はじめに
2026年9月10日から13日にかけて行われた第16回キャチロボバトルコンテストに、「のうこう☆キャチロボズ」のメンバーとして出場してきました。
この記事では弊チームの回路の紹介をできればなと思います。
ロボット解説
ロボットの各部の名称と役割についてざっくり説明します。詳細な説明はチームリーダーがきっと書いてくれることでしょう。

クッソ見づらくて申し訳ないです。
我々のロボットは大きく分けて5つの要素から構成されています。
- メインアーム
- rθ方式のアームで、このアームで3個ずつワークを回収して起立機構に乗せていきます
- サブアーム
- 起立機構が起立させたワーク3個をつかんでシューティングボックスにシュートしていきます
- 最速把持機構
- 試合開始後に共有ワークを掴みにいく機構です
- スロープ展開機構
- 試合開始後に倒れて3列目のワークのお尻部分を持ち上げる機構です
- ワーク起立機構
- メインアームが回収したワークを起立させる機構です
回路の構成について
キャチロボは学ロボOB達で出ようという話だったので、部で使っている学ロボの回路とは別にキャチロボ用の回路を新しく作ることになりました。
とはいえ時間もお金も無い状態だったので、動けばいいかと思って結構雑な回路を組んでいました。
弊チームでは二人の操縦者で分担して操縦を行っており、一人がメインアームの操縦、もう一人がそれ以外全部の操縦を行っていました。
今回は中央制御を行うマイコンが乗った基板 (マザボ) を二つ用意し、その二人の操縦部分で分割する方式としました。
二つのマザボはほぼ独立して動かしていましたが、アーム同士の干渉回避のためマザボ間をGPIO4本で接続して簡単な通信を行っていました。
電源に関してはLiPo6セルを電源基板に接続し、そこから色々分岐させています。ロジック側と駆動側でGNDの分離はしてないです。ロジック側と駆動側のGNDは電源基板内で一点接続して、それ以外の場所で接続しないようにしていました。
基板紹介
かなり雑な設計なので設計データの公開はないです。あとファームウェアなどソフト類も部内ライブラリを使って書いているので公開しません。(できません)
電源基板
- 6セルリポ入力 XT60
- リレー : A31ASP24VDC2
- 非常停止SW接続コネクタ : 2
- ロジック電源SW接続コネクタ : 2
- ロジック側電源出力 (DF63) : 4
- 駆動側電源出力 (XT30) : 3
電源のON/OFFと非常停止を行う基板です。
ロジック側電源のON/OFF用にロードスイッチ回路が組んであり、こちらは画像下側のPAコネクタに接続したトグルスイッチによってON/OFFされます。
ロジック側電源がONかつ非常停止SWが押されていなかった場合にリレーがONになり、駆動側電源が供給される仕組みになっています。
マザーボード
- MCU : STM32F429VGT6
- CAN : 2
- I2C (バス延長) : 3
- SPI : 2
- PWMサーボ : 4
- シリアルサーボ : 4
- USB : 1
- Ethernet : 1
- ロジック電源入力24V DF63コネクタ
- 汎用GPIO : 2x5ボックスヘッダ
マイコンについては部で余っていて今後使わなさそうなものを選びました。
大会終わった後に何人かマイコンの型番聞いてきた方がいましたが、まあこんな感じで選定理由は適当です。
サーボモーター用の電源をマザボ内蔵のDCDCで作れるようにしていましたが、流石に数が多すぎてこのDCDCだけでは賄いきれないだろうと思い、DCDCは外付けの物を用意して運用していました。
I2CについてはP82B715というI2CのケーブルエクステンダICを挟んで外に出していました。I2Cはサブアームのポンプ電磁弁基板に載っているIOエキスパンダICとの通信に使っており、1.5mくらいケーブルを伸ばしていましたがノイズによる通信エラーで問題になることはありませんでした。
シリアルサーボについては一つのバスにつき3~4個のシリアルサーボを接続していました。アームの先端など、かなり配線を伸ばしていましたがノイズによる通信エラーなどは起きませんでした。
自作C610 (X610)
- MCU : STM32G431CB
- FET : SIZF918DT-T1-GE3
- ゲートドライバIC : DRV8328CRUYR
