この記事は村松研 Unix チュートリアルのコンテンツです．

このページでは，機械学習関連パッケージを含む Python 環境を，Unix 系 OS 上に構築する方法を説明します．

Anaconda / Miniconda の選択

ここでは，科学計算向けパッケージを整備した Python 環境である Anaconda / Miniconda をインストールすることにします．
インストール時点で大量のパッケージが導入されているのが Anaconda，最小構成からスタートして自分の使うパッケージのみインストールできるのが Miniconda です．
とりあえずは，どちらを使うかは以下の基準で選ぶと良いでしょう．

• Anaconda: 何も考えたくない，ディスク容量に余裕がある（システム要件によると 5GB の空き）
• Miniconda: ダウンロードが長いのが嫌だ，ディスク容量を節約したい

Anaconda / Miniconda（以下ではまとめて Anaconda）は，pyenv という別の Python 用仮想環境管理ツール上にインストールすることにします．
これは，Anaconda が Unix 系のシステムコマンドの一部を上書きしてしまうのを防止するためです．
詳細を知りたい方はこちら．

.bashrc の編集

以下の内容を ~/.bashrc へ追記してください．

# pyenv / anaconda
export PYENV_ROOT="$HOME/.pyenv"
export PATH="$PYENV_ROOT/bin:$PATH"
if [ -d ~/.pyenv ]; then eval "$(pyenv init -)"; fi

pyenv のインストール

以下のコマンドを実行してください．

git clone https://github.com/yyuu/pyenv.git ~/.pyenv
source ~/.bashrc

Anaconda のインストール

以下のコマンドを実行してください．
ここでは， anaconda3-5.3.1 を用いていますが，これは適宜最新バージョンや Miniconda のバージョン表記に置き換えて実行してください．
pyenv で利用可能な Anaconda のバージョン一覧は pyenv install -l | grep anaconda で，Miniconda は同様に pyenv install -l | grep miniconda で確認できます．

pyenv install anaconda3-5.3.1
pyenv rehash
pyenv global anaconda3-5.3.1
conda update conda

必要パッケージのインストール（Miniconda の場合）

Anaconda でよく使われるものの，Miniconda には入っていないパッケージは以下のようにインストールできます．

conda install ipython numpy matplotlib scikit-learn jupyter jupyterlab

TensorFlow でニューラルネットワーク・深層学習を扱いたい場合

以下のコマンドで CPU 版を導入可能です．

conda install tensorflow

GPU 版は tensorflow-gpu で導入可能ですが，他に GPU ドライバのインストールなどが必要です．
ここでは解説しません．

簡単な動作確認

シェルに ipython と入力して対話型インタープリタを起動し，以下の内容を実行できたら，少なくとも Anaconda と numpy のインストールは成功と見て良いでしょう．

import numpy as np
np.__version__

注意事項

Anaconda 環境では原則 pip を使わない

Anaconda 以外の一般的な Python 環境では pip コマンドによりパッケージを管理するため，pip を用いた記事を見る機会が多いと思います．
しかし，Anaconda の環境中で pip を用いてパッケージをインストールすると，Anaconda 環境を壊す可能性があります．
そのため，原則 pip install hoge のかわりに conda install hoge を常に使うようにしてください．
こちらの記事に詳しいです．

source activate を使わない

本記事では Anaconda のデフォルト環境 base を使う前提で説明しましたが，Anaconda にはインストールするパッケージを選んで切り離した仮想環境を管理する機能があります．
多くの記事では仮想環境の有効化に source activate hoge を使っていますが，本記事のように pyenv 上に Anaconda をインストールした場合は，本コマンドは失敗します．

最近のバージョンの Anaconda では，かわりに conda activate hoge が使えるため，こちらを使うようにしてください．
conda activate の実行に失敗する場合は，こちらの記事を参照してください．