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[SwiftUI + CoreBluetooth]感染症対策・熱中症対策に iPhone や MacBook Air(M1)で温度・湿度を測定する

Last updated at Posted at 2022-12-23

記事の内容

ソニーが販売している IoT タグ MESH を利用して、温度・湿度を測定する。
スクリーンショット 2022-12-20 0.10.25.png

動機

感染症対策・熱中症対策として、部屋の温度・湿度を測定したい

「感染症対策・熱中症対策には温度と湿度の管理が大切」 ということはわかっていたが、実際の温度・湿度は把握していなかった。

単純に温度計・湿度計を購入して測定すればいいが、自動的に一定間隔で測定データを記録して、そのデータを可視化したり機械学習で活用できるのではないか。

また以前、BLE通信を利用してセンサと接続できる iOS アプリを開発するプロジェクトに参画していた。その際の内容を思い出すためにも、温度・湿度を測定できる iOS アプリの開発に挑戦した。

開発環境

PC
MacBook Air(2020,M1) メモリ:16GB ストレージ:1TB

言語
Swift

フレームワーク
SwiftUI

MESH
温度・湿度ブロック

  • 測定できる温度の範囲: -10℃ 〜 50℃
  • 測定できる湿度の範囲: 0% 〜 100%
  • 充電: Micro-USB

アプリの要件

  • MESH 温度・湿度ブロック 1台と MacBook Air を BLE 通信を利用して接続する
  • MESH 温度・湿度ブロックは接続後、0.5秒ごとに温度・湿度の測定データを PC に送信する
  • iOS アプリで現在の温度と湿度を確認する
  • 今回は MacBook Air をセントラル MESH 温度・湿度ブロックをペリフェラル とする(※セントラル・ペリフェルについては後述)

BLE 通信

BLEとは

  • 近距離無線通信の規格 Bluetooth を省電力化した通信形式
  • PC、スマートフォンなど通信の親機に相当する機器のことを セントラル と呼ぶ
  • MESH や忘れ物防止タグなど通信の子機に相当する機器のことを ペリフェラル と呼ぶ

BLE通信の流れ

※ 説明をわかりやすくするため、簡略化しています

  1. ペリフェラルが通信待ちの状態では、周囲の不特定多数の機器を対象に無線信号を送信(アドバタイズ
  2. セントラルがスキャンを実行することで、アドバタイズを受信
  3. セントラルが1対1で通信したいペリフェラルに対して、接続を要求
  4. ペリフェラルがセントラルからの接続要求を受信し、1対1の通信(GATT通信)に切り替える
  5. ペリフェラルからセントラルへ通信データを送信する ※
  6. セントラルがペリフェラルに対して、切断を要求

※ GATT 通信の特徴
サービスキャラクタリスティック の形で測定データをやり取りする

コード

ポイント

CoreBluetooth を利用する

つまづいたところ

センサと接続が完了した際に、ペリフェラルのデリゲートを設定する

  • peripheral.delegate = self を記載が必要であることを気づかず、時間を浪費した
DeviceManager.swift
  func centralManager(_ central: CBCentralManager, didConnect peripheral: CBPeripheral) {
        guard let peripheral = devices.first?.peripheral else { return }
        peripheral.delegate = self
        peripheral.discoverServices(services)
        print("centralManager did connect peripheral: \(peripheral.name?.description ?? "unnnamed")")
    }

ペリフェラルにブロック機能の有効化・温度や湿度、測定頻度の設定コマンドを送信する

  • 必要な知識: リトルエンディアン・16進数の足し算(チェックサムの値を算出するために必要)
  • 16進数の足し算: MacBook Air にプリインストールされている 「計算機」 アプリで対応
DeviceManager.swift
    func peripheral(_ peripheral: CBPeripheral, didDiscoverCharacteristicsFor service: CBService, error: Error?) {
        let byteArray: [UInt8] = [0x00, 0x02, 0x01, 0x03]
        let data = Data(byteArray)
        let batteryLevelArray: [UInt8] = [0x00,0x03,0x00,0x03]
        let batteryLevelData = Data(batteryLevelArray)
        
        let modeSettingArray: [UInt8] = [0x01,0x00,0x01,0xF4,0x01,0xFF,0x9C,0x64,0x00,0x00,0x00,0x11,0x11,0x20,0x38]
        let modeSettingData = Data(modeSettingArray)
        
        guard let characteristics = service.characteristics else { return }
        
        for characteristic in characteristics {
            peripheral.setNotifyValue(true, for: characteristic)
            peripheral.writeValue(data, for: characteristic, type: .withResponse)
            peripheral.writeValue(data, for: characteristic, type: .withoutResponse)
        }
        print("did Discover Characteristics for executed")
        
        for characteristic in characteristics {
            peripheral.setNotifyValue(true, for: characteristic)
            peripheral.writeValue(batteryLevelData, for: characteristic, type: .withResponse)
            peripheral.writeValue(batteryLevelData, for: characteristic, type: .withoutResponse)
        }
        
        for characteristic in characteristics {
            peripheral.setNotifyValue(true, for: characteristic)
            peripheral.writeValue(modeSettingData, for: characteristic, type: .withResponse)
            peripheral.writeValue(modeSettingData, for: characteristic, type: .withoutResponse)
        }
        
    }

実際にアプリを動かす

iPhone SE (2nd Generation) を使って、MESH センサと接続する様子を収録した。

1日中動かすと、室内の湿度が1日で10〜20%前後変動することがわかった。特に、朝は感染症のリスクが高くなる湿度40%以下になる傾向があるため、部屋で洗濯物を干す・湯を沸かす等の対策が取れた。

(部屋のサイズや人数にもよるが、もしかしたら加湿器をわざわざ購入しなくても良いかも ... )

このアプリの使い所

  • 感染症対策
  • 熱中症対策
  • ペットがいる家庭での温度管理
  • 職場の温度・湿度管理

今後したいこと

  • WidgetKit を利用して、アプリを立ち上げなくても温度・湿度を確認する。

App Store での配信開始

2023/01/09 配信開始 🎉

2023/01/10 ver 1.2.0 で測定したデータを保存できるようにした
・ 当初 CoreData を利用する予定だったが、Xcode でのアーカイブ時にエラーが発生
・ 上記エラーを解決するのに時間がかかりそうだったため Realm を採用した

参考資料

MESH 技術ドキュメント
MESH の操作方法・通信仕様がまとめられている。

Qiita
下記記事がとてもわかりやすい。

Speacker Deck (2023/04/04 追記)
この記事の取り組みを スライド にまとめました。

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