DJIのC610が売ってなかったので自作したものを使っていました。本番機体ではサブアームのY軸とZ軸の直動機構に使われています。
動作としてはベクトル制御でd軸及びq軸電流のPI制御と、速度位置のPID制御を行っているだけです。CAN経由で電流・速度・位置の指令値を渡せるようになっています。ここらへんの知識があまり無いのでちゃんとした制御器の設計とかはできてません。(かなしい)
リミットスイッチを接続できるようになっており、この基板に一つ指令を送るだけで原点回帰と原点リセットができるようになっています。
ほぼ初めてブラシレスMD設計したのでなんとなく3シャント方式にしてみましたが、2シャントでよかったなーと思っています。
C610と同じでCANのアドレスはスイッチの押下回数で設定できるようになっています。おまけにC610と同じで起動音も鳴ります。
STM32の書き込み用コネクタは基板内のスリットで分割できるようになっていて、分割するとC610と同じサイズになります。
大会の直前までファームウェアの微調整をしていたので結局分割することはありませんでしたが、なんか操作ミスだかでアームが直撃してスリット部分から真っ二つになってしまいました。(基板自体はなぜか生きてた)
C610と同じサイズにしたかったのでJLCPCBの8層基板にしています。PCBAはせずステンシル発注してリフローしていたのでかなり大変でした。
かなり適当に設計したので大会期間中に一回くらいは燃えたり壊れたりするかなと思っていましたが、なんだかんだ一回も壊れることなく大会を終えることができました。(M2006の方が燃えることはあった)
ポンプ電磁弁基板
この基板は後輩 (@pkponzu_h) が作ってくれました。マジで助かりました。
サブアーム用のポンプと電磁弁を動かす基板です。やっていることは6VのON/OFFを6ポート分やっているだけになります。
マイコンは使っておらず、I2C接続のIOエキスパンダが6ポート分のロードスイッチ回路を駆動しています。
大会の振り返り
こっから文字ばっかりですすいません。
9/10 (木) ~ 9/11 (金)
自分は9/11まで東京でインターンに行っていたので現地入りできなかったため、本番含め7人のメンバーには入っていませんでした。
木金に関しては、DM3520が動かないといった報告が現地から上がってきていたのでかなり不安を覚えていました。通話で色々報告されましたが原因がよくわからず半ギレで対応していました。(ごめんなさい)
なんやかんやで木曜に起こった問題は金曜の朝には解決していて、金曜の夕方に起こった問題は土曜の朝には解決しているなど、現地のメンバーの優秀さに助けられました。
9/12 (土)
この日、始発で現地入りしましたが前日に発生した問題は自分が到着した頃には既に解決済みであり、自分は7人のメンバーがてきぱき動く様子をボーっと眺めていました。
最終的にこの日は特に大きな問題は起こらず予選第一試合で44点満点を取って終わりました。
9/13 (日)
色々あって他の人より遅く起きて会場に向かいました。なんか自分が寝てる間に問題が起こっていたのですが既に解決済みでした。
予選第二試合ではメンバーがセッティングタイム中にワークを触ってしまったため、44点取れないというアクシデントはありましたが、無事予選二位通過で決勝トーナメントに進みました。
高知工科大学 Grad!vus 戦
最速把持機構が共有ワークの位置まで行って共有ワークを掴んだ後、直動機構のDM3520との通信が途絶えました。そのため共有ワークを掴んでいるものの自陣に引き込むことができず、最終得点は自陣ワークのみの点となってしまいました。
この試合の後怪しそうな配線を交換して対処しましたが、試合感覚が短かったためピットでしっかり動作確認をすることができませんでした。
京都工芸繊維大学 こめこぱん 戦
この試合では相手の共有ワークを掴むスピードがかなり速かったため、こちらも最速把持機構を文字通り最速で展開することになりました。この試合では最速把持機構の展開速度を優先してスロープ展開機構は使わないことになりました。
前の試合で起きた問題のこともあり、高速展開するのはかなり不安でしたがこの試合では問題は起こらず。
共有ワークを掴んだ状態で最速把持の直動が操作できるか試したそうなのですが、問題なく動かせたそうです。
最終的にこの試合では両チームとも共有ワークをつかんだまま動かさず、そのまま試合終了しました。
