対して、アプリケーションが操作を実行できるAPIを記述します。デバイスに対する操作を実行するためのRESTfulアプリケーション層インターフェースと、データストリーミング用のCBORベースのpublish-subscribeインターフェースを定義しています。
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Protocol Mapping for SDF

Semantic Definition Format(SDF)のプロトコルマッピング拡張を定義し、プロトコル非依存のSDFアフォーダンスをプロトコル固有の操作にマッピングできるようにします。SDFモデルが、プロパティ、アクション、イベントにBluetooth Low Energy、Zigbee、HTTP、CoAPなどの特定の非IPおよびIPプロトコルを使用してアクセスする方法を指定できるようになります。
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KEM-based Authentication for EDHOC in Initiator-Known Responder (IKR) Scenarios

Ephemeral Diffie-Hellman Over COSE(EDHOC)軽量プロトコルのKey Encapsulation Mechanism(KEM)ベース認証方式のより効率的なバリアントを規定します。イニシエータがレスポンダの資格情報を事前に知っているシナリオ(制約環境で一般的)に特化しており、必須の3メッセージハンドシェイクのみを使用します。NIST標準化されたML-KEM等のPQC-KEMを採用した場合、署名なしでポスト量子認証を実現しつつ、相互認証、前方秘匿性、ある程度のIDプライバシーを提供します。
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Benchmarking Methodology for Large Language Model Serving

Large Language Model(LLM)推論サービングシステムのベンチマーク方法論を定義します。レイテンシ、スループット、スケジューリング、リソース管理特性を評価するためのテスト手順、セットアップパラメータ、測定仕様、報告フォーマットを提供します。「Benchmarking Terminology for Large Language Model Serving」の関連文書であり、その用語文書と併せて参照すべきです。
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The Internet Standards Process

インターネットコミュニティがプロトコルと手順の標準化に使用するプロセスを文書化します。標準化プロセスの段階、文書をステージ間で移動させるための要件、このプロセスで使用される文書の種類を定義します。また、標準プロセスに関連する知的財産権と著作権の問題にも対処します。本文書はRFC 2026、RFC 5657、RFC 6410、RFC 7100、RFC 7127、RFC 8789、RFC 9282を廃止します。RFC 7475の変更も含んでいます。
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A YANG Data Model for Traffic Engineering Tunnels, Label Switched Paths, and Interfaces

Traffic Engineering(TE)トンネル、Label Switched Path(LSP)、インターフェースのプロビジョニングと管理のためのYANGデータモデルを定義します。技術やデータプレーンカプセル化に依存しないデータをカバーし、デバイス固有とデバイス非依存データをカバーする2つのYANGモジュールに分割されています。設定、運用状態、リモートプロシージャコール、イベント通知のデータを扱います。
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Open Cloud Mesh

Open Cloud Mesh(OCM)は、受信側にリソースへのアクセスが許可されたことを通知するために使用されるサーバーフェデレーションプロトコルです。OAuthのような認可フローや、ActivityPubやメールのようなソーシャルインターネットプロトコルと類似性があります。OCMのコアユースケースは、ユーザー(例:システムA上のAlice)が別のユーザー(例:システムB上のBob)とリソース(例:ファイル)を共有したい場合で、リソース自体を転送したり、BobがシステムAにログインしたりする必要がありません。OCMは受信側がリソースへのアクセスを通知されるまでのインタラクションのみを処理し、実際のリソースアクセスはWebDAVなどの他のプロトコルで管理されます。
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Semantic Definition Format (SDF) modeling for Digital Twin

Digital Twin、すなわちデジタルツインシステムとそのThingsのためのSDFモデリングを規定します。SDFはデータとインタラクションを作成・維持し、これらのインタラクションで交換される様々な種類のデータを表現するために使用されるフォーマットです。SDFフォーマットは、デジタルツイン内のコンポーネントとしてThings(物理オブジェクト)を含む場合に、それらの特性、動作、インタラクションをモデル化するために使用できます。
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Constrained GeneRic Autonomic Signaling Protocol

GeneRic Autonomic Signaling Protocol(GRASP)の制約された軽量バリアントであるConstrained GRASP(cGRASP)を提案します。cGRASPはメッセージオーバーヘッドを削減し、TCPをCoAPに置き換えてトランスポートプロトコルとします。CoAPの信頼性機能と展開の成熟度を活用することで、cGRASPはTCPに依存せずに信頼性の高いシグナリングサービスを提供でき、軽量でリソース制約のあるデバイスが支配的なIoTに適しています。さらに、IP接続のないネットワークでcGRASPを動作させるための潜在的なアプローチについても議論しています。
Draft Link

編集後記

今日は26件という大量のInternet-Draftが公開され、まさにAI時代の技術標準化が本格化していることを実感しました。特にOAuth Transaction Tokensのエージェント拡張は、自律AIエージェントが普及する未来を見据えた重要な一歩だと思います。「誰がそのエージェントを動かしているのか」という責任の所在を明確にする仕組みは、セキュリティとガバナンスの観点から必須です。

LLMベンチマークの標準化も興味深いですね。用語・手法・プロファイルの3点セットで体系的に整備されており、今後のAI基盤の性能評価が統一的な基準で行えるようになりそうです。一方で、Real Human Verificationのような「AI生成コンテンツとの戦い」も同時進行しているのが現代らしいです。技術の進化と対策がイタチごっこになっている感じがしますが、ハードウェアルートの信頼起点を使うアプローチは理にかなっていますね。


最後に、GMOコネクトでは研究開発や国際標準化に関する支援や技術検証をはじめ、幅広い支援を行っておりますので、何かありましたらお気軽にお問合せください。

お問合せ: https://gmo-connect.jp/contactus/

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