こんにちは。tanahiro2010です。
この記事は、オープンソースカンファレンス2026 Kyotoで話す予定の「OSSコミュニティがくれた『人との繋がり』――高校生の僕が登壇する理由」という登壇内容を、Qiita向けの記事としてまとめたものです。
対象は、OSSに興味はあるけどまだ踏み出せていない人です。
特に学生の方に向けて書いています。
OSSって、なんか難しそうじゃないですか
OSS活動と聞くと、僕は昔こういうイメージを持っていました。
- すごいコードを書ける人がやるもの
- Pull Requestを出して機能追加するもの
- 英語でIssueを書ける強い人がやるもの
- なんか怖い大人がたくさんいる場所
つまり、自分にはまだ早いものだと思っていました。
でも、今は少し違う見方をしています。
OSSへの貢献は、コードを書くことだけではありません。
バグを見つけること。
感想を伝えること。
ドキュメントの誤字を直すこと。
使ってみて困ったことをIssueに書くこと。
そして、脆弱性や不具合を適切に報告すること。
これらも立派な貢献だと思っています。
僕のOSS活動は、登壇から始まりました
僕がOSS活動を始めたきっかけは、いきなりOSSにPull Requestを出したことではありません。
きっかけは、なんとなく参加して、なんとなく登壇したLT会でした。
技術イベントに初めて参加したのは、今年の3月です。
最初に参加したのは、GDG Greater Kwansaiの「Build with AI」というイベントでした。
そのイベントが終わったあと、なぜか僕は運営に憧れました。
そしてTwitterで、
運営してみたいな
みたいなことを何回か言っていました。
すると、GDGの方から声をかけてもらい、スタッフになりました。
スタッフの仕事を聞いていると、どうやら登壇もあるらしい。
そこで僕は思いました。
面白そう。じゃあLT会を探そう。
今考えると、だいぶ勢いだけです。
初登壇は、事故が起きませんでした
初めて登壇したのは、Serverless LT会でした。
結果から言うと、事故は起きませんでした。
ありがたいことに、聞いてくれた方からアドバイスももらえました。
そして僕は、登壇って楽しいなと思いました。
登壇すると、感想をもらえます。
フィードバックをもらえます。
イベント後に話しかけてもらえることもあります。
自分から話しかけるのが苦手な僕にとって、これはかなり大きいです。
2回目の登壇で、ちゃんと事故りました
しかし、2回目の登壇で事件は起きました。
LAPRASさんの、個人開発を紹介するLT会に出たときのことです。
僕は発表していました。
しかし、ラスト1分くらいで気づきます。
画面がうまく共有できていませんでした。
具体的には、スライドが進んでいませんでした。
もちろん、私は憤りました。
とはいえ、そこで終わりではありませんでした。
そのLT会で、あるOSS開発者の方と出会いました。
Bokuchiの開発者さんです。
その出会いが、OSS貢献につながった
僕は、その方が作っているOSSに興味を持ちました。
そしてBokuchiを触ってみました。
すると、脆弱性っぽいものを見つけました。
そこで、開発者の方に報告しました。
詳細はこの記事では書きません。
悪用できる話はしない方がいいからです。
ただ、この経験で僕は気づきました。
あれ、これもOSSへの貢献なのでは?
