以前から使用しているABAP Platform 1909, Developer Edition for Dockerより新しいバージョンであるABAP Cloud Developer Trialが2024年に出ていたようなので遅まきながらインストールしてみました。
1.今回の手順
以前インストールしたABAP Platform 1909, Developer Edition for Dockerと同じように仮想環境にOSをインストールして仮想環境内からDockerを使ってABAP Cloud Developer Trialの環境を作成していきます。
手順としては以下の順になります。
- 仮想環境にOSのインストール
- dockerのインストール
- ABAP Cloud Developer Trialイメージの取得
- コンテナの作成
- ABAP Cloud Developer Trialの実行
2.仮想環境の準備
まずは仮想環境の準備なんですが、一応個人ディスクトップの環境情報を記載しておきます。
- ディスクトップ環境情報
- CPU:AMD Ryzen 5 PRO 3400GE
- メモリ:32GB
- OS:Windows10 Home
自作でも何でもない普通の市販PCです。(メモリはMAX積んでます、あと電源容量も増やしてます)
仮想環境は以前のDeveloper Editionで使用していたVMware(R) Workstation 17 Playerを引き続き使用してOSをインストールしていきます。
OSは特にこだわりはないですがOpen SUSEにしました。(以前のDeveloper EditionもOpen SUSEを使用していたので…)
ダウンロードは以下でオフラインイメージをダウンロードします。
ダウンロードが完了したらVMの作成ウィザードから仮想マシンを作成していきます。
インストーラディスクイメージファイルに先ほどダウンロードしたOSのオフラインイメージを選択、自動的にOSの種類が検出されます。
仮想マシン名は適当につけます。(ここではABAPTRIAL_2022_SP01とします)
次にディスク最大サイズですがDocker Hubの概要にLinuxは150GBと記載があるので同じ値に設定しておきます。
ここまで設定された内容が表示されますがメモリが2GBになっているので、これを変更するために「ハードウェアをカスタマイズ」ボタンを押します。
ハードウェアの設定画面が出てくるのでDocker Hubの概要に記載してある16GBではなく注意事項に記載しているABAP Cloud Developer Trialのイメージを実行するのに必要な32GBを設定します。
(ABAP Platform 1909, Developer Edition for Dockerは16GBだったので倍になりましたね…)
「閉じる」ボタンを押して設定内容が表示されている画面まで戻りメモリが32GBになっていることを確認して「完了」ボタンを押してOSのインストールを進めていきます。
3.Dockerのインストールとイメージの取得
・Dockerのインストール
OSのインストールが完了したらターミナルを立ち上げて以下コマンドでDockerのインストールを行います。
zypper install docker
インストール中に続行するか聞かれるので「Y」を入力して続行してインストールを完了します。
一応正常にインストールされているか確認するため、以下のコマンドでサービス一覧を表示して確認。
systemctl list-unit-files -t service
表示された一覧にdocker.service
があることを確認。(赤枠)
以下のコマンドでサービスを開始します。
systemctl start docker
また仮想マシン実行時に自動起動するように以下のコマンドでサービスの有効化もしておきます。
systemctl enable docker
・ABAP Cloud Developer Trialイメージの取得
イメージ取得のためDocker Hubに以下のコマンドにログインします。ログインしないとイメージの取得ができないのでアカウントがない人はアカウント作成を行う必要があります。
以下のコマンドでDocker Hubにログインします。ユーザ名とパスワードを聞かれるのでユーザ名とパスワードを入力します。
docker login
これでDocker Hubからイメージを取得する準備が整ったので以下のコマンドでイメージを取得します。
sudo docker pull sapse/abap-cloud-developer-trial:ABAPTRIAL_2022_SP01
以下のようなログが表示されて取得完了です。(結構時間がかかります)
4.コンテナの作成とABAP Cloud Developer Trialの実行
イメージの取得が完了したら次はコンテナの作成です。
Docker Hubの概要のHow to create a Docker containerのOtherの記載をもとにして進めていきます。
今回はHANA DBにも接続したいので-p 30215:30215
を追加、あと-agree-to-sap-license
も追加して以下のコマンドとしました。
sudo docker run --stop-timeout 3600 -i --name a4h -h vhcala4hci -p 3200:3200 -p 3300:3300 -p 8443:8443 -p 30213:30213 -p 30215:30215 -p 50000:50000 -p 50001:50001 sapse/abap-cloud-developer-trial:ABAPTRIAL_2022_SP01 -skip-limits-check -agree-to-sap-license
起動するまでしばらく待って以下のログが表示されてば起動完了です。
停止する場合はコンテナを起動したターミナルでCtrl+C
か別ターミナルでdocker stop -t 7200 a4h
を実行すると停止します。
停止したコンテナを再開する場合はdocker start -ai a4h
を実行すれば起動されます。
5.接続確認
とりあえず接続確認ということで仮想環境外からGUIでアクセスしてみます。
新規ログオンを作成し、アプリケーションサーバの欄には仮想環境のIPを設定するとアクセスできるはずなので仮想環境のIPを設定します。その他は以下の通り。
6.最後に
ここまでで環境の構築は終了です。基本SAP畑の人なのであまりLinuxやDockerの知識がないので怪しい所はあるかもしれませんが生暖かい目で見ていただけるとありがたいですw
で、ここからおまけで以前から使っているABAP Platform 1909は16GBで問題なく動いていたので試しに仮想環境のメモリを16GBに変更して動かしてみましたが、起動・アクセスまではできるんですがトランザクションがショートダンプで落ちますw
やはり32GBないと厳しいみたいですね……PCのメモリがMAX32GBなのでほんとギリギリで怖い……
次回はGUIやEclipseなどの設定と、今回のABAP Cloud Developer Trialに付いているCloud Connectorの設定などを纏めてみたいと思います。