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Visual Studio 2017でTcl/Tk 8.6.9をコンパイルする

Last updated at Posted at 2019-01-06

はじめに

Tkを使うとクロスプラットフォームなGUIアプリケーションを簡単に作ることができます。Tclの人気はいまひとつですが,Tkはさまざまな言語のバインディングがあり,いい意味で枯れたGUIツールキットとして広く使われています。

Tkのtutorialには,同じアプリケーションがTk,RubyTk, Tkinterで書かれています。PythonにはTkinterがついてくるのですが,wishやtclshは見当たらないので,インストールすることにしました。

Tcl/TkはActiveTclのバイナリやパッケージ管理システムのものをインストールすることが多いと思いますが,Windows 10でソースからコンパイルしてみることにしました。Tkのコンパイルにつまづいたので,やりかたをまとめておきます。

追記 2019/6/22

  • パスの誤りなどを修正しました。
  • Visual Studio 2019でやってみました。
  • x64_x86 Cross Tools Command Prompt for VS 2019でx86バイナリの作成ができました。
C:\Users\takeshi\Downloads\destroot\bin>dumpbin /headers wish86t.exe | findstr machine
             14C machine (x86)
                   32 bit word machine

Windows 10 SDK

Tcl-8.6.9は[How to Compile Tcl]のとおりにやればコンパイルが通ります。Tk-8.6.9のコンパイルが通るのは,Windows SDK 10.0.15063.0までです。TclとTkとでSDKのバージョンが違うとTkのリンクに失敗します。そこで,コンパイルに取り掛かる前にSDKを準備します。Tcl/Tk-8.6.9時点での情報です。それ以降のバージョンでは,古いSDKのインストールは不要かもしれません。

インストール

Visual Studio Installerを起動します。インストーラ自身やインストールされているものの更新が始まるかもしれません。

  • Visual Studio Community 2017の「変更」ボタンをクリックします。
  • 「ワークロード」タブの「C++によるデスクトップ開発」にチェックを入れます。
  • 「インストールの詳細」の「C++によるデスクトップ開発」から「Windows 10 SDK (10.0.15063.0)」にチェックを入れます。
  • 「ダウンロードしながらインストールする」あるいは「全部ダウンロードしてからインストールする」を選択してクリックします。

SDKの選択

スタートメニューから「Visual Studio 2017」を開いて「開発者用コマンドプロンプト」を実行します。varsall.batのあるディレクトリに移動します。

    C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\2017\Community\VC\Auxiliary\Build

Building with Visual Studio 2017にある通り,バッチvarsallを実行します。

vcvarsall x64 10.0.15063.0 

x86用のバイナリを作るときはx64の代わりにx86とします。

Tcl/Tkのコンパイル

  • tcl869-src.zipをダウンロードして展開します。
  • インストール先INSTALLDIRを決めます。なければ作成します。私はAppData\Local\Programs\Tclにしました。
  • tcl869-src\tcl8.6.9\winに移動してコンパイル・インストールします。
> nmake -f makefile.vc INSTALLDIR=path_to_your_install_dir
> nmake -f makefile.vc install INSTALLDIR=path_to_your_install_dir
  • tk869-src\tk869\winに移動してコンパイルします。TCLDIRはTclのソースを指定します。上の例ではtcl869-src\tcl8.6.9です。
nmake -f makefile.vc INSTALLDIR=path_to_your_install_dir TCLDIR=path_to_tcl_source
nmake -f makefile.vc install INSTALLDIR=path_to_your_install_dir TCLDIR=path_to_tcl_source
  • 必要に応じてtclsh86t.exetclsh.exewish86t.exewish.exeに改名します。
  • TCLDIR\binにパスを通しておきます。

ソースからのコンパイルは気持ちがいい。

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