※以下の企画です
今回は、前回の続きで、個人の内面や生活様式に焦点を当てた「ライフスタイルと消費者行動」についての内容です。
それでは頑張ります〜
ライフスタイルと消費者行動
AIOアプローチ (Wells & Tigert, 1971)
ライフスタイルを定量的に測定するための代表的な手法として、ウェルズとタイガートが提唱した 「AIOアプローチ」 が紹介されていました。
人間の生活パターンを以下の3つの次元で捉えようとするものです。
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Activity(活動):仕事、趣味、休暇の過ごし方、社会活動など
- 「普段何をしているか?」
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Interest(関心):家族、家、仕事、コミュニティ、ファッション、食事など
- 「何に興味・関心を持っているか?」
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Opinion(意見):自分自身、社会問題、政治、経済、教育、製品への考え方など
- 「世の中や物事についてどう考えているか?」
従来のWeb広告は、まさにこのAIOを駆使してターゲティングを行っていくものでした(今は機械学習がやっていること)。
VALS (Mitchell, 1983)
アメリカのスタンフォード研究所(SRI)が開発した VALS(Values and Lifestyles) も有名です。
これは消費者を「主たる動機」と「資源(リソース)」の2軸で8つのセグメントに分類するフレームワークです。
- 資源(Resources):所得、教育、自信、知性など
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動機(Primary Motivation):
- 理想志向:信念や原理原則に基づいて行動する
- 達成志向:社会的地位や成功を求めて行動する
- 自己表現志向:変化やリスク、多様性を求めて行動する
「お金があるか/ないか」だけでなく、「何のために生きているか(動機)」を掛け合わせることで、より立体的なペルソナが見えてきます。
日本版VALSもあるようで、さらに細分化されているものみたいでした。
価値観のアプローチ
ライフスタイルの根底にある「価値観」そのものを類型化した研究もあります。古典的ですが、今見ても面白い分類です。
スプランガーの価値類型 (Spranger, 1921)
ドイツの哲学者・心理学者シュプランガーは、人間が何を「最高の価値」として追求するかによって、以下の6つの型(理論・経済・審美・社会・権力・宗教)に分類しました。
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理論型 (Theoretical):真理の探究を重視。客観性や論理を好む
- → 研究者やエンジニアに多そうなタイプ
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経済型 (Economic):実利・有用性を重視。コスパやROIに敏感
- → 実業家タイプ
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審美型 (Aesthetic):調和・形式・美を重視
- → デザイナーや芸術家タイプ
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社会型 (Social):他者への愛・奉仕を重視
- → 福祉や教育に関心が高いタイプ
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権力型 (Political):支配・影響力を重視。地位や名誉を求める
- → 政治家やリーダータイプ
- 宗教型 (Religious):聖なるもの・全体との合一を重視
UIデザイン一つとっても、「理論型」にはスペック表を、「審美型」には美しいビジュアルを、「経済型」には割引率をアピールすべき、というように使い分けができそうです。
購買態度の分類
合理的要素と情緒的要素 (佐々木, 1984)
佐々木氏は、購買態度を 「合理的要素」 と 「情緒的要素」 のバランスで捉える視点を提示しています。
- 合理的要素:機能、品質、価格、経済性などに基づく判断(Economy)
- 情緒的要素:好き嫌い、雰囲気、イメージ、衝動などに基づく判断(Emotion)
佐々木氏の研究では、多くの購買行動はこの2つの混合であり、製品カテゴリや個人によって比重が変わるとされています。
以前の記事で書いた「計算モード vs 感情モード」の話に近いですね。
- 日用品・消耗品 → 合理的要素が強めになりがち
- 趣味・嗜好品 → 情緒的要素が支配的になりがち
ただし、最近は「推し活」のように、一見無駄に見える(経済合理性がない)ものに対して、極めて高い熱量で情緒的な消費をする行動が市場を動かしています。
「エモさ」が「コスパ」を凌駕する瞬間をどう作るかが、現代のマーケティングの鍵なのかもしれません。
まとめ
今回は「ライフスタイルと価値観」についてまとめました。
- AIOアプローチ:行動・関心・意見でユーザーを動的に捉える
- VALS:手持ちのリソースと、人生の動機で分類する
- スプランガーの類型:人が何を「尊い」と思うか(真理か、金か、美か...)を知る
- 合理と情緒:スペック(合理)だけで人は動かない。エモ(情緒)の変数を忘れない
ついつい「理論型(機能すごい!)」や「経済型(便利!)」の視点でプロダクトを作ってしまいがちですが、世の中には「審美型(美しくないと嫌だ)」や「社会型(誰かのためになりたい)」のユーザーも沢山いることを忘れてはいけないなと感じました。
それでは、また明日!