フリーランスのWebエンジニアとして独立して3年になる。最初の半年は本当にカオスだった。案件の情報はSlackとメールとGoogleドライブに散らばっていて、請求書を送り忘れて入金が遅れたことが2回。確定申告の直前に1年分のレシートをかき集めるはめになった。
この状況を変えてくれたのがNotionだった。今は案件管理、タスク管理、収支管理の3本柱をNotionに集約していて、正直これなしでは仕事が回らない。同じ悩みを抱えているフリーランスに向けて、自分が実際に使っている構成を共有する。
なぜNotionなのか
Trello、Asana、スプレッドシート、いろいろ試した。どれも単体では優秀だけど、フリーランスの業務は「案件」「タスク」「お金」が全部つながっている。ツールが分かれていると、案件ページからタスクの進捗を見るのにタブを切り替えて、今月いくら稼いだか確認するのにまたスプレッドシートを開いて……という無駄が発生する。
Notionのリレーション機能を使えば、案件に紐づくタスク一覧も、案件ごとの売上も、ワンクリックで確認できる。あと地味に重要なのが、無料プランでも個人利用なら制限がほぼないこと。月額コストゼロで始められるのはありがたい。
構成の全体像
自分の環境は3つのデータベースで構成されている。
- 案件管理DB — 受注した仕事を全件登録。ステータス、金額、納期を追跡
- タスク管理DB — 各案件のタスクを細分化。見積時間と実績時間を記録
- 収支管理DB — 売上と経費の両方を記録。勘定科目付きで確定申告にも対応
この3つをリレーションで接続して、案件ページを開くだけで関連するタスクと収支が一覧表示される仕組みだ。
案件管理DB — 請求漏れゼロの仕掛け
最初に作るのは案件管理。フリーランスにとって「案件」は仕事であると同時に「売掛金」でもある。だからステータスは作業の進捗だけでなく、お金の流れに沿って設計するのがコツだ。
自分は6段階にしている:
- 商談中 → まだ受注していない引き合い
- 受注 → 正式に受けた。作業開始前
- 作業中 → 実際にコードを書いたりデザインしたりしている
- 納品済 → 成果物を渡した。まだ請求書を送っていない
- 請求済 → 請求書を送った。入金待ち
- 入金済 → お金が振り込まれた。完了
ポイントは「納品済」と「請求済」を分けていること。以前は「完了」だけにしていて、納品したのに請求書を送り忘れるミスをやった。ステータスを分けてからは、ボードビューで「納品済」レーンにカードが溜まっていたら「あ、請求書送らなきゃ」と気づける。
プロパティとしては、案件名(タイトル)、クライアント(セレクト)、ステータス(セレクト)、受注金額(数値)、納期(日付)、カテゴリ(マルチセレクト)、請求日(日付)を設定している。
タスク管理DB — 時間単価を可視化する
タスク管理で一番大事だと思っているのは、見積時間と実績時間の記録だ。
たとえば、LP制作の案件を15万円で受けたとする。最初の見積もりでは20時間で終わると思っていたけど、修正対応が長引いて結局35時間かかった。時間単価にすると約4,300円。一方で、WordPressのカスタマイズを5万円で受けた案件は8時間で終わって、時間単価は6,250円。
この差を数字で見ると、「次にLP制作を受けるなら修正回数の上限を決めよう」「WordPressの案件は積極的に取ろう」といった判断ができるようになる。感覚ではなくデータで意思決定するのが大事で、それには実績時間の記録が不可欠だ。
各タスクにはリレーションで案件を紐づけておく。こうすると案件ページからタスクの完了状況が一覧でき、ロールアップで案件ごとの合計作業時間も自動計算される。
収支管理DB — 確定申告前の地獄を回避
💡 この環境をすぐに使い始めたい方へ
ここまでの案件・タスク・収支の3テーブル構成を、CSVインポートだけで即構築できるテンプレートを作りました。Notion無料プランで動きます。
