FRB実験ログ #77 — ハイエンドロッドBヒーロー化計画 ~ ダメ男返上物語 ~ 第7話 — 主旋律しかおらんやん
はじめに
第74話で私は、一つの違和感を置いて逃げた。
段ボールカーボンエフェクターV2。
体感は良い。
しかし、グラフだけを見ると説明しきれない部分が残った。
その違和感は、その後もずっと頭の片隅に残り続けていた。
そして第76話。
ヒノキくん30cmと短バネダブルカーボンエフェクターによって、私は再び違和感と出会う。
「なんか気持ちいい」
しかし、FFTを見る。
思ったほど差が出ていない。
では、私は何を感じていたのだろうか。
今回は、その違和感を少しでも回収するため、様々な方法で体感確認を行った。
その中で、思わぬ方向へ話が進んでいくことになる。
トルク感という言葉
まず私は、過去のチャット履歴を検索した。
最近ずっと、
「加速感」
「押し出し感」
という言葉を使っている。
しかし、どこか既視感があった。
検索してみると、
2026年5月初旬の私は、
既に「トルク感」という言葉を使っていた。
当時の私はこう表現していた。
綺麗に分離できたときは、気持ちよくなる。
昔乗っていたターボ車のトルク感を感じる。
驚いた。
私は最近になってトルク感を発見したと思っていた。
しかし実際には、かなり前から同じ言葉を使っていたのである。
ただし、一つ違いがあった。
当時のトルク感は、
どうやら低域側の話をしていたらしい。
自動スイープで思い出す
そこで私は、
自動スイープのログを見ながら体感確認を始めた。
周波数をゆっくり上昇させる。
ただそれだけ。
FRBの中でも最も地味な実験である。
しかし、この実験には強みがある。
入力が極めて単純なのだ。
海では、
波。
風。
ライン。
ルアー。
ロッド。
人間。
全部が同時に喋る。
しかし自動スイープは違う。
一人ずつしか喋れない。
だから隠れられない。
私は低域に全集中した。
すると、
あることに気づいた。
主旋律しかおらんやん
Peak Timelineを見ながら体感確認を続ける。
すると、
ある区間だけ少し寂しい。
少し弱い。
そんな感覚があった。
最初は気のせいかと思った。
しかしグラフを見る。
そこには、
主たるピークが一つしか存在しない区間があった。
私は思わず言った。
「主旋律しかおらんやん」
それまで私は、
振動の強さを見ていたつもりだった。
しかし実際には違った。
どうやら私は、
振動の人数を聞いていたらしい。
赤点線(250Hz付近)の違和感
さらに別の区間を見る。
こちらは少し感じやすい。
少し厚みがある。
少し面白い。
Peak Timelineを見る。
主ピークが揺れている。
周囲にも別のピークが見える。
ここで仮説が生まれた。
もしかすると、
私は主ピークだけを聞いているのではない。
主旋律。
セカンドメロディー。
そして余韻。
その重なりを聞いているのではないか。
快感構造物語
ここで私は思い出した。
そもそも今回の話は、
ヒノキくん30cmから始まっている。
「なんか気持ちいい」
そこから、
加速感。
押し出し感。
トルク感。
主旋律。
セカンドメロディー。
という流れで話が発展してきた。
つまり私は、
ロッド感度を研究していたはずなのに、
いつの間にか、
快感構造を研究していたのである。
和音構造という仮説
現時点の仮説は単純である。
快感構造とは、
和音構造なのではないか。
主旋律だけでは少し物足りない。
しかし、
主旋律に副旋律が重なると面白くなる。
音楽と同じである。
もちろん現時点では仮説に過ぎない。
しかし少なくとも、
主ピークの音量だけでは説明できない何かが存在している。
そんな感覚は強くなってきている。
UIは足りなかったのか?
ヒノキくんの快感から始まった今回の流れ。
私は途中で、
「UIが足りていないのではないか」
と思った。
しかし今回振り返ってみると、
少し違う気がしている。
今のUIで、
ここまで辿り着けた。
Peak Timeline。
Band Timeline。
FFT。
それだけで、
主旋律。
セカンドメロディー。
和音構造。
という仮説まで見えてきた。
つまり、
UIは足りなかったのではない。
私は、
ようやく今のUIを読み解けるようになっただけかもしれない。
まとめ
第74話で置いて逃げた違和感。
その回収を試みた結果、
私は思わぬ場所へたどり着いた。
ロッドを丸裸にするために作った自動スイープ。
しかし今では、
振動だけでなく、
知覚そのものを観察する装置になりつつある。
もしかすると、
私が追いかけているのは感度ではない。
快感になる和音なのかもしれない。
そしてその物語の黒幕は、
たぶん、
ヒノキくん30cmである。
(続く)
感度は分かち合って初めて本物になる
感度とは、人間が認識可能な構造として現れる振動の和音構造である。
感度とは、単純な振動の強さではない。
FRBは、ロッドの「優劣」を決めるためではない。
「基準振動」を用いて、ロッドごとの振動構造差分を比較・可視化し、選択と体験共有のための共通言語を目指している。
FRBにおける知覚トレーニングとは、
室内で基準振動を体験し、海で感じる砂・岩・藻・糸擦れ・ぷるぷるなどの振動を、比較・言語化・共有するための練習である。
ロッドだけでなく、人間側の知覚も少しずつ海に合わせていく。
それがFRBの目指す「感じるための共通言語」である。
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