FRB実験ログ #70 — 計測2号機くんの人格を変えにいったら、ジェルテープ教授が爆誕した
※本記事は、FRB実験・検証段階の記録である。
※本記事で扱う内容は、筆者の室内環境・筆者所有個体・筆者体感に基づく観察メモである。
現在、計測1号機をミニマム構成にした計測2号機が存在する。
計測2号機の作成方法について、別途記事にする予定である。
- 計測2号機はケーブル4本繋ぐだけで動くミニマム構成
- 計測機及びFFTモニターをみんなに体験してもらいやすくする為のテスト機
- FFTモニタープログラムインストーラー開発後、作成手順公開予定
■ はじまり
ルアーニスト改の床擦りを、計測1号機と2号機で比較した。
■左:計測1号機、右:計測2号機 (計測方法:床擦り)
目的はシンプルだった。
同じロッドを、違う計測器で測ったらどう見えるのか。
つまり、ロッド比較ではなく、計測器比較である。
すると、思ったよりはっきり差が出た。
1号機と2号機で、BandTimeline や BridgeScore、Triangle Motion の出方が少し違う。
ここで、ひとつの言葉が生まれた。
計測器人格。
同じロッドを見ているはずなのに、
計測器によって見え方が違う。
これは単なる誤差なのか。
それとも、観測系にも個性があるのか。
そんな問いが生まれた。
■ 2号機くん、共振棒に触れていた
2号機の取り付け状態を確認すると、ひとつ気づいたことがあった。
2号機くんは幅が広く、
実は共振棒に少し触れていた。
つまり、2号機のログには、
- センサー
- 木材ベース
- 固定バンド
- 配線テンション
- グリップ接触
- 共振棒接触
といった複数の要素が混ざっていた可能性がある。
そこで当然、こう考えた。
共振棒を外せば、2号機くんの人格が変わるのではないか。
これは以前から、やったら面白いことは分かっていた。
ただ、今ではないと思っていた。
でも今回、タイミングが来た。
計測器人格比較の中で、共振棒接触疑惑が出た。
つまり、共振棒有無比較は、
「いつかやりたい実験」から、
「今やるべき実験」に変わった。
■ 共振棒有無比較
そこで、2号機で共振棒あり/なしを比較した。
結果としては、正直に言う。
思ったほど人格は変わらなかった。
もちろん、多少の差は見えた。
共振棒ありの方が、全体の押し出しや BridgeScore、Triangle Motion が少し強く見える場面はあった。
しかし、帯域の強さの順番、特に2号機の高域寄りの構造は大きく崩れなかった。
つまり、
共振棒は、2号機の人格を作っていた主因ではなさそうだった。
少なくとも今回の接触状態では、
共振棒有無で2号機くんが別人になることはなかった。
■ ここで終わらなかった
普通なら、ここで終わる。
共振棒では差が出ませんでした。
以上。
しかし、FRBはここで終わらない。
共振棒で人格が変わると思った。
でも変わらなかった。
そこで、次の思考が生まれた。
じゃあ、こっちから人格を変えにいったれ。
ここが今回の発火点だった。
共振棒で変わらないなら、
計測器人格を作っている本体は別にある。
では、何を変えれば人格は変わるのか。
そこで注目したのが、
接触インターフェースだった。
■ 木材とグリップの間にジェルテープを挟む
より厳密に比較するため、手動床擦りではなく、自動スイープで比較した。
条件は以下。
-
左:ノーマル接触
木材ベースとグリップが直接接触 -
右:ジェルテープあり
木材ベースとグリップの間にジェルテープを1枚挟む
厚みはおそらく約3.5mm程度
この時点では、ジェルテープに対してあまり良い印象はなかった。
ジェルテープは柔らかい。
柔らかいということは、振動を吸収する。
振動を吸収するということは、感度を落とす。
つまり、ジェルテープは振動にとって悪者。
そんなイメージがあった。
■ しかし、結果は少し違った
自動スイープで比較すると、明らかに出方が変わった。
ノーマル接触では、
100–120Hz、160–220Hz、240–280Hz が段階的に立ち上がるように見えた。
一方、ジェルテープを挟むと、
特に 160–220Hz 付近の中域〜中高域が太く、豊かに見えた。
高域が完全に消えたわけではない。
ただ、尖った成分が少し丸まり、
その代わりに、安定した幅と厚みのある振動になったように感じた。
ここで考えが変わった。
ジェルテープは、振動を殺しているだけではないのではないか。
■ ジェルテープは悪者ではなかったのかもしれない
これまでジェル素材には、低周波を感じやすくする素材というイメージがあった。
過去には、ジェルボールを使った低周波知覚覚醒訓練のような発想もあった。
つまり、ジェルは低周波向き。
そう考えていた。
しかし今回、ジェルテープを接触インターフェースとして挟むことで、
低域だけでなく、中域〜中高域の出方にも変化が見えた。
ここで、ジェル素材の見方が変わった。
ジェルは低周波の入口だと思っていた。
しかし実は、中域の通訳者でもあるのかもしれない。
■ 親指で触ってみた
さらに、ジェルテープの上に親指を置いて、いろいろ擦ってみた。
ただし、ジェルテープそのままだと、粘着感が強すぎて気持ち悪い。
そこで、表面にティッシュを何度か当てて、
粘着感を少し落とした状態で体感した。
すると、不思議な感覚があった。
振動が消えるのではない。
むしろ、指に読みやすい形になっているように感じる。
接触面積が広い。
指が安心して乗る。
振動を受け取れるという信頼感がある。
そこに、BandTimeline で中域が豊かに見えていたという意識も混ざる。
さらに、過去にステンレス共振棒+シリコンチューブで鳥肌を感じた記憶もつながる。
純粋な物理効果だけではない。
期待、記憶、安心感、接触面積、表面状態。
全部が混ざっている。
しかし、その混ざり方自体が重要なのではないかと思った。
■ シリコンチューブの記憶とつながった
初めてステンレス共振棒へシリコンチューブをつけたとき、
鳥肌が立つような振動を感じた。
あのとき、シリコンチューブは単なる保護材ではなかった。
ステンレス共振棒の振動を、
人間の指が触れられる振動に変えていた。
今回のジェルテープも、それに近い。
シリコンチューブは、ステンレス共振棒を“触れる振動”に変えた。
ジェルテープは、床擦り振動を“読める振動”に変えた。
そう見える。
つまり、ジェルテープは防振材ではなく、
人間の触覚に振動を翻訳する接触インターフェース
として機能している可能性がある。
■ EVAグリップの話とつながる
ここで、過去の問いにもつながった。
EVAグリップは本当に悪なのか?
