※以下の企画です
今回は「記憶」の内容の続きになります。
それでは頑張ります〜
記憶のメカニズム
情報処理の4段階(Greenwald & Leavitt 1984)
グリーンワルドとレビットは、広告の関与度(どれくらい真剣に見るか)によって、記憶の処理レベルを4段階に分けました。
- 前注意処理 (Preattentive Analysis): 無意識レベル。背景処理
- 焦点的注意 (Focal Attention): パッと目がいく。何が書いてあるか認識する
- 理解 (Comprehension): 内容やメッセージを理解する
- 精緻な推論 (Elaboration): 内容について自分の知識と照らし合わせて深く考える
ユーザーがWeb広告を見るとき、いきなり「4. 推論」はしてくれません。まずは「1. 前注意」の段階で、「自分に関係ありそうか?」 を直感的にフィルタリングされ、そこを突破しないと中身を読んでもらえない(Main Memoryに乗らない)という構造になっています。
脳の特性と広告配置
右脳と左脳(Janiszewski 1990)
ジャニスキーの研究によると、人間の脳は左右で得意な処理が異なります。
- 左脳:言語的・論理的処理が得意
- 右脳:視覚的・空間的処理が得意
そして重要なのが、「右視野の情報は左脳へ、左視野の情報は右脳へ」 とクロスして入力される点です。
これを応用すると、以下の配置が「脳にとって処理しやすい(負荷が低い)」ことになります。
- 画像の右側にテキスト $\rightarrow$ テキストは右視野(左脳=言語野)へ
- テキストの左側に画像 $\rightarrow$ 画像は左視野(右脳=視覚野)へ
バナー広告などで、なんとなく「右に文字、左に写真」のレイアウトが多いのは、生理学的にも理にかなっていたようです。
単純接触効果の正体(Zajonc 1980)
「会えば会うほど好きになる」で有名なザイエンスの単純接触効果。
これ、単に「情が移る」という話ではなく、情報処理の観点から説明されていました。
- 何度も同じ刺激に触れる
- 脳がその情報の処理に慣れる(処理の流暢性が高まる)
- 「スラスラ処理できる」という感覚を、脳が「これは良いものだ(好意・親近感)」と誤帰属する(知覚的流暢性誤帰属説)
広告にもフリークエンシーという、ユニークユーザーあたりに何回同じ広告が当たったかを表す指標があります。
一般的にこれが高すぎると「広告効果が薄まる」とされていますが、これはどうなんだろうなぁとも思いました。ちょっとこれは個人的に色々検証してみよう。
まとめ
今回も人間の「記憶・脳の仕様」について深掘りしました。
- 情報処理の段階: ユーザーはいきなり深い思考(推論)はしてくれない。まずは「前注意」のフィルタを突破する必要がある
- 脳のクロス処理: 画像は左、テキストは右に置くと、脳のハードウェア的に処理負荷が低い
- 単純接触効果のロジック: 「慣れ(処理の流暢性)」を「好き」とバグ認識(誤帰属)している
特に「流暢性が高い=好意」という誤帰属の話は、UIデザインでも「使い慣れたUIが正義(メンタルモデルに合致する)」とされる理由に通じそうです。
「脳に負荷をかけない設計」がいかに重要か、改めて感じさせられました。
それでは、また明日!