はじめに
Windowsの起動ディスクを容量の大きなSSDに換装した後で、回復パーティションを末尾に移動します。
メーカー製マイグレーションツールが提供されておらず、有料ツールも使用せず、Windowsの機能のみを使用する前提です。
この記事は、将来同じ作業を行う場合に備えたメモです。
また、これは「misskey.dev ユーザー Advent Calendar 2024」6日目の記事です。
環境
Windows 11 Pro 23H2
想定と方針
- Windowsイメージバックアップ(wbadmin)からの回復を利用して換装、あるいは、クラッシュからの回復時に容量の大きなSSDを使用します。
- 移行元の起動ディスクでは、起動パーティション(システムボリューム)の後に回復パーティションが存在しました。
- イメージの回復ではパーティションのサイズを変更できないので、回復後は、システムボリュームと空き領域の間に回復パーティションが存在する状態になります。
- 回復パーティションをいったん削除し、システムボリュームを広げた上で、末尾に回復パーティションを作り直します。
手順
換装
- 古いSSDを取り外して、容量の大きな新しいSSDを装着します。
必要に応じて、BIOS画面でSSDの認識を確認したり、設定を変更したりします。 - インストールメディアやリカバリメディアを利用して回復環境を起動します。
- バックアップイメージからの回復を実施して、新しいSSDにシステムイメージを復元します。
状況の確認
ディスクの管理を使って、回復後の状態を確認すると、システムボリュームの後に、回復パーティションがあり、さらに、空き領域が続いているハズです。
もし、この時点で、システムボリュームと空き領域が隣接している場合は、以降の処置は不要で、単に、システムボリュームを右クリックしてボリュームの拡張を行えば済みます。
あるいは、空き領域が存在しない場合は、そもそも、この記事の前提から外れています。
回復パーティションの無効化
回復パーティションを削除する前に、まず、無効化します。
reagentc
の起動には、管理者権限のあるコマンドプロンプトが必要です。
C:\Users\user>reagentc /disable
REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
C:\Users\user>reagentc /info
Windows 回復環境 (Windows RE) およびシステム リセット構成
情報:
Windows RE の状態: Disabled
Windows RE の場所:
ブート構成データ (BCD) ID: 00000000-0000-0000-0000-000000000000
回復イメージの場所:
回復イメージ インデックス: 0
カスタム イメージの場所:
カスタム イメージ インデックス: 0
REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
回復パーティションの特定と選択
diskpart
を使用して、ディスクとパーティションを一覧し、回復パーティションを選択します。
diskpart
の起動には、管理者権限のあるコマンドプロンプトが必要です。
C:\Users\user>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン 10.0.22621.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター: COMPUTER
diskpart
には、コマンド毎の操作対象の指定がありません。
あらかじめ、select
コマンドで、操作の対象を指定しておく必要があります。
DISKPART> list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナ GPT
### ミック
------------ ------------- ------- ------- --- ---
ディスク 0 オンライン 7452 GB 1024 KB *
ディスク 1 オンライン 931 GB 0 B *
ディスク 2 オンライン 1863 GB 931 GB *
DISKPART> select disk 2
ディスク 2 が選択されました。
DISKPART> list part
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 930 GB 117 MB
Partition 4 回復 846 MB 930 GB
DISKPART> select part 4
パーティション 4 が選択されました。
回復パーティションの確認
後の復旧に備えて、回復パーティションの状態を確認しておきます。
DISKPART> detail part
パーティション 4
種類 : de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac
隠し属性 : はい
必要 : はい
属性 : 0X8000000000000001
オフセット (バイト): 999314948096
Volume ### Ltr Label Fs Type Size Status Info
---------- --- ----------- ---- ---------- ------- --------- --------
* Volume 6 NTFS Partition 846 MB 正常 非表示
回復パーティションの削除
注意
回復パーティションを削除する前に、回復パーティションを無効化してください。
万が一、無効化せずに削除した場合は、この記事の方法では復旧できず、回復パーティションの再構築が必要になります。
注意
あらかじめ、select
コマンドで、適切なパーティションを選択してください。
間違った対象を削除することのないように、十分注意してください。
再度、回復パーティションの「無効化」と「選択」が正しくできていることを確認してください。
間違いなければ、回復パーティションを削除します。
DISKPART> delete part override
DiskPart は選択されたパーティションを正常に削除しました。
DISKPART> list part
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 1862 GB 117 MB
システムボリュームの拡張
回復パーティションの容量分を残して、システムボリュームのパーティションを拡張します。
diskpart
でも可能ですが、「ディスクの管理」を使用しました。
回復パーティションの生成
残した容量でパーティションを生成し、回復パーティション化します。
DISKPART> create partition primary
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
DISKPART> list part
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 1862 GB 117 MB
* Partition 4 プライマリ 847 MB 1862 GB
DISKPART> format quick fs=ntfs label=Recovery
100% 完了しました
DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。
DISKPART> set id="de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac"
DiskPart は、パーティション ID を設定しました。
DISKPART> gpt attributes=0x8000000000000001
選択された GPT パーティションに DiskPart で属性を割り当てました。
DISKPART> list part
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 1862 GB 117 MB
* Partition 4 回復 847 MB 1862 GB
DISKPART> exit
DiskPart を終了しています...
回復パーティションの有効化
回復パーティションを有効化します。
C:\Users\user>reagentc /enable
REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
C:\Users\user>reagentc /info
Windows 回復環境 (Windows RE) およびシステム リセット構成
情報:
Windows RE の状態: Enabled
Windows RE の場所: \\?\GLOBALROOT\device\harddisk2\partition4\Recovery\WindowsRE
ブート構成データ (BCD) ID: 00000000-0000-0000-0000-000000000000
回復イメージの場所:
回復イメージ インデックス: 0
カスタム イメージの場所:
カスタム イメージ インデックス: 0
REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
これで完了です。
お疲れ様でした。
資料
補足・蛇足
回復パーティションの再構築
上記資料の「Windows RE の展開」と「~再構成の方法」の末尾には、「reagentc /disable
で無効化せずに回復パーティションを削除するなどして、reagentc /enable
で有効化できない」場合の再構築方法が記載されています。
メーカー製ツール
サムスン電子の自社製品向け管理ツールSamsung Magician
で、マイグレーションを実施すると、複製先で回復パーティションが先頭に移動されるようです。
つまり、以後は、「ディスクの管理」を使用するだけで、システムボリュームを拡張可能になるわけですね。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。