1.はじめに
1.1. 使用したもの
- Raspberry Pi 5 4GB
- OS:Bookworm(64-bit) Desktop Release 5.3 July 2024
- 公式アクティブクーラー SC1148
表1.アクティブクーラーの仕様
項 目 | 内 容 |
---|---|
入力電圧 | +5V |
センサ | 速度センサ内蔵 |
制御方式 | PWM速度制御 |
最大ファン速度 | 8,000 RPM(Revoiutions Per Minute) ±15% |
最大風量 | 1.09 CFM(Cubic Feet per Minute) |
ヒートシンク | アルマイト加工処理されたアルミニウム製 |
2.アクティブクーラーの取り付け方法
Raspberry Pi 5(以下、Pi5)のFANコネクタカバーを外します(図1)。カバーは指で簡単に外れますが、2段のUSBコネクタと拡張コネクタの隙間にあるため、ピンセットを使用しても外すのもよいでしょう。
アクティブクーラーの保護紙を外すとサーマルパッドが見えます(図2)。サーマルパッドは、ヒートシンクと発熱部品(ICなど)の接触面でのミクロな凸凹を埋め、効率的に熱を伝える役割を持っています。サーマルパッドは非伝導性で、柔らかく粘着性があります。なお、サーマルパッドを触れると、熱伝導効果が低下するため注意です。
図2の番号は、冷却対象の電子部品です。
① SoC(CPU、GPU、キャッシュメモリなどの回路を集積したチップ)
② PMIC(マルチチャンネルパワーマネジメントIC)
③ RP1(USB、MIPI、Ethernet、GPIOなどを集積したチップ)
④ Wi-Fiモジュール
アクティブクーラーのバネ式プッシュピンとPi5の取り付け穴(2箇所)の位置を確認し、アクティブクーラーとPi5を合わせます(図3)。
プッシュピンを押し込み、はんだ面に貫通したスナップがしっかり拡がり、プッシュピンが抜けないことを確認します(図4(a))。これが最も重要なポイントです。図4(b)のようにスナップが拡がっていない場合、ヒートシンクと発熱部品の密着度が弱くなり、冷却効果が十分に発揮されなくなります。
図 4 プッシュピンの押し込み
(a) スナップが拡がった状態
アクティブクーラーのコネクタをPi5に取り付けます(図5)。クーラーのコネクタにはキーがあり、凹部と凸部がかみ合うことで正しい方向にのみ接続できるようになっています。
3.動作確認
参考文献[2]のソースコードをクロック周波数3,000MHzまで測定できるように改良し、Pi5のCPU 4コアを100%の使用率にした状態で、SoCの温度とクロック周波数を測定しました。実験結果を図6に示すように、室温28℃の環境で、7分後にはSoCの温度は約70℃に達しましたが、サーマルスロットリングは発生せず、クロック周波数は2.4GHzを維持していました。また、SoCの温度が約50℃に達するとアクティブクーラーが回転し始めます。
図 6 CPU使用率を100%のときのSoCの温度とクロック周波数
4.おわりに
個人的な印象ですが、アクティブクーラーの風切り音は静かだと感じました。なお、公式のWebページ[1]では、アクティブクーラーをつけたり、外したりすると、プッシュピンとサーマルパッドが劣化し、製品が損傷する可能があることが指摘されています。
Reference
[1] Raspberry Pi Active Cooler, https://www.raspberrypi.com/products/active-cooler/
[2]菊池達也, Raspberry Pi 4 Model BをDCファンで自動的に冷却する, https://qiita.com/tamamori/items/0d761846ab9bd20b321e