Xcode12 betaでCarthageによる依存ライブラリのビルドが失敗する

Last updated at 2021-02-02Posted at 2020-08-21

Xcode12 beta での Carthage による依存ライブラリのビルドで何度も行き詰まったので、対策・回避方法についてメモします。

ここで利用している Carthage のバージョンは 0.35.0 です。

Xcode12 beta3 まで

Carthage で Alamofire のビルドが失敗してしまい、Carthageのログを確認すると次のようなエラーが出ていました。

Undefined symbols for architecture armv7: "type metadata for Swift._StringObject.Variant"

これは Alamofire/Alamofire#3240 をはじめ、さまざまなライブラリでも Issue として報告されているように Xcode12 自体の問題です。Xcode12 beta4 にて解消されました。

以降も Alamofire で失敗しますが、これはたまたま私の環境で最初にビルドされるものが Alamofire なだけで、Alamofire は悪くありません。。。

Xcode12 beta4以降（正式版も）

beta3 での問題が解消されてホッとしたのも束の間、beta4 でもビルドに失敗。(beta5 でも同様)

(2020/8/26) Xcode12 beta6 でも同様でした。

*** Building scheme "Alamofire iOS" in Alamofire.xcworkspace
Build Failed
	Task failed with exit code 1:
	/usr/bin/xcrun lipo -create path/to/Library/Caches/org.carthage.CarthageKit/DerivedData/12.0_12A8189h/Alamofire/5.2.2/Build/Intermediates.noindex/ArchiveIntermediates/Alamofire\ iOS/IntermediateBuildFilesPath/UninstalledProducts/iphoneos/Alamofire.framework/Alamofire path/to/Library/Caches/org.carthage.CarthageKit/DerivedData/12.0_12A8189h/Alamofire/5.2.2/Build/Products/Release-iphonesimulator/Alamofire.framework/Alamofire -output path/to/repo/Carthage/Build/iOS/Alamofire.framework/Alamofire

This usually indicates that project itself failed to compile. Please check the xcodebuild log for more details: path/to/carthage-xcodebuild.eJCnGA.log

しかも Carthage のログを見ると ** BUILD SUCCEEDED ** と成功したことになっています。

これは Carthage の Issue Carthage/Carthage#3019 で報告されており、Xcode12 beta5 がリリースされた現在でも引き続き議論の対象となっています。

実際には xcrun lipo -create コマンドで次のようなエラーが出ており、これが問題のようです。

the same architectures (arm64) and can't be in the same fat output file

Xcode12 からは Apple Silicon 搭載の Mac がサポート対象となります。つまり、 Apple Silicon 搭載 Mac 上で iOS Simulator は ARM アーキテクチャで動作するようになるんですね。Xcodeのこの変化が原因で、上記のような 同じ arm64 アーキテクチャをバイナリを含められない というエラーとなっているようです。

ということでこの Issue の中では、iOS Simulator に arm64 アーキテクチャのバイナリを含めないようにするワークアラウンドがいくつか掲載されています。私はこの中で Carthage 実行前にこのワークアラウンドを含めた xcconfig ファイルを適用するようなスクリプトを作って回避しています。

carthage.sh

SCRIPT_DIR=$(cd $(dirname $0);pwd)
CARTHAGE_DIR=${SCRIPT_DIR}/Carthage
if [ ! -d ${CARTHAGE_DIR} ]; then
  mkdir ${CARTHAGE_DIR}
fi

# ワークアラウンド用の xcconfig ファイルを設定する
export XCODE_XCCONFIG_FILE=${CARTHAGE_DIR}/carthage_workaround_for_xcode12.xcconfig 
echo 'EXCLUDED_ARCHS__EFFECTIVE_PLATFORM_SUFFIX_simulator__NATIVE_ARCH_64_BIT_x86_64=arm64 arm64e armv7 armv7s armv6 armv8' > ${XCODE_XCCONFIG_FILE}
echo 'EXCLUDED_ARCHS=$(inherited) $(EXCLUDED_ARCHS__EFFECTIVE_PLATFORM_SUFFIX_$(EFFECTIVE_PLATFORM_SUFFIX)__NATIVE_ARCH_64_BIT_$(NATIVE_ARCH_64_BIT))' >> ${XCODE_XCCONFIG_FILE}

# Carthage を実行する
carthage $@