※以下の企画です
今回は「インターネットと消費者行動」についての内容です。
それでは頑張ります〜
選択のパラドックス(The Paradox of Choice)
選択肢が多すぎると買わない(Iyengar & Lepper, 2000)
ECサイトの開発をしていると「品揃え(SKU数)は多ければ多いほど良い」と思いがちですが、心理学的には必ずしもそうではないという有名な実験があります。
いわゆる 「ジャムの法則」 です。
スーパーマーケットでジャムの試食販売を行いました。
- 条件A: 6種類のジャムを置く
- 条件B: 24種類のジャムを置く
結果はどうなったか。
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試食に立ち寄った率(集客):
- 6種類:40%
- 24種類:60% (多いほうが人は寄ってくる)
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実際に購入した率(CVR):
- 6種類:30%
- 24種類:3%
なんと、選択肢が多い方が、購入率は1/10に激減舌とのことです。
これはインターネットという膨大な情報の海の中で、消費行動を起こさせることの難しさの説明にもなると思います。
膨大な広告の中で何に注目させて、いかにジャムの法則に則らせない(?)かは試行錯誤が必要だと思いました。
決定麻痺
人間は選択肢が多すぎると、比較検討のコスト(計算量)が指数関数的に増大し、処理落ちしてしまいます(決定麻痺 )。
さらに、「他にもっと良い選択肢があったのではないか?」という 「未練(機会費用の意識)」 が生まれ、購入後の満足度も下がると言われています。
AmazonやNetflixがやっている「レコメンド(フィルタリング)」は、単なる親切機能ではなく、ユーザーの計算量を減らして決定麻痺を防ぐための必須機能なのだと理解できます。
ネットワークと情報の伝播
弱い紐帯の強さ(Granovetter, 1973)
マーク・グラノベッター(Granovetter)の 「弱い紐帯(ちゅうたい)の強さ(The Strength of Weak Ties)」 は、ネットワーク理論における重要な概念だそうです。
彼は、転職や就職に成功した人が「誰からその情報を得たか」を調査しました。
すると、親友や家族(強い紐帯)からではなく、「たまにしか会わない知人(弱い紐帯)」から情報を得ているケースが圧倒的に多かったのです。
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強い紐帯(Strong Ties): 家族、親友、同じチームの同僚
- 特徴: お互いに知っている情報が重複している(同質性が高い)。情報の冗長構成
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弱い紐帯(Weak Ties): 昔の同級生、異業種の知り合い
- 特徴: 自分が知らない外部のコミュニティ(クラスター)と繋がっている。情報のブリッジ(橋渡し) になる
SNS(特にTwitter/X)が情報収集に強いのは、この「弱い紐帯」を大量に保持できる構造だからですね。
インフルエンサーマーケティングが上手くいく理由はまさにこれかも?
スモールワールド理論(Milgram, 1967)
スタンレー・ミルグラム(Milgram)が行った実験で、「世界中の人間は、知り合いを6人介せば誰とでも繋がれる(六次の隔たり)」 という仮説です。
- アメリカ中西部の住人に手紙を渡す
- 「マサチューセッツ州の知らない人(ターゲット)」に届けてほしいと頼む
- 自分よりターゲットに近そうな知人に手紙を転送してもらう
これを繰り返した結果、平均して約6人(5.2人) の中継で届いたそうです。
後に、ワッツら(Dodds & Watts, 2003)が電子メールを使って大規模な再現実験を行いましたが、ここでもやはり数ステップで世界中と繋がれることが示唆されました。
インターネットはこの「ステップ数(距離)」を劇的に短縮しました。
情報の伝播速度が異常に速いのは、ネットワークがランダムではなく、「ハブ(顔が広い人)」を介してショートカットできるスモールワールド構造になっているからだと説明できます。
まとめ
今回は「ネットと行動」についてまとめました。
- 多すぎる選択肢はバグ(決定麻痺)を生む:あえて選択肢を絞るUIも重要
- 重要な情報は「弱い繋がり」から来る:いつも同じメンバーとばかり話していると情報がタコツボ化する
- 世界は狭い(スモールワールド):情報は数ホップで世界中に届く
アドベントカレンダーも後半戦ですが、こういう理論を知ると、SNSでのシェア(弱い紐帯への拡散)がいかに重要かがわかりますね。
それでは、また明日!