Dockerでは、イメージを取得することからすべてが始まります。イメージは「Docker Hub」などのリポジトリからダウンロードできます。
ここでは、"docker image pull"コマンドを使って、イメージを取得する方法を解説します。また、タグの指定方法や、特定のプラットフォーム向けのイメージを取得する方法についても学習します。
■ コマンドの基本
"docker image pull"コマンドは、Docker HubなどのDockerレジストリからイメージを取得するコマンドです。なお、Docker Hub以外のリポジトリからもイメージを取得できます。
$ docker image pull [OPTIONS] IMAGE[:TAG|@DIGEST]
タグを指定せずにイメージをpullすると、自動的にlatestタグのイメージが取得されます。
$ docker image pull ubuntu
イメージ名の後にタグ(バージョン)を指定すると、様々なバージョンのイメージを取得できます。
$ docker image pull ubuntu:24.04
■ コマンドの実践
それでは、実際に動かしながら学んでみましょう。
1. 通常実行
Alpine Linuxのイメージを取得してみましょう。以下のコマンドを実行してください。
# alpineのイメージをpull
$ docker image pull alpine
# イメージの一覧表示
$ docker image ls
REPOSITORY TAG IMAGE ID CREATED SIZE
alpine latest a8560b36e8b8 6 weeks ago 12.1MB
nginx latest 124b44bfc9cc 7 weeks ago 279MB
ubuntu latest 72297848456d 2 months ago 117MB
hello-world latest 7e1a4e2d11e2 2 months ago 20.4kB
Dockerはインターネット経由でDocker HubからAlpine Linuxのイメージをダウンロードします。そして、ローカルのDockerレジストリにイメージが保存されます。
2. 特定バージョンのイメージを取得
タグを指定して、特定バージョンのイメージを取得してみましょう。Ubuntuのバージョン24.04のイメージを取得します。以下のコマンドを実行してください。
# Ubuntuのバージョン24.04をpull
$ docker image pull ubuntu:24.04
# Ubuntuイメージの一覧表示(実行結果の確認)
$ docker image ls ubuntu
REPOSITORY TAG IMAGE ID CREATED SIZE
ubuntu 24.04 72297848456d 2 months ago 117MB
ubuntu latest 72297848456d 2 months ago 117MB
複数バージョンのイメージを持つことができます。もちろん、イメージのタグを指定してコンテナを作成することもできます。詳細は後の章で学習します。
また、執筆時点では、ubuntuの24.04とlatestで同じイメージIDとなっています。これは、latest=24.04であることを表しています。
■ オプション
"docker image pull"コマンドには、いくつかのオプションがあります。
1. 特定のプラットフォームのイメージを取得する
Dockerでは、異なるOSやCPUアーキテクチャ向けのイメージが存在します。例えば、Linux用とWindows用のイメージが異なる場合があります。特定のプラットフォーム向けのイメージを取得するには、"--platform"オプションを使います。
以下のコマンドを実行してください。
# ARM64のCPUで実行するイメージを取得
$ docker image pull --platform linux/arm64 nginx:1.26.3
# 実行結果を確認
$ docker image inspect nginx:1.26.3 --format='{{.Architecture}}'
arm64
ARM64向けのイメージをpullできました。
補足:ARMとは
ARMとは、省電力・高効率なCPUのことです。スマートフォン、ノートPC、組み込みシステムのCPUとして使われています。
2. 特定のリポジトリから取得する
Docker Hub以外のリポジトリからイメージを取得する場合、リポジトリのURLを指定できます。以下のコマンドは実行できないので、例として参照してください。
$ docker image pull my-registry.com/test
■ 制限
Dockerのアカウントを作成せず、ログインしていない状態だと、Dockerイメージをpullできる回数に制限がかかります。
- 未ログイン:6時間あたり100回
- ログイン済み:6時間あたり200回
- 有料プラン:無制限または高上限
今までイメージをpullできていたのに、急にイメージをpullできなくなってしまった場合、上記の制限に引っかかっている可能性があります。その場合は、Dockerにアカウントを作成して、Docker Desktopでログインをしてみてください。
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