この記事は クラウドワークス グループ Advent Calendar 2024 シリーズ1の20日目の記事です。
はじめに
こんにちは。クラウドログの開発チームでエンジニアをしている @tera4ma です。
今回は初めてM&Aした会社の開発チーム統合を経験した話をしようと思います。
始まりは突然に
突然、M&Aで合流することになった会社の開発チームとの統合が決まり、その担当となりました。噂は聞いていたものの、まさか自分が深く関わるとは思っていなかったため、正直焦りました。
開発チームのリーダーとして動いてはいたものの、これまでは自チーム内でのやり取りが中心でした。そのため、文化や価値観が異なる新しいチームとうまく統合できるかな...と不安MAXでした。
トライしたこと
泣き言を言っても始まりません。新しいチームになってから、さまざまなことにトライしました。
- ナレッジのドキュメント化による属人化の排除
- Scrum開発の導入による開発プロセスの統一
- 問い合わせ業務の効率化
- クラウドログで工数記録を開始し、振り返りに利用するためのデータ蓄積
- タスク管理方法の改善による業務透明性の向上
他にも色々実施しましたが、これらの中でも、個人的にはScrum開発の導入が最も効果的でした。具体的なメリットを以下に紹介します。
コミュニケーション機会の増加
新しいチームとクラウドログの開発プロセスを統一するため、Scrum開発を導入しました。
もちろん、今後の機能開発の効率を高めるという目的もありましたが、それ以上にコミュニケーション機会が増えるという点に大きなメリットを感じました。
これまで関わりがなかった人とスムーズに仕事ができるかと問われたら、僕はNoと答えます。相手の性格や接し方がわからないと、ただ話すだけでも緊張しちゃいます。(人見知り)
しかし、Scrum開発では強制的にコミュニケーション機会が生まれます。これによって、新しいメンバーのことを知る機会が自然と増え、会話の心理的ハードルが下がりました。
文化と価値観の確認
Scrum導入を通じて、文化や価値観の確認も進めることができました。
開発プロセスを統一すると言っても、完全に統一したわけではありません。チームの成熟度やメンバーの性質(個性)を把握してスタートラインを決める必要があります。
そこで、Scrumで活用できる以下の項目についてチーム内で議論をして完成させました。
- やらないことリスト
- トレードオフスライダー
- 完成の定義
内容はもちろんScrumで活用できるため有益なのですが、その副産物として、完成させるにあたって 「譲れる点・譲れない点」や「メンバーの考え方」 を知ることができました。
これが個人的には重要で、「この人はどんな部分なら妥協できるのか?」「この人にとっては何が重要なのか?」を知ることができ、その後のコミュニケーションがスムーズになったと感じています。
会話の心理的安全性の上昇
Scrumでは定期的に振り返り(レトロスペクティブ)を行いますが、その機会を活用して会話の心理的安全性をあげることができたと感じています。
振り返りでは、以下のルールを徹底しています。
- 問題や意見は率直に話す
- 責めるのではなく、改善に向けたポジティブな対話をする
当たり前ではありますが、これらに慣れてくれば率直な意見を出すことが日常的な習慣になります。そして、それは普段の会話にも生きてきます。
ある程度知った者同士でしたらそこまでハードルは高くないかもしれません。しかし、初めましてで会って1、2ヶ月そこらの人に対して、いきなり「率直に意見をぶつけましょう!」と伝えてもなかなか習慣化させることは難しいと思います。
なので、定期的に行われ、かつ率直に意見をぶつけるべき場である振り返りを利用して慣れてもらい、それが普段の会話にも反映されれば良いと考えて実践しました。
結果として、初期と比べて普段の会話でも率直に意見を言っている機会が増えたと感じています。
苦労したこと
最も苦労したのは DD(Due Diligence)に参加していなかったから事前情報がなかった点 です。DDにはインサイダー情報が含まれるため、私は情報が公開されるまで関わることができませんでした。
もし最初から参加できていれば、
- どれくらい属人化した状況なのだろう?
- 開発体制や技術スタックはどうなのだろう?
- 改善すべき点はなんなのだろう?
を先回りして整理することができ、スタートダッシュを切れたと思っています。
しかし、今回は事前情報が全くない状態で統合を任されたため、キャッチアップに時間 がかかってしまいました。
最後に
色々書きましたが、今回の経験を通して感じたM&Aによる開発チーム統合をする上で大事なことは2つです。
- コミュニケーション機会を増やして相手を知れ!
- チーム統合を担当するメンバーには、DD(Due Diligence)の段階から参加してもらえ!
知識や技術スキルも大切ですが、やはりメンバーとの繋がりをまずは大事にするという点が基本であり最も大切だなと改めて感じました。
大変なこともありましたが、初めてイチからチームビルディングをすることができ、非常に勉強になりました。ここで学んだことを活かしつつ、これからも精進してきたいと思います。