日本語の文章を改善するAgent Skillはいくつか存在しますが、その中でも私が一番お勧めしたいのが、bamboo-novaさん作成の「meiseki」(明晰)です。
この記事ではmeisekiの特徴を紹介します。
meisekiとは
日本語の文章を明快で読みやすくすることに特化したAgent Skillです。
文章に余分な色付けをせず、読みにくい表現・書き方を、平易で読みやすい書き方にします。
他にも日本語を改善するAgent Skillは多数ありますが(humanizer-ja、stop-ai-slop-jp、cognitive-rhythm-writingなど)、それらと異なり元の意味や文体にできるだけ手を加えず、分かりやすさだけを高めてくれるのが特徴です。
自分が書いた文章を読みやすくするのはもちろん、他の人が書いた文章を読みやすくしたいときにも使えます!
仕様書やマニュアルなどのちゃんとしたドキュメント以外に、送られたメールの本文が分かりにくい! というときにも便利です。
変換例
以下のような文章を例にとります。(公式リポジトリの変換サンプルより引用しました)
近年、マイクロサービスアーキテクチャの採用が進む中で、サービス間通信における信頼性の確保は重要な課題となっています。本ライブラリは、ネットワーク障害が発生した際にリクエストを自動的に再送する処理を担当するリトライ機構を提供するものですが、すべてのエラーに対して再送が行われるわけではなく、再送が適切でないとされるエラーについては再送が行われないように設定することができます。また、リトライ回数の上限の設定の検討が必要となる場合があり、これを適切に設定しないとシステムへの負荷の増大を招かないとは言えません。
具体的ですが、人間が読むにはわかりにくいですね。
この文章をmeisekiで処理すると、以下のように書き換えられます。
本ライブラリは、ネットワーク障害が起きたときにリクエストを自動で再送するリトライ機構です。ただし、すべてのエラーを再送するわけではありません。再送が適切でないエラーは、再送しないように設定できます。
また、リトライ回数には上限の設定が必要な場合もあります。これを適切に設定しないと、システムの負荷が増えることがあります。
書き換え前後を比べると、以下の点が改善されています。
| 変換前 | 変換後 | 改善内容 |
|---|---|---|
近年、マイクロサービスアーキテクチャの採用が進む中で、サービス間通信における信頼性の確保は重要な課題となっています。本ライブラリは、… |
本ライブラリは、… |
冒頭の一般論を削り、ライブラリの説明から始めています。読者は文章の要点をすぐにつかめます。 |
リクエストを自動的に再送する処理を担当するリトライ機構を提供するものですが、 |
リクエストを自動で再送するリトライ機構です。 |
リトライ機構にかかる修飾語を短くし、主語と述語の関係を追いやすくしています。 |
すべてのエラーに対して再送が行われるわけではなく、再送が適切でないとされるエラーについては再送が行われないように設定することができます。 |
すべてのエラーを再送するわけではありません。再送が適切でないエラーは、再送しないように設定できます。 |
一文を二文に分け、再送が行われるのような受け身の表現も簡潔にしています。 |
リトライ回数の上限の設定の検討が必要となる場合があり、 |
リトライ回数には上限の設定が必要な場合もあります。 |
複数の「の」でつないだ表現を書き換えています。 |
システムへの負荷の増大を招かないとは言えません |
システムの負荷が増えることがあります |
二重否定(招かないとは言えません)を取り除いています。 |
上記以外の変換例については、公式リポジトリの変換サンプルを参照してください。
インストール方法
事前にNode.jsのインストールが必要です。(日本語の検証・採点にtextlintを使用するため)
1. 通常のAgent Skillとしてインストール
通常のAgent Skillとして使う場合は、次のコマンドでインストールできます。
npx skills add https://github.com/bamboo-nova/meiseki --skill meiseki
コマンドを実行すると、インストールさせたいAIエージェントやインストール範囲(Project / Global)を質問されるため、それぞれ回答してインストールしてください。
2. Claude Codeプラグインとしてインストール
Claude Codeで使用したい場合は、次のコマンドによりプラグインとしてもインストールできます。
git clone https://github.com/bamboo-nova/meiseki.git
claude plugin marketplace add ./meiseki
claude plugin install meiseki@bamboo-nova-ja-tools
インストールせずに一時的に有効化したいだけなら、以下でOKです。
claude --plugin-dir ./meiseki
使い方
AIエージェント(Claude Code, Codexなど)に以下のように指示してください。
DOCUMENT.md にmeisekiを適用してください。
この説明文をmeisekiで処理してください。
以下のように指示することで、変更点や変更前後の読解負荷スコア(文章の読みにくさを表す指標)を出力させることもできます。
この設計書にmeisekiを適用してください。
どこを直したかと、適用前後の読解負荷スコアも出してください。
レビューだけを行ってもらい、採用するかどうかの判断を個別に行いたい場合は、以下のように指示してください。