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収支管理は正直そこまで凝った設計にはしていない。「内容」「種別(売上/経費)」「金額」「日付」「勘定科目」「案件(リレーション)」「領収書(ファイル添付)」の7プロパティだけだ。
勘定科目を入れているのは確定申告のため。 2月になってから1年分の経費を仕分けるのは地獄以外の何物でもない。日頃から「通信費」「消耗品費」「外注費」とタグ付けしておけば、年末にフィルターで科目ごとの合計を出して会計ソフトに転記するだけで済む。
スマホのNotionアプリからも入力できるので、カフェで打ち合わせした後にその場で経費を入力してレシートの写真も添付する。30秒で終わるこの習慣が、確定申告の時期にどれだけ楽にしてくれるか。
ダッシュボードで毎朝15秒チェック
3つのDBが揃ったら、ダッシュボードページを作る。Notionのリンクドビュー機能を使って、1ページに全部集約する。
自分は3段構成にしている:
- 上段:今週のタスク — タスク管理DBのボードビュー(フィルター:未完了かつ期限が今週中)
- 中段:進行中の案件 — 案件管理DBのテーブルビュー(フィルター:入金済でない案件)
- 下段:今月の収支 — 収支管理DBのテーブルビュー(フィルター:今月の日付)
朝パソコンを開いてこのページを見るだけで、今日やるべきこと、案件の進捗、今月の売上がパッと分かる。所要時間は15秒。
開発作業中に地味に助かるツール
Notionとは直接関係ないけど、フリーランスのエンジニアとして日常的に使っているWebツールもついでに共有しておく。
APIレスポンスのJSONを整形したいとき、ちょっとしたパスワードを生成したいとき、URLエンコードの確認をしたいとき。こういう「わざわざツールをインストールするほどではないけど、ブラウザでサッと使いたい」場面がけっこうある。
ToolPlex というサイトにJSONフォーマッター、パスワードジェネレーター、URL エンコーダー、正規表現テスター、ハッシュ生成、Base64変換あたりが一通りまとまっていて、自分はブックマークに入れている。インストール不要でブラウザだけで完結するのが楽だ。開発中にちょっと確認したい場面で重宝する。
「自分で作るの面倒」という人へ
正直に言うと、ここまでの構成を一から作るのは1〜2時間はかかる。プロパティの設計、ビューの設定、リレーションの接続、ロールアップの設定。慣れていれば大した作業ではないけど、Notionを使い始めたばかりの人にとってはハードルが高いかもしれない。
自分が使っている構成をベースに、案件管理・タスク管理・収支管理の3つのデータベースをCSVテンプレートとしてまとめたものを Gumroad で公開している。サンプルデータ入りなので、インポートすればすぐに使える状態になる。セットアップガイドも付けているので、Notion初心者でも迷わないはずだ。
もちろん自分で一から作る方が理解は深まるので、この記事の内容で十分だと感じたらテンプレートは不要。ただ、「早く使い始めたい」「設計で悩む時間を省きたい」という場合には選択肢として検討してほしい。
運用のコツ:完璧を目指さない
最後に、3年間運用してきて一番大事だと思うコツを書いておく。
完璧にやろうとしない。
タスクの実績時間を入れ忘れる日もある。経費をまとめて入力する週もある。それでいい。100%正確なデータより、80%の精度で3年間回し続けるほうがずっと価値がある。
仕組みを作ったら、まず1週間だけ使ってみる。そこで不便だと感じたところだけ直す。これを繰り返していけば、いつの間にか自分にぴったりの環境が出来上がっている。
Notionの活用方法やフリーランスの生産性向上については TechPlex Blog でも色々な記事を書いているので、合わせて参考にしてもらえたらうれしい。
この記事が、フリーランスとして情報管理に悩んでいる誰かの助けになれば幸いだ。質問やフィードバックがあればコメント欄でどうぞ。
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