※以下の企画です
今回は「感情と満足度」の内容に入ります。
それでは頑張ります〜
感情とは
心理学における「感情(Emotion)」は、単に「喜怒哀楽」だけを指すわけではないとようです。
本書籍によると、心理学上での感情はもっと広い概念で定義されており、大きく以下の要素を含んでいます。
- 情動(Affect/Emotion): 急激に生じ、短期間で消える強い感情(驚き、激怒など)
- 気分(Mood): 弱く、長く続く感情的状態(なんとなく憂鬱、ご機嫌など)
快と不快
感情を分類する方法は多種多様ですが、最も基本的な分類として 「快(Pleasure)」と「不快(Unpleasantness)」 の2軸で区分する方法が紹介されていました。
人間は基本的に「快」を求め、「不快」を避ける行動をとります。
このあと読み進めてから気づきましたが、「喜怒哀楽」よりも一般化したシンプルに形で取り扱えるので、「快」「不快」でまとめることの意味はあるなと感じました。
感情の予期とインパクトバイアス
人間は「現在の感情」だけで行動するわけではないみたいです。
「これを買ったらどんな気分になるだろう?」という「感情の予期(Anticipated Emotion)」 が意思決定に大きく関わるとのことです。
しかし、ここにも人間のバイアスが存在します。
インパクト・バイアス
道家(2010)の論文上では、人間は将来の感情の強度と持続期間を過大に見積もる傾向があります。これをインパクト・バイアスと呼ぶと記述があるみたいです。
"みたい"と記載しているのは、アクセス可能な論文を自分では見つけられなかったからです(おそらく"後悔は衝動買いをやめさせられるか?--制御資源と後悔想起が衝動買いの抑制に及ぼす効果"というもの?おもろそう)
-
ポジティブな予測: 「この最新PCを買えば、私の開発人生はバラ色になり、毎日が楽しくなるはずだ!」
- 現実: 1週間で慣れて、ただの道具になる
-
ネガティブな予測: 「この試験に落ちたら、もう人生終わりだ...一生立ち直れない」
- 現実: 落ちても案外すぐに立ち直り、次の目標を探し始める
私たちは、未来の出来事が感情に与える影響(インパクト)を、実際よりも大きく見積もってしまうのです。
このバイアスがあるからこそ、人は新しいものを次々と買ってしまう(消費行動が生まれる)のかもしれません。
顧客満足度の構造(日本版CSI)
感情や満足度をビジネス指標として構造化したものに、日本版CSI(JCSI: Japanese Customer Satisfaction Index) があります。
南・小川(2010)らによって開発されたモデルで、顧客満足度がどのような因果関係で構成されているかをモデル化しています。
ざっくりいうと、以下のようなフロー(因果連鎖)になっています。
- 顧客期待(Expectation): 利用前の期待値
- 知覚品質(Perceived Quality): 実際に使ってみてどうだったか
- 知覚価値(Perceived Value): 価格に見合っていたか(コスパ)
- 顧客満足(Satisfaction): 満足したか
- ロイヤルティ(Loyalty): また使いたいか
$$Expectation \rightarrow Quality/Value \rightarrow Satisfaction \rightarrow Loyalty$$
期待と実績の差分
ここで重要なのは、満足度が 「事前の期待(Expectation)」と「実際の品質(Quality)」の関数 で決まるという点です。
どんなに高性能なサービス(Quality高)でも、事前の広告で煽りすぎて期待値(Expectation超高)が上がりすぎていると、差分で満足度は下がります。
逆に、期待値コントロールが上手ければ、そこそこの品質でも満足度は高まる可能性があります。
エンジニアとしてプロダクトを作るときも、「ユーザーの期待値をどこに設定するか(SLAや仕様の合意)」が、最終的な「満足」を決めるパラメータになりそうですね。
まとめ
今回は「感情」とそれを測る指標についてまとめました。
- 感情は「情動(短期)」と「気分(長期)」に分けられる
- 人間は未来の感情を過大評価する(インパクト・バイアス)
- 満足度は「絶対的な品質」ではなく「事前の期待との差分」で決まる(JCSIモデル)
「ユーザーがどう感じるか」は定性的なものですが、それをなんとかモデル化して定量的に扱おうとする心理学や経営学のアプローチは、データサイエンスに通ずるものがあって面白いです。
それではまた明日〜