※以下の企画です
今回は「消費者の関与(Involvement)」についての内容です。
なぜ人は、家を買うときは死ぬほど調べるのに、コンビニのお菓子は何も考えずにカゴに入れるのか?という話です。
それでは頑張ります〜
関与(Involvement)とは
消費者行動論において、「関与(Involvement)」 という言葉がよく出てきます。
ざっくり言うと、「その対象に対して、消費者がどれくらい関心を持ち、重要性を感じているか」 という度合いのことです。
- 高関与(High Involvement): 自分にとって重要。失敗したくない。情報をしっかり処理する
- 低関与(Low Involvement): どうでもいい。こだわりがない。情報は流し見する
この「関与」の度合いによって、脳の働きや情報の受け取り方がまるで変わるようです。
メディアと脳の覚醒
印刷広告 vs テレビ広告(Krugman, 1977)
クローグマン(Krugman)は、媒体によって消費者の脳の関与度が異なると指摘しました。
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印刷広告(雑誌・新聞・Web記事):
- 能動的に読む必要がある
- 自分のペースで情報を処理する
- 左脳的(論理的)な処理 が中心で、関与が高まりやすい
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テレビ広告(動画):
- 受動的に流れてくる
- ペースは発信者側に委ねられる
- 右脳的(感覚的)な処理 が中心で、関与は低くなりやすい
Krugmanの研究によると、印刷広告の方がテレビ広告よりも大脳の覚醒水準が高い とのことです。
確かに、技術書を読んでいるとき(印刷/テキスト)は脳がフル回転ですが、YouTubeを流し見しているとき(テレビ/動画)は脳がアイドリング状態に近い気がします。
「記事(テキスト)」という媒体は、読ませるハードルが高い分、読んでもらえれば深く刺さる(関与が高い)ということですね。
ソロモンの関与概念
ソロモン(Solomon)は、関与を以下の3つのタイプに分類して整理しました。
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製品関与(Product Involvement):
- 特定のジャンルそのものへの熱量
- 例:「ガジェットオタク」はPCパーツへの関与が常に高い
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メッセージ反応関与(Message-Response Involvement):
- 広告やコンテンツそのものの面白さへの関心
- 前述の通り、受動的なテレビよりも、能動的な紙(Web)媒体の方が関与が高まりやすい とされます
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購買関与(Purchase Involvement):
- 「買う」という行為そのものへの真剣度
- 普段興味がない冷蔵庫でも、壊れて買い換えるときは「失敗したくない」ので関与が高まる
知覚リスク(Assael, 2004)
アサエル(Assael)によると、関与を高める最大の要因は 「知覚リスク(Perceived Risk)」 です。
つまり、「失敗したときのダメージがデカいかどうか」 です。
- 金銭的リスク: 高い買い物(家、車)
- 機能的リスク: ちゃんと動くか不安(知らないメーカーのPC)
- 社会的リスク: ダサいと思われないか(服、車)
リスクが高いと、人間は本能的に「情報探索」を行い、リスクを下げようとします。これが「高関与」の状態です。
逆に言うと、「安くてどうでもいいもの(リスクが低い)」は、いちいち考えない(低関与) わけです。
非計画購買
アサエルは、低関与の状態では 「非計画購買(衝動買い)」 が生じやすいとも指摘しています。
スーパーのレジ横にあるチョコやガムがまさにこれです。
- リスクが低い(失敗しても100円の損)
- 関与が低い(深く考えない)
- 結果:目に入った瞬間にカゴに入れる
ECサイトで「あわせ買い」をレコメンドするときも、高価なものではなく「失敗しても痛くない消耗品」を提案するのは、この低関与領域をハックするためですね。
精緻化見込みモデル(ELM)
最後に、個人的に一番面白かったのが 「精緻化見込みモデル(Elaboration Likelihood Model)」 です。
関与の度合いによって、説得のルート(脳内の通信経路)が変わるというモデルです。
1. 中心ルート(Central Route)
- 対象: 高関与(興味津々)のユーザー
- 処理内容: 論理、スペック、メリット・デメリットを精緻に吟味する
- 有効な広告: 詳細なスペック表、比較記事、エビデンス
2. 周辺ルート(Peripheral Route)
- 対象: 低関与(興味なし)のユーザー
- 処理内容: 中身ではなく、周辺の手がかりで判断する
- 有効な広告: 有名なタレントが出ている、音楽がかっこいい、パッケージがお洒落、権威がありそう
まとめ
今回は「関与(Involvement)」についてまとめました。
- メディア特性:動画は楽だけど脳は寝ている。テキストはしんどいけど脳は起きている
- リスクと関与:人間は「損をしたくない」ときだけ本気になる
- ELM:相手の本気度に合わせて、語るべきは「スペック」か「雰囲気」かを使い分ける
それでは、また明日!