準決勝 徳島文理大学 ぶんまる 戦
この試合では相手チームがここまでかなり高得点で勝ち上がってきたことを考え、こちらはスロープ展開機構と催促把持機構を使って最速で自陣に共有ワークを引き込むことになりました。
前の試合までとは違い、直動を共有ワークの位置まで出した後に引き込む動きがあるため、もし共有ワークの位置で停止してしまったら自陣ワークの得点のみで勝負せざるをえなくなってしまいます。また、予選通してスロープ展開機構を動かすのは初めてで、こちらが動作不良を起こすと最悪の場合最速把持と干渉してリトライする羽目になってしまいます。
相手はここまで順調に得点してきているチームだったので相手のミスに期待することはできず、こちらがミスなく取りきる必要があったので、観客席から応援している自分としてはもしかしたら負けるかもと思っていました。
幸いなことに配線の接触不良などによる動作不良は起こらず、この試合でも勝利することができました。
ちなみに配信を見返すと試合終了後に観客席から大声が聞こえるのですが、それが自分 (ともう一人) です。勝てて嬉しかった。
決勝前
試合前の待機場所で、メインアームのハンドの3Dプリンターパーツが破損しているのをリーダーが発見し、急遽ハンドごと交換することになりました。
自分たちのチームではSTS3032についてはコネクタをPAコネクタに付け替えて運用していたのですが、交換した予備のハンドのサーボはコネクタを付け替えておらず、その場でコネクタを付け替える作業をする羽目になりました。
あんな場面、あんな場所でコネクタの圧着作業をすることは後にも先にも無いなと思います。交換後、動作確認して問題なく動いた時には嬉しすぎて声出ました。
(決勝前の調整作業に時間かかりすぎて運営の方に迷惑かけてました。すみません。)
決勝 第一戦 九州大学 菓子取の翁 戦
この試合では最初に相手が共有ワークの真ん中4個を掴み、こちらは共有ワーク6個を掴むことになります。
こちらの最速把持ハンドは、相手が掴んでいない二つのワークのみ自陣に引き込むことができるため、本来であればその二つをシュートして試合終了するはずでした。
しかし最速把持機構を共有ワークの位置に動かした後、またしても直動のDM3520との接続が途絶え、自陣に引き込むことができませんでした。
ここで焦らずに自陣ワーク全てをシュートして同点に持ち込んだ操縦者はかなりすごいです。
第二戦前の準備時間の間にとりあえず配線を交換して対処しました。
決勝 第二戦 九州大学 菓子取の翁 戦
第二戦ではお互いに共有ワークを保持したままの状態になることが禁止されたため、こちらはスロープ展開機構を使って共有ワークを引き込みました。動画を見ると、相手に保持されていない二つの共有ワークを自陣に引き込むことができていることがわかります。

試合中盤に相手ハンドが共有ワークから離れたことで最速把持機構が共有ワークを自陣に引き込むことができました。この時点で先ほど起きていた問題は起きていないことになるため、自分はこの時点でガッツポーズしていたのを覚えています。
大会全体の振り返り
自分が大会前の長い期間インターンに行っていたこともあり、回路関連で不安を残したまま本番に突入することになってしまったのが反省点です。
最終的に優勝できたのはよかったですが、回路的トラブルが敗因になっていたかもしれない場面は多くありました。
ロボコンでは回路屋が面白いことをしだしたら負けると思っているのですが、今回の回路は割と面白いよりに作ってしまったことがダメだったなと思います。勝ちたいんだったらもっと信頼性高いものを作ろうということで。
あと我々のチームの梱包作業が遅すぎて運営の方には結構な迷惑をかけてました。すみません。
来年以降出るかどうかはわからないですが、改善点としておきます。
最後に
中学生のころにロボカップに触れてから10年近く、高専ロボコンや学生ロボコンなど様々なロボコンに参加してきましたが、優勝することができたのはこれが初めてです。これが最後のロボコンだと思いますが、最後に皆で集まってロボコンやれてとても楽しかったです。今後は後輩たちの活躍を見守りたいと思います。
また、対戦したチームの皆さん、試合終了後に色々聞いてくれた皆さん、ありがとうございました。
こんなにチーム数多いロボコンに出るのは初めてだったので、色々刺激になってとても楽しかったです。









