1. はじめに
2011年にドイツが Industry 4.0 を提唱してから、すでに15年が経過しました。
では実際のところ、世の中の工場はどこまでスマートファクトリー化が進んでいるのでしょうか。
中国では「中国製造2025」、日本では「Society 5.0」など、さまざまな構想が打ち出されています。
大手企業では一定の成果が出ている一方で、中小企業や既存工場では、いまだ手探り状態というケースも多いのではないかと感じています。
私の勤めている工場でも、スマートファクトリー化はまだ発展途上です。
当然ながら、製造している製品の種類や工程の複雑さによって難易度は大きく変わりますし、導入コストの問題もあります。そのため、スマートファクトリー化は一筋縄ではいきません。
また、
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そもそもスマートファクトリー化を推進できる人材がいない
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何から手を付ければよいのかわからない
といった課題に直面しているケースも多いと思います。
本記事では、私が 生産技術エンジニアとして自社工場のスマートファクトリー化に携わってきた経験 をもとに、
「まず設備側で何を考え、何を準備すべきか」について、実践寄りの視点で整理していきます。
※ 本記事では 新規ラインではなく、すでに稼働している既存ライン を前提とします。
2. ゴールを決める
最初にやるべきことは、「どこまでをゴールとするのか」を明確にすることです。
例えば、
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稼働状況の見える化をしたい
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生産条件の自動設定をしたい
-
予知保全を行いたい
といった目的によって、必要な設備や構成は大きく変わってきます。
ゴールによって準備するものは異なりますが、
設備側の実装パターンは大きく分けて、次の2種類に集約されると考えています。
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置き換え
-
外付け
3. 構成・部品を選定する
次に、設定したゴールに到達するための構成・部品を選定していきます。
ここではあくまで 選定の目安 を示しますので、各社・各工場の事情に合わせて取捨選択してください。
① PLC
【置き換えの場合】
PLCを置き換える場合は、Ethernet通信機能を搭載したPLC を選定すれば問題ありません。
メーカーによっては、DBへの直接読み書きが可能なユニットを用意している場合もあります。
【外付けの場合】
既存設備に外付けする場合は、
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MISUMIなどで既製品の制御BOXを購入
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もしくは自社で板金図を作成してBOXを製作
といった方法で筐体を用意し、
その中に Ethernet通信機能付きPLC を組み込みます。
② シリアル通信ユニット(外付けの場合)
既存ラインを見える化・自動化する際にネックになりやすいのが、
すでに生産終了しているPLCを搭載した古い設備 です。
ただし、古いPLCでも多くの場合、
RS-232C や RS-485 などの シリアル通信機能 は搭載されています。
そのため、
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RS-232C / RS-485 対応の通信ユニット
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シリアル通信をEthernetに変換する構成
を用いることで、既存設備からデータを取得することが可能です。
③ IoT機能付きセンサー
予兆保全などを目的とする場合は、
Ethernet通信機能を持つセンサー を新たに追加するのが有効です。
※ LAN配線やスイッチングハブが不足する場合は、別途準備が必要です。
④ エッジPC(またはそれに類するもの)
これは設備そのものではありませんが、
設備データの書き込み先(=データベース) を構築するために必要になります。
すでに設備と連携しているエッジPCが存在する場合は、新規導入は不要です。
エッジコンピューティングについては、以下が参考になります。
https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/edge_computing.html
イメージとしては、
「生産エリア単位でデータを集約するためのPC」と考えてもらえれば問題ありません。
ライン規模がそれほど大きくなければ、
一般的な Windows OS(Pro) を搭載したPCでも十分対応可能だと思います。
参考:置き換えと外付けの比較
| 観点 | 置き換え | 外付け |
|---|---|---|
| 初期コスト | 高い | 比較的低い |
| 工期 | 長い | 短い |
| 既存設備への影響 | 大 | 小 |
| 拡張性 | 高い | 構成次第 |
| 既存ライン向き | △ | ◎ |
PLCを丸ごと置き換える場合、どうしても工期は長くなります。
比較的新しい設備であれば短期間で済みますが、
10年以上前に廃番となっているPLCの場合は、かなりの工数を要します。
そのため、既存ラインに対しては 外付け構成の方が現実的 なケースが多いと感じています。
設計次第では、
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作成した外付けBOXを他ラインへ流用できる
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コストを抑えやすく、稟議も通しやすい
といったメリットもあります。
参考までに、私が携わった例では
KV-8000 + KV-XL202 の構成で、旧ラインからのデータ収集を実現しました。
4. 制御を設計する(概要)
制御設計については、
「何をどこまでやりたいか」によって最適解が大きく変わります。
また、個別事例を細かく記載することは難しいため、
基本的には 使用しているPLCのユーザーマニュアルを確認すること が重要です。
多くのPLCでは、
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Ethernet/IP
-
ソケット通信
-
メーカー独自プロトコル
など、複数の通信手段が用意されています。
その中から 自社環境に最も適した方式 を選択するとよいでしょう。
まずは各工程の設備に対して、
DBへ書き込みを行うための通信手段(Ethernet)を確保する ことが第一歩です。
5. まとめ
本記事では、既存ラインを前提としたスマートファクトリー化について、
生産技術の視点から「まず設備側で何を考えるべきか」 を整理しました。
ポイントを振り返ると、以下の通りです。
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スマートファクトリー化は、最初にゴールを明確にすることが重要
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設備側の実装パターンは、大きく
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置き換え
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外付け
の2種類に分けて考えられる
-
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既存ラインでは、コスト・工期・影響範囲の面から
外付け構成が現実的な選択肢になるケースが多い -
古い設備であっても、
シリアル通信+変換構成 によってデータ取得が可能な場合がある -
データ活用の前提として、
Ethernet通信とエッジPC(データ集約先)の確保が第一歩 になる
スマートファクトリー化というと、
AI・クラウド・ビッグデータといった華やかなキーワードが先行しがちですが、
実際の現場では 「どうやって設備からデータを取り出すか」 が最初の大きな壁になります。
まずは無理のない範囲で、
既存設備を活かしながら、小さく始める ことが重要だと感じています。
今後は、
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データベース設計の考え方
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設備データをどういう単位で持つべきか
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最初にやってしまいがちな失敗例
といった点についても、機会があれば整理していきたいと思います。