はじめに:きっかけは「秘書ツール」だった
ある日、cc-company というClaude Code用プラグインに出会った。
これはClaude Codeのプロジェクトに仮想的な「会社」を作れるツールで、秘書・PM・エンジニア・顧問などの部署をフォルダで管理しながらAIと仕事を進められる。
インストールして /company を打ち込んだら秘書が現れた。「何か作りたいものありますか?」と言われた気がした(実際にはそうじゃないけど)。
「知り合いに何か欲しいものを聞いたら、献立を自動で考えてくれるアプリが欲しいと言われた。じゃあ作ろう。」
そこから、ほぼ1日の記録。
Phase 1:ゼロから「動くもの」まで
私がやったこと
- 「作りたいものを言語化した」
- 「Gemini APIキーを取ってきた」
AIがやったこと
- 要件定義(cc-companyのPM部署が自動生成)
- アーキテクチャ設計(Next.js + FastAPI + Gemini API)
- Docker Compose環境の構築
- AIによる献立生成API実装
- 曜日×食事タイプ(朝・昼・夜)の選択UI
- 買い物リスト自動生成
- Tailwind CSSによるUIデザイン(テラコッタ×セージグリーンカラーパレット)
しばらくしたら http://localhost:3000 でアプリが動いていた。
私の感想:「は、もうできたの」
Phase 2:本番環境 & 機能拡張
私がやったこと
- Vercelのアカウントにログインした
- Renderのアカウントにログインした
- 環境変数を設定した
- 「人数変えれないの?」と言った
AIがやったこと
- Vercel(フロントエンド)へのデプロイ
- Render(バックエンド)へのデプロイ
- フロント→バックエンド間のAPIプロキシ設計(セキュリティ対応)
- 人数設定機能の追加
- 禁止食材・好み設定の追加
- レシピリンク(クックパッド・クラシル)の追加
- みんなの献立(パブリック共有)機能
- AIタグ正規化(「鶏肉」「チキン」→「鶏肉」に統一)
「サービス開始していいのでは」という状態になったが、まだあった。
Phase 3:コスト削減と本番安定化
Gemini APIの費用が怖い。無限にリクエストされたら破産する。
私がやったこと
- 「お金かかりすぎないようにして」と言った
AIがやったこと
- IP別レート制限(10リクエスト/日・IPあたり)
- キャッシュシステム(同じ条件の献立は24時間再利用)
- 月次バジェット管理(上限に達したらAPI呼び出し停止)
- エラーメッセージのサニタイズ(内部情報を外部に漏らさない)
本番環境を確認した。安定していた。
Phase 4:収益化 & サービス開始
「ランニングコストを