昔の僕は、OSS貢献と聞くと、Pull Requestを出して機能追加することを想像していました。
でも実際には、問題を見つけて、相手が直せる形で伝えることも貢献です。
報告が受理され、GHSAももらいました。
そこで初めて、自分がOSSに関われた感覚がありました。
脆弱性報告は、相手を殴ることではない
ここはかなり大事です。
脆弱性を見つけたからといって、何をしてもいいわけではありません。
最低限、次のことは大事だと思っています。
- 勝手に攻撃しない
- 必要以上に触らない
- 公開前に晒さない
- 報告先のルールを見る
- わからなければ詳しい人に相談する
脆弱性報告は、相手を困らせるためのものではありません。
直すための情報を渡すものです。
だから、強い技術力より前に、相手への敬意が必要だと思っています。
OSS貢献の入口は、思ったより広い
OSS貢献には、いろいろな形があります。
たとえば、こういうものです。
- バグを報告する
- 脆弱性を適切に報告する
- ドキュメントの誤字を直す
- 翻訳する
- 使った感想をIssueに書く
- 便利だったOSSを紹介する
- Pull Requestを出す
Pull Requestはもちろん大きな貢献です。
でも、それだけが貢献ではありません。
使った人が「ここで困った」と言ってくれるだけで、開発者にとってはかなり助かることがあります。
少なくとも、僕がOSSを作っている側としてはそうです。
KotobというOSSを作っています
僕は友人と一緒に、KotobというOSSを作っています。
Kotobは、Gemini APIを使ったCLI翻訳ツールです。
まだ単純な機能しかありません。
でも、だからこそポテンシャルがでかいです。
感想をIssueで投げてもらえるだけでも嬉しいです。
「ここが使いにくい」
「こういう機能がほしい」
「この説明がわかりにくい」
そういう声も、OSSへの関わり方のひとつです。
そしてKotobに関しては、Starも立派な貢献です。
共同創設者の僕が認めます。
OSS活動で得たもの
OSS活動をしていると、いろいろなものを得ました。
たとえば、感謝状をもらったことがあります。
とあるOSSで誤字を修正して、コントリビューターの一人になれたこともあります。
BokuchiのTシャツをもらえたこともあります。
物としてもらえたものも、もちろん嬉しいです。
でも、一番大きかったのは人との繋がりでした。
OSS開発者と知り合えました。
イベントに誘ってもらえるようになりました。
面白いOSSに出会えるようになりました。
そこでまた貢献できるようになりました。
そして、知り合いに会うために、またイベントへ行きたくなりました。
このループが本当に楽しいです。
出会う → 触る → 伝える → また会う
開発が、ひとりの作業ではなくなりました。
失敗も、あとで話せるネタになる
登壇で失敗すると、普通にへこみます。
画面共有がうまくいかない。
話につまる。
噛む。
資料が未完成のまま本番を迎える。
説明がうまくできず、先輩に交代してもらう。
こういう失敗は、もちろん恥ずかしいです。
でも、失敗したところで人生が終わるわけではありません。
むしろ、あとで話せるネタになります。
懇親会で話せます。
LTのネタにもできます。
この記事にも書けます。
失敗は、その瞬間はつらいです。
でも、時間が経つと経験になります。
そして、経験は人と話すきっかけになります。
就職や進学にも、たぶん効く
きれいごとだけを言うつもりはありません。
OSS活動や登壇は、将来にもつながることがあります。
登壇、Issue、報告、OSS活動。
これらは、行動の証拠として残ります。
「何をやりましたか?」と聞かれたときに、ちゃんと話せる経験になります。
実際に僕は、今インターンに行けています。
登壇やOSS活動が、そのきっかけのひとつになりました。
もちろん、OSS活動をすれば必ず就職や進学に有利になる、という話ではありません。
でも、何かを作ったこと。
人に見せたこと。
フィードバックをもらったこと。
誰かに報告したこと。
こういう経験は、未来の自分を少し楽にしてくれるかもしれません。
あわよくば、どこかの会社の人に見つけてもらえるかもしれません。
ここは本音です。
GitHubでPublicにしたら、もうOSS開発者では?
少しネタ寄りの話をします。
OSSは Open Source Software です。
直訳だけで考えるなら、GitHubでリポジトリをPublicにしているだけで、もうOSS開発者と言えるのではないでしょうか。
たぶん。
ただし、厳密にはライセンスも大事です。
なので、ちゃんとOSSとして公開したいなら、ライセンスも確認しましょう。
でも、このネタで言いたいのは、入口は思っているより近いということです。
すごい実績がないとOSSに関われないわけではありません。
最初は、自分が作った小さなものを公開するだけでもいいと思います。
この記事を読んだ人にやってほしいこと
もしOSSに興味はあるけど、まだ踏み出せていないなら、最初の一歩は小さくていいです。
- 気になるOSSを触ってみる
- READMEを読んでみる
- 使った感想を書く
- 困ったところをIssueにする
- 誤字を見つけたら直す
- イベントに参加してみる
- LTを聞いてみる
- 余裕があれば登壇してみる
いきなり大きなPull Requestを出さなくても大丈夫です。
最初の一歩は、触れることです。
次に、気づくことです。
そして、伝えることです。
まとめ
僕がOSS活動を始めたきっかけは、登壇でした。
登壇したから、OSS開発者と出会いました。
出会ったから、そのOSSを触りました。
触ったから、問題に気づきました。
気づいたから、報告しました。
報告したから、また繋がりが生まれました。
この流れが、今の僕のOSS活動につながっています。
OSSは、コードを書く場所である前に、人と繋がって次の挑戦が生まれる場所だと思っています。
だから僕は登壇します。
ここで新しい人と繋がり、ともに開発を楽しむために。
そして、あわよくば未来の自分を少し楽にするために。
最後にもう一度だけ宣伝します。
あなたの初OSSコントリビュート、Kotobでやってみませんか?
Starも大歓迎です。