※以下の企画です
今回はこれまでの「個人の脳内(心理)」から視点を広げて、「社会・文化的要因と消費者行動」の内容に入ります。
それでは頑張ります〜
文化
意味の移動モデル(McCracken 1990, Solomon 2009)
マクラッケンやソロモンは、消費行動を「文化的な意味の移動プロセス」として捉える概念モデルを提唱しました。
ざっくり言うと、「文化」という巨大なデータベースにある「意味(価値観、トレンド、ステータス)」が、「製品」という媒体を通じて、「消費者」にインストールされるという流れです。
- 文化的世界: 時代精神、トレンド、共通の価値観が存在する場所。
- 製品への転移: 広告やデザインを通じて、その「意味」が特定の製品に付与される。(例:スタバ=おしゃれな都市生活者)
- 消費者への転移: 消費者がその製品を買うことで、付与された「意味」を自分のアイデンティティとして取り込む。(例:スタバを持って歩くことで「おしゃれな自分」を演出する)
開発者も単に機能を提供しているのではなく、「モダンな開発スタイル」「ギークなこだわり」といった文化的な意味をパッケージングして提供していると言えるかもしれません。
パッケージの社会的意味
「ガワ」が伝えるメッセージ(Sherry & Camargo, 1987)
シェリーとキャマーゴは、製品のパッケージが持つ社会的・文化的な意味について研究しました。
パッケージは単なる保護材(コンテナ)ではなく、それ自体が文化的なメッセージを伝えるインターフェースであるという考え方です。
例えば、日本のお中元の過剰なまでの丁寧な包装は「礼儀・感謝」という日本文化の表れですし、欧米のミニマルなパッケージは「合理性・エコ」という文化的価値観の表れです。
これはソフトウェアのUI/UXデザインにもそのまま当てはまります。
機能が同じでも、UI(パッケージ)がリッチであれば「高級感・信頼」が伝わり、シンプルであれば「効率性・スピード」が伝わります。UIはサービスの「文化」を伝えるための重要な非言語コミュニケーション手段なわけですね。
広告の文化差
グローバル化とローカライズ(Okazaki & Mueller 2008)
オカザキとミューラーは、広告表現における文化的な違いを分析しました。
グローバルなサービスを展開する際、言語だけ翻訳しても、文化的な文脈(コンテクスト)が合わなければメッセージは伝わらないという問題です。
一般的に言われるのが、コミュニケーションの文化差です。
- 高コンテクスト文化(日本など): 言葉にしなくても察する文化。広告は情緒的で、雰囲気重視。直接的な売り文句は好まれない。
- 低コンテクスト文化(アメリカなど): 言葉で全て説明する文化。広告は機能的で、メリットを明確に伝える議論型。
日本向けのフワッとした雰囲気広告をそのままアメリカで流しても「で、何が良いの?」となりますし、逆もまた然りです。
まとめ
今回は視点を広げて「社会・文化的要因」についてまとめました。
- 消費とは「文化的な意味」のインストール作業である:製品は意味を運ぶメディア
- パッケージ(UI)は口ほどに物を言う:ガワのデザイン自体が文化的なメッセージを発信している
- 言語翻訳だけではローカライズは不完全:文化的なコンテクスト(ハイコンテクスト/ローコンテクストなど)に合わせた表現の最適化が必要
それでは、また明日!