※以下の企画です
今回は「動機づけ(モチベーション)」についてです。
それでは頑張ります〜
人を動かすエンジン
動機づけ(Motivation)
心理学において動機づけとは、行動を喚起し、方向づけ、維持させる過程のことです。
要件定義で言うところの 「Why(なぜ作るのか)」 の部分ですね。
ニーズ・ウォンツ・デマンド(田中 2008)
マーケティングの基本用語ですが、田中敏夫氏の整理(2008)によると、以下のように階層構造になっています。
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ニーズ (Needs): 「欠乏を感じている状態」
- 例:「喉が渇いた」「移動したい」
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ウォンツ (Wants): ニーズを満たすための「具体的なモノへの欲求」。文化や個人の好みが反映される
- 例:「コーラが飲みたい」「フェラーリが欲しい」
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デマンド (Demands): ウォンツに「購買力(金)」が伴ったもの
- 例:コーラを買うお金がある状態
我々が開発するとき、ユーザーの「ウォンツ(これが欲しい)」だけを聞いて実装すると失敗することがあります。その奥にある「ニーズ(何に困っているか)」まで深掘りしないと、「顧客が本当に必要だったもの」 の風刺画状態になってしまうわけですね。
マズローの欲求段階説
あまりにも有名すぎるのでサクッといきます。アブラハム・マズローによる、人間の欲求は5段階のピラミッドになっているという説です。
- 生理的欲求: 生きていくための本能的な欲求(食欲・睡眠)
- 安全欲求: 危険を回避し、安全に暮らしたい
- 社会的欲求: 集団に属したい、愛されたい
- 承認欲求: 他人から認められたい、尊敬されたい
- 自己実現欲求: 自分の能力を最大限に発揮したい
欲求の段階によって欲するものが異なるので、自分が提供しようとしているものが誰の何を満たすのかを考える最下層の地盤になっているような理屈だと思います。
サトリ世代にとって響くのは「承認欲求」や「自己実現欲求」だからSNSが〜みたいな語り口もよく聞きますね。
買い物リストの実験(Haire 1950)
これは個人的に一番面白かった話です。
1950年、ヘアー(Mason Haire)が行った 「ネスカフェ・インスタントコーヒー」 に関する実験です。
当時、インスタントコーヒーは「手軽で早くて美味しい」のに、なぜか売れ行きが伸び悩んでいました。
消費者にアンケートを取ると、みんな口を揃えて 「味がまずいから」 と答えました。
そこでヘアーは、ある実験を行いました。被験者に「2つの買い物リスト」を見せて、そのリストを書いた主婦の人物像を想像して記述させたのです。
- リストA: ハンバーグ用の肉、パン、ドリップコーヒー、他
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リストB: ハンバーグ用の肉、パン、インスタントコーヒー、他
- (コーヒー以外は全く同じ内容)
結果:
リストB(インスタントコーヒー)の主婦に対し、多くの被験者が 「怠け者」「計画性がない」「悪い主婦」 というネガティブな評価を下しました。
結論:
消費者が買わない本当の理由は「味がまずい」ではなく、 「手抜きをしていると見られるのが怖い(罪悪感)」 だったのです。
でも、それを直接言うのは恥ずかしいので、もっともらしい「味が悪い」という理屈(合理化)を捏造して回答していたわけです。
これ、ユーザーインタビューの怖さそのものですよね。「使いにくい」と言われたUIの真因が、実は「機能不足」ではなく「自分のリテラシー不足を認めたくない」だったりする可能性もあるわけで...。
N1インタビューの内容を鵜呑みにするのもいかがなものかと学びになりました。
ブランド力の重要性
上記のネスカフェの事例、どうやって解決したかというと、「手抜き」ではなく 「賢い時間の使い方」「余裕のあるライフスタイル」 としてブランドの意味を再定義したそうです。
ブランドとは、単なるロゴや名称ではなく、「その商品が持つ意味(意味的価値)」 です。
スペック(機能的価値)が変わらなくても、ブランドの意味が変われば、人々の「デマンド」は喚起されます。
エンジニアとしては「良いものを作れば売れる(Product Out)」と思いがちですが、その「良さ」がユーザーの「心理的財布」や「潜在的な罪悪感」にどう響くかを設計するのがブランディングなんですね。
まとめ
今回は「動機づけ」と「隠された本音」についてまとめました。
- ニーズ(欠乏)→ウォンツ(解決策)→デマンド(予算確保)の階層がある
- ユーザーは本音(深層心理)を言わない。というか自分でも気づいていない
- 「機能的なスペック」よりも「心理的な意味(ブランド)」が意思決定を左右する
それではまた明日!