#はじめに
RPA(Robotic Process Automation)という言葉が広がり始めてから数年が経ち、その効果や限界が見えてきている中で、RPAができる事をより多く(知的に)行う取り組みとしてIntelligent Automationが注目を集めつつある。
Intelligent AutomationとはRPAがどう高度化する事なのか、RPAベンダーの老舗であるBlue Prism社のカンファレンスBlue Prism World London 2019の内容を基に考察してみたい。
#BPWLの概要
Blue Prism World London(以下、BPWL)は2019年4月3日~4日の2日間に渡り開催された。会場は昨年から変更となり、より多くの参加者の収容が可能なExCeL London展示場であった(ExCeL London展示場は2012年ロンドンオリンピック会場としても使用された大規模な施設。ロンドンはBlue Prism本社があるお膝元。)
参加者は2日間ののべ人数で約2,600名程度との事。
会場は各プレゼンターによる講演を行うホールの他にパートナーによるブースも設けられ、各社様々な展示を行っていた(弊社はプラチナスポンサーとして参加)。
尚、去る2019年5月22日~23日の2日間に渡り、アメリカフロリダ州オーランドにて、Blue Prism World Orland 2019が開催された。
また、来る2019年9月19日には、**Blue Prism World Tokyo 2019**が東京にて開催される予定。
【写真】弊社(アクセンチュア)とアバナード社共同のパートナーブース
#BPWLの主要テーマ
Blue PrismではIntelligent Automationの推進を図る構想として、Connected-RPAを提唱しており、今回のBlue Prism Worldでも大きなテーマとなっていた。Connected-RPA戦略とは、企業が最先端のクラウド、AIおよびコグニティブ技術に簡単にアクセスして活用できるようにすることで、革新的方法で競争力を保てるようにし、新製品やサービスを市場に出すまでの時間の短縮も図れるようにするもの。
Connected-RPAを実現するプラットフォームとしてBlue Prismの製品強化を図っており、その技術的戦略は以下のキーワードで語られている。
###1. Partners & Ecosystem
###2. Data & People
###3. Embedded Intelligence
【写真】Connected-RPAの3構成要素
2日間に渡るセッションでは、これらのキーワードがどのように製品機能として実装され、RPAが高度化されていくのかについて説明が行われており、その詳細を見て行きたい。
#1. Partners & Ecosystem
Partners & Ecosystemでは、Blue Prism Digital Exchangeがメインに語られた。そもそもBlue Prism Digital Exchangeとは何か?Blue Prism Digital Exchange(以下、DX)とは、Blue Prismバージョン6.4リリース時に導入された顧客とパートナーをつなぐエンタープライズ向けRPAプラットフォームのマーケットプレイスである。
【写真】Blue Prism Digital Exchange
DXでは、AI(人工知能)、機械学習(ML)、アナリティクス、光学文字認識(OCR)などの先進的なテクノロジー部品を利用することが可能。具体的には、Blue Prismインテリジェントオートメーションスキル機能、オープンAPI、ダウンロード可能なコネクタ、および、再利用可能なビジュアルビジネスオブジェクト(VBO)経由で簡単にアクセスできるようになっており、”マウス3クリックで導入可能”と謳っている。当初からABBYなどの著名な企業が当初参画しているが、DX立ち上げ後、4ヶ月経過時点では、登録企業約600社、3000人を超える登録ユーザーを保有しており、100以上のアセットがダウンロード可能となっている。
###エコシステムとは?
2日目のセッション「Create: Putting Intelligent Automation Skill to Work」では、Digital ExchangeのVice PresidentであるPaul Nerger氏よりDXの展望について説明があった。
【写真】Putting Intelligent Automation Skill to Workセッション
Blue Prismの言うエコシステムとは、DXを通してその多くを視覚化する:
- 顧客とパートナーがDX上のコミュニティを通して実現するコラボレーション
- DXが実現するイノベーションに焦点を合わせたルールと構造としてのガバナンス
- DXが提供するベストプラクティス
- DXが提供する価値から得られるインサイト
###DX2.0の機能強化
現時点ではDXはバージョン1.0の段階であり、バージョン2.0では以下のような新機能が提供される:
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Eコマース
- DX上にあらゆる機能をリスト化し、Blue Prismとサードパーティーとが部品機能を売買できるようにする。
- 無料トライアルやBlue Prism自体の購入も可能。
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DXの開発コミュニティの強化
- 顧客やパートナーが知見やユースケースを共有するためのコミュニティツールを提供する。ポータルサイトを提供。
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エンタープライズ向けのDX
- GitHub経由で共有されるオープンソース環境において、Blue Prismアセット、パートナーおよび顧客のアセットがセキュアに共有することが可能となる。これにより、顧客と導入支援パートナーは、プライベートかつセキュアな環境で、独自のアセットを共有できるようになる。このプライベートアセットは、指定されたユーザーグループ対してだけDX上に表示され、利用対象者を制限する。
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DX提供者の場
- DX提供者は、既存のBlue Prism機能に付加価値を有償・無償で提供する。ポータルサイトを提供。
- Google Analyticsとの統合により、どのようにアセットがダウンロードされ利用できるか把握可能に。
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DXユーザーの場
- DXユーザーは、DX提供者が提供するアセットを通して、Blue Prismのライセンスの価値を高め、より迅速に価値を享受する。Blue Prism内部から容易に利用可能に。ポータルサイトを提供。
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TAPパートナーの場
- 従来のTechnology Alliance Program(TAP)パートナーは、Blue Prismが提供する機能とかぶることがあっても、依然として重要である。
前編の内容はここまで。
後編では、引き続き、「2. Data & People」、「3. Embedded Intelligence」についてお届けする。
トピック的には後編がメインと言ってよいだろう。