DOCUMENT.md をmeisekiスキルでレビューし、改善箇所を提案してください。実際の変更は行わないでください。
meisekiの改善対象一覧
meisekiは、読解負荷の高い構文を以下の6カテゴリに分け、優先度の高いものから順に(A→Fの順で)直します。
A. 否定・条件の入れ子(最優先)
B. 係り受け・修飾の距離
C. 名詞化・漢語の重さ
D. 冗長・空虚な表現
E. 構造・体裁
F. 情報の構造化(列挙の箇条書き化)
2026/7/26現在、改善の対象となるのは以下の19パターンです。
| パターン | 変換前 | 変換後 | 改善の要点 |
|---|---|---|---|
| A1. 二重否定(litotes) | このオプションは使えないわけではないが、推奨はしない。 |
このオプションは使えるが、推奨はしない。 |
二重の否定を肯定形に畳み、結論の向きを直接示す |
| A2. 否定+条件のネスト | 設定が無効でない限り、再送が行われないということはない。 |
設定が有効なら、再送は行われる。 |
否定を含む条件を、成立条件から読める形にする |
| A3. 否定疑問・婉曲の断定回避 | この設計は過剰なのではないだろうか。 |
この設計は過剰だと考える。 |
問いかけの形に隠れた主張を明示する |
| B1. 長い連体修飾(LLM 判断) | ユーザーが入力した値を検証してから保存する処理を担当する関数。 |
この関数は、入力値を検証し、保存します。 |
名詞の前に積まれた説明を述語へ開き、頭から読める語順にする |
| B2. 一文に節を詰めすぎ | 本ライブラリはリトライ機構を提供しますが、全エラーで再送するわけではなく、上限の設定も必要です。 |
本ライブラリはリトライ機構を提供します。ただし、すべてのエラーで再送するわけではありません。再送回数の上限も設定が必要です。 |
一文一メッセージを目安に分割する |
| B3. 係り先が曖昧 | 赤いシステムのログを確認する。 |
システムの赤いログを確認する。 |
語順を変え、「赤い」が「ログ」に掛かることを明示する |
| C1. サ変名詞化された動作 | 本機能は処理性能の改善の実現に寄与します。 |
本機能は処理性能を改善できます。 |
「改善の実現」のような名詞化を動詞に戻す |
| C2.「の」の連鎖 | リトライ回数の上限の設定の検討。 |
リトライ回数の上限をどう設定するか検討します。 |
3回以上続く「の」を、助詞や動詞を使って開く |
| C3. 過剰な漢語・硬い指示語 | 当該エラーに起因する再送の抑制。 |
このエラーが原因で再送を止めます。 |
硬い指示語や漢字の塊を、意味が直接伝わる表現にする |
| D1.「することができます」→「できます」 | 設定することができます。 |
設定できます。 |
「することができます」を短い可能表現にする |
| D2. 中身のない枠付け | パフォーマンスという観点において、改善が見られます。 |
パフォーマンスが改善します。 |
対比や限定を担わない枠付けを外す |
| D3. 大げさな断定・装飾 | 圧倒的に高速で、極めて堅牢な処理を実現します。 |
高速で、安定して処理します。 |
根拠のない強調を外し、主張の強さを事実に合わせる |
| D4. 断定回避の枕詞 | 基本的にこの方式を採用します。 |
この方式を採用します。 |
実質的な例外を示さない留保を削る |
| D5. 冒頭の一般論前置き | 近年、マイクロサービスの採用が進む中で、信頼性の確保は重要な課題となっています。本ライブラリは、通信失敗時にリクエストを再送します。 |
本ライブラリは、通信失敗時にリクエストを再送します。 |
論旨に不要な時代背景を削り、要点から始める |
| E1. 太字+コロンの箇条書き乱用 | - 入力確認:入力を検証します。 - 保存:検証後に保存します。 |
入力を検証します。検証後に保存します。 | 一続きの説明を散文に戻し、論理の流れをつなぐ |
| E2. 三点リストの強制 |
このツールを導入する理由は、次の3点です。1. 入力ミスを減らせる 2. 集計時間を短縮できる 3. 業務を改善できる |
このツールを導入する理由は、入力ミスを減らせることと、集計時間を短縮できることの2点です。 |
「業務を改善できる」は前の2点をまとめただけなので削り、独立した理由だけを示す |
| E3. ダッシュ・記号の乱用 | 設定の変更は——緊急時を除き——管理者だけが行います/変更後は必ず動作確認を実施してください。 |
設定の変更は、緊急時を除き、管理者だけが行います。変更後は必ず動作を確認してください。 |
ダッシュとスラッシュを読点と句点に置き換え、文を自然につなぐ |
| E4. 見出しの過剰構造化・体言止め連発 |
## 入力業務### 現在の運用#### 運用上の課題- 同じ情報の重複入力。 - 確認工数の増大。 - 入力ミスの頻発。 |
## 入力業務の課題現在は、同じ情報を複数のシステムに入力しています。そのため、確認に時間がかかり、入力ミスも発生しています。 |
見出しを内容に合う一段へまとめ、体言止めの箇条書きを述語のある文にする |
| F1. 埋もれた列挙 | 本機能は、リクエストの再送、再送回数の上限管理、再送間隔のバックオフ制御を行います。 | 本機能は次の3つを行います。 - リクエストの再送 - 再送回数の上限管理 - 再送間隔のバックオフ制御 |
3項目以上の同格な列挙を箇条書きに開く |
おわりに
メール本文、仕様書、マニュアル、技術記事など、日本語で書かれた文章をとりあえず読みやすくしたいときはmeisekiを使いましょう!
meisekiの詳細な仕組みや設計思想について知りたい方は、作者のbamboo-novaさんが執筆された以下の解説記事も読んでみてください。