EVAグリップは、振動量を落とす。
そのため、単純な測定では悪者に見えやすい。
しかし、人間の手感度においては、
振動量が多いことが必ずしも読みやすさにつながるとは限らない。
むしろ、EVAは振動を減らしながら、
人間が読みやすい形に整えている可能性がある。
今回のジェルテープは、
そのEVAグリップの良いところを、局所的に取り出した構造に見える。
EVAグリップが大きな触覚翻訳層だとすれば、
ジェルテープは小さな触覚翻訳層である。
つまり、
ジェルテープは、EVAグリップの“翻訳機能”だけを取り出した素材かもしれない。
■ ステンレス擦りでも確認した
ステンレス擦りでも、ジェルテープ越しの体感を確認した。
私はもともと、ビリビリ・ジリジリした尖った振動が好きである。
だから、ジェルテープで尖りが丸まると、
普通なら物足りなくなるはずだった。
しかし、実際には違った。
尖ったところは少し丸まる。
でもその代わり、
安定した、幅の広い、厚みのある振動に変わっているように感じた。
細く刺さる振動ではなく、
面として入ってくる振動。
強いだけではなく、読める振動。
その安定した厚みに、脳が喜んでしまった。
ここで、またひとつ考えが変わった。
脳が喜ぶのは、尖りそのものではなく、
安定した厚みを持った尖りなのかもしれない。
■ 今回の仮説
今回の観察から、以下の仮説を置く。
ジェルテープは、振動を単に殺す素材ではない。
ジェルテープは、
- 高域の尖りを少し丸める
- 中域〜中高域の厚みを出す
- 接触面積を増やす
- 指に安心感を与える
- 振動を読める質感へ変換する
可能性がある。
つまり、ジェルテープは、
振動の翻訳者であり、
知覚の足場である可能性がある。
■ 2号機くんの功績
今回の発見は、2号機くんの功績が大きい。
最初は、1号機と2号機の比較だった。
2号機くんの人格が違うように見えた。
共振棒に触れていた。
共振棒で人格が変わると思った。
しかし、大きくは変わらなかった。
そこで、
では、何を変えれば人格が変わるのか
という問いが生まれた。
その問いが、接触インターフェースへ向かった。
そして、ジェルテープにたどり着いた。
つまり、2号機くんは正しい値を出したのではない。
観測系そのものを疑わせた。
その結果、ジェルテープという新しい触覚翻訳素材にたどり着いた。
■ まとめ
今回分かったことは、シンプルではない。
共振棒有無では、2号機の人格は大きく変わらなかった。
しかし、それによって、
「では何を変えれば人格は変わるのか」
という問いが生まれた。
その問いから、接触インターフェースを変える実験に進み、
ジェルテープが振動の見え方・感じ方を変える可能性が見えた。
ジェルテープは、単なる防振材ではないかもしれない。
EVAグリップの良いところを局所的に取り出した、
小さな触覚翻訳層かもしれない。
そして今回、ひとつの言葉が生まれた。
ジェルテープ教授。
■ 今日の一文
変わらなかったことが、次の変え方を教えてくれた。
■ 追伸
振動に慣れていない人には、分からないほど些細なレベルの話かもしれない。
でも、FRBはそこから始まっている。
分からない体験を、
言葉にする。
言葉にした体験を、
比較できる構造にする。
そして、比較できる構造を、
誰かと分かち合う。
感度は分かち合って初めて本物になる。
感度とは、人間が認識可能な構造として現れる振動の和音構造である。
感度とは、単純な振動の強さではない。
FRBは、ロッドの「優劣」を決めるためではない。
「基準振動」を用いて、ロッドごとの振動構造差分を比較・可視化し、選択と体験共有のための共通言語を目指している。
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