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筆者プロフィール: ソフトウェアエンジニア。「知った気にならない。いつまでも学び続ける」を信条に、業務と個人開発の両輪で技術を磨いています。AI 駆動開発で複数の個人開発アプリを構築・運用中。
👉 ポートフォリオ: 筆者ホームページ
本業の傍ら 6 ヶ月かけて開発した AI業務管理秘書 SaaS「たすきば Knowledge Relay」 を本日公開します。過去の業務資産 (ナレッジ・リスク・課題・振り返り・メモ) の管理を AI 秘書が手伝い、プロジェクト管理まで一気通貫で担う サービスです。本記事では、サービスの全体像と「なぜ作ったか」「何が他と違うか」をまとめます。
サービスの機能紹介・画面イメージ・コンセプトは公式プロダクトページをご覧ください。
👉 たすきば Knowledge Relay — 公式プロダクトページ
サマリ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | たすきば Knowledge Relay |
| 公開日 | 2026 年 6 月 1 日 |
| 対象ユーザ | 業務利用で継続的にプロジェクトを運営する組織のマネージャ層 (PM / PL / チームリーダ) |
| コア機能 | 過去プロジェクトの資産 (ナレッジ・リスク・課題・振り返り・メモ) を、新規プロジェクト立ち上げ時に 意味検索で自動提案 |
| プラン | Beginner (月額¥0 / 5 席 / 90 日試用) / Expert (月額¥0 + 従量課金 / Haiku) / Pro (月額¥0 + 従量課金 + 「なぜ?」機能 / Sonnet) |
1. "たすきば" とは何か
たすきば Knowledge Relay は、
AI 秘書が、過去に蓄積された業務資産を最適なタイミングで掘り起こす「AI 業務管理秘書」
です。プロジェクト管理 (状態マシン / WBS / ガントチャート) を土台に、その上で AI 秘書が資産活用を手伝います。
「掘り起こす」と書いたのは、検索でも蓄積でもないからです。たすきばが提供する機能は、ユーザが情報を探しに行く前に、システム側から候補を提示しに来る ことにあります。
たとえば、新しいプロジェクトを立ち上げる際:
1. プロジェクトの目的・背景・スコープを入力する
2. たすきばが過去の全プロジェクトの資産を意味検索で評価する
3. 関連性の高い順に、5 資産タイプ (プロジェクト / ナレッジ / リスク・課題 / 振り返り / メモ)
× 関連度 3 段階 (strong / medium / weak) で並び替えて提示する
4. strong tier の上位 5 件のみ初期表示、medium / weak はデフォルト折りたたみで情報過多を抑制
この一連の操作で、過去にあった類似プロジェクトのナレッジ、潜在リスク、過去の課題、振り返りの教訓、関連メモが、意識しなくても目に入る 状態を作ります。「100 件の検索結果を人の目で確認する」のではなく、上位の数件を見れば足りる状態を目指す ── これが UI 設計の中核です。
2. なぜ "意味検索" なのか
既存の業務管理ツールの多くは、データの 蓄積に長けている 一方、利活用が不得意 です。
理由は、検索が 全文検索 (キーワード一致) で実装されているから。
| 検索クエリ | 全文検索 | 意味検索 |
|---|---|---|
| 「セキュリティ要件」 | 「情報漏洩対策」がヒットしない | 関連エントリとして提示 |
| 「QCD」 | 「品質・コスト・納期」がヒットしない | 同義として認識 |
| 「DB バックアップ」 | 「データ保全」がヒットしない | 意味的近さで提示 |
たすきばは、Voyage AI Embedding + PostgreSQL pgvector を組み合わせた意味検索を採用しています。
- Voyage が 1,024 次元のベクトルを生成
- PostgreSQL pgvector が Cosine 類似度でランキング
- タグマッチング (Jaccard 係数 0.3) + 文字列類似度 (pg_trgm 0.2) + 意味類似度 (Voyage 0.5) の 3 軸合算スコア で評価
これにより、表記揺れも意味的近さも両方を拾える設計です。
3. 主要画面
[たすきばの主要画面]
├─ ダッシュボード — 担当プロジェクトの状態、最近の活動、提案候補
├─ 全顧客管理 — プロジェクトを紐付ける顧客 (受注先・社内部署など) の事前登録
├─ プロジェクト管理 — 状態マシン (7 状態の一方向遷移) / メンバー管理 / 設定
├─ WBS / ガントチャート — タスク階層管理、リサイズ可能な列、CSV インポート対応
├─ ナレッジ管理 — Markdown 入力、添付ファイル、タグ自動抽出
├─ リスク / 課題管理 — 解消状態管理、過去の類似事例の自動提示
├─ 振り返り — KPT / Try-Action 構造
├─ メモ — 私的メモと共有メモの 2 段階 visibility
├─ 見積もり — 工数計算
├─ マイタスク — 担当タスクの横断ビュー
├─ たすきフクロウ (チャット) — 全画面右下に常駐、自然文で過去資産を横断意味検索
├─ ユーザ管理 — メンバー招待 / 役割変更 / リカバリーコード再発行
├─ テナント管理 — 課金状況・API 利用量・予算上限・MFA 設定
├─ 監査ログ — 「誰が・いつ・何にアクセスしたか」の操作履歴
└─ システム管理 — super_admin 向け、テナント追加・利用量モニタ
WBS — タスク階層管理
ガントチャート — スケジュール可視化
たすきフクロウ — 全画面右下に常駐するチャット意味検索
5 資産タイプを横断して 自然文で過去資産を検索 できます。LINE / Teams 風の吹き出し UI で、たすきフクロウが過去資産を見つけて返してくれます。Beginner プランは 完全無料・無制限 (ADR-0022)。
監査ログ — 操作履歴の追跡
4. 課金体系の考え方
たすきばは 「儲けるための課金ではなく、続けるための課金」 をスタンスにしています。月額固定費はゼロ、使った分だけのシンプルな従量課金です。
プラン比較 (2026-06-01 ADR-0022 改定後)
| Beginner | Expert | Pro | |
|---|---|---|---|
| 月額固定 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
| 席数 | 5 席まで | 無制限 | 無制限 |
| プロジェクト作成・更新 (自動タグ抽出 + ベクトル化) | 月 50 回まで無料 | ¥10 / 回 | ¥15 / 回 |
| 資産入力 / チャット検索 / CSV インポート / 添付ファイル embedding | 完全無料・無制限 | ¥1 / 業務操作 | ¥1 / 業務操作 |
| 「なぜ?」機能 (提案根拠を AI が自然文で説明) | 利用不可 | 利用不可 | ¥15 / 回 (Sonnet) |
| LLM モデル | Haiku | Haiku | Sonnet |
| 試用期間 | 90 日間無料 | — | — |
| 月次予算上限 | — (50 回固定) | テナント管理者が円単位で設定可 | 同左 |
容量・ストレージ (ADR-0020 / ADR-0021)
| 種別 | 無料枠 | 超過時 | 上限 |
|---|---|---|---|
| DB 容量 | 50MB | ¥50 / 1GB (税抜) | テナントあたり 50GB |
| ファイルストレージ (添付ファイル本体) | 100MB | ¥10 / 1GB (税抜) | 1 ファイル 50MB / テナントあたり 50GB |
課金 0 円になるケース
- プロジェクトで「目的・背景・スコープがすべて空欄」 (AI 呼出なし)
- 「公開範囲: 自分のみ」の資産 (提案エンジン対象外)
- 「公開範囲だけ」の変更 (タグや状態のみの変更は AI 呼出なし)
- リスク・課題で 状態が「解消」になっていない ものの作成・更新 (提案エンジンは過去の解消事例のみ参照)
- API 呼び出しが 失敗した場合 / キャッシュヒットした場合
- 月初 cron による失敗 embedding 自動リカバリ (全プラン無料維持)
Beginner 試用後の挙動
| 経過日数 | 状態 |
|---|---|
| 0〜59 日 | Beginner 試用中 |
| 60 / 75 日 | 期限警告メール送信 |
| 90 日 | 読み取り専用モードに移行 (閲覧 / エクスポート / アップグレード / セルフ解約のみ可) |
| 90〜179 日 | 読み取り専用継続。アップグレードで即時復帰 |
| 180 日 | 業務データを自動物理削除 (復旧不可) |
縮退モード
予算上限到達時 (Beginner は 50 回到達時) は AI 機能のみ一時停止する 「縮退モード」 に移行。データの閲覧・編集・チャット検索 (既存 embedding) は継続可能で、月初に自動復帰します。
詳細は ADR-0019 (Billable Feature Units) / ADR-0020 (DB 容量従量課金) / ADR-0021 (ファイルストレージ従量課金) / ADR-0022 (Embedding Usage-Based Billing) を別途公開していきます。
5. 技術スタック
| レイヤ | 採用 |
|---|---|
| 言語 | TypeScript 5.x |
| フロントエンド | Next.js 16.x (App Router) |
| UI | React 19.x + shadcn/ui + Tailwind CSS |
| ORM | Prisma 7.x (pg adapter) |
| DB | PostgreSQL 16.x (Supabase, pgvector) |
| 認証 | NextAuth.js (Auth.js) 5.x + Credentials + TOTP MFA |
| Embedding | Voyage AI (voyage-4-lite, 1,024 次元) |
| LLM | Anthropic Claude (Haiku / Sonnet) |
| 課金 | Stripe Metered Billing |
| メール | Brevo |
| ホスティング | Netlify (Vercel から移行済) + Supabase |
| テスト | Vitest + Playwright |
| CI/CD | GitHub Actions (security score 90/100 強制) |
6. "個人開発" であること
たすきばは、私 (teppei) ひとりが本業の傍らで開発しています。共同開発者は今後募集する予定ですが、当面は私 + Claude Code (緊急時のみ) の体制となります。
そのため:
- 品質ゲートをすべて CI に焼き付ける (lint / tsc / test / E2E / Visual / Security)
- 罠は KDD に蓄積する (現在 16,000 行超)
- 設計判断は ADR で残す (現在 21 本)
- ドキュメントは三層 (要件 / 設計 / 仕様) を常に最新化
—— という運営をしています。これは 「将来加わってくる人間開発者」 のための投資でもあります。
7. 連載予告
ここから先、技術的な深掘り記事を連載していきます。
| 章 | テーマ |
|---|---|
| C | 技術スタック総覧、設計原則 |
| D | 提案エンジン (意味検索) の深掘り |
| E | マルチテナント / セキュリティ / 認可 |
| F | 課金・請求・Stripe Metered Billing |
| G | インフラ・デプロイの罠 |
| H | CI / テスト / 品質保証 |
| I | 設計の苦労話 / KDD ハイライト |
| J | プロセス・ドキュメント・AI 駆動開発 |
| L | リリース後の展望 |
毎日 1 記事ペースで投稿予定です。お楽しみに。
おわりに
「過去に蓄積されたナレッジを、最適なタイミングで掘り起こす」 — このコンセプトに少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ公式プロダクトページもご覧ください。






