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【アドベントカレンダー2025】#5 フレーミング効果を深ぼる

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Last updated at Posted at 2025-12-05

※以下の企画です

今回は前回の記事で少し触れた「フレーミング効果」を深ぼってみます。
これ、知れば知るほど「人間、チョロすぎないか...?」と怖くなってくる話でした。

それでは頑張ります〜

フレーミング効果

フレーミング効果おさらい

前回の記事で少し触れましたが、改めて定義しておきます。

フレーミング効果とは、「実質的に同じ内容であっても、表現方法(フレーム)が異なると、受け手の印象や意思決定が変わってしまう現象」 のことです。

情報工学的に言えば、「入力データ(Value)が同じでも、データ形式(Format)が違うだけで処理結果(Output)が変わるバグ」 みたいなものだと考えています。
人間という処理系、やっぱり例外処理が甘いですね。

有名な具体例:属性フレーミング

一番わかりやすいのが「属性フレーミング」と呼ばれるものです。
ある対象の「ポジティブな側面」を強調するか、「ネガティブな側面」を強調するかで評価が変わります。

  • A:赤身75%のひき肉
  • B:脂身25%のひき肉

これ、中身は全く同じ物体です。でも、多くの人は「A(赤身75%)」の方を「健康的」「品質が良い」と評価し、購買意欲が高まるそうです。
「生存率95%の手術」と「死亡率5%の手術」もこれですね。

人間の脳は直感で判断するときに、提示された情報の「ポジティブ/ネガティブ」のラベルに強く引きずられるようです。

アジアの病気問題(Asian Disease Problem)

フレーミング効果を説明する上で最も有名な実験が、トベルスキーとカーネマン(1981)による「アジアの病気問題」です。
これがプロスペクト理論(損失回避)と密接に関わってきます。

【設定】
ある病気が流行し、このままだと600人が亡くなると予想されています。対策として2つのプランがあります。

パターン1:利得のフレーム(助かることに注目)

  • プランA:200人が確実に助かる
  • プランB:$\frac{1}{3}$の確率で600人が助かり、$\frac{2}{3}$の確率で誰も助からない

この場合、多くの人(72%)が 「確実そうなプランA」 を選びます。
「せっかく助かる命をギャンブルに晒したくない」というリスク回避的な判断です。

パターン2:損失のフレーム(亡くなることに注目)

  • プランC:400人が確実に亡くなる
  • プランD:$\frac{1}{3}$の確率で誰も亡くならず、$\frac{2}{3}$の確率で600人が亡くなる

この場合、なんと多くの人(78%)が 「ギャンブルであるプランD」 を選びます。
「確実に400人死ぬ」という確定した損失を嫌がり、イチかバチかに賭けるリスク志向的な判断に切り替わるのです。

冷静に計算してみる

ここで期待値を計算してみます。

  • プランA(助かる人数):$200$人
  • プランB(助かる期待値):$600 \times \frac{1}{3} = 200$人
  • プランC(亡くなる人数):$400$人 $\rightarrow$ (助かるのは $600-400=200$人)
  • プランD(亡くなる期待値):$600 \times \frac{2}{3} = 400$人 $\rightarrow$ (助かるのは $200$人)

全部一緒じゃん。

論理的には「プランA=プランC」「プランB=プランD」なのですが、「助かる(Gain)」という言葉で飾られると保守的になり、「亡くなる(Loss)」という言葉で飾られるとギャンブラーになる
これが人間です。

まとめ

今回は「フレーミング効果」について深掘りしました。

  • 同じ期待値でも「ポジティブ表現」か「ネガティブ表現」かで判断が逆転する。
  • 人間は「利益」の前では臆病になり、「損失」の前ではギャンブラーになる。

合理的であるはずの「数字」ですら、それを包む「言葉」によって意味が変わってしまう。
開発者としては、ユーザーに選択を迫る画面(エラーメッセージや課金ページなど)を作るときに、「これは利得フレームか?損失フレームか?」 を意識するだけで、UIの説得力が変わりそうだなと思いました。

それではまた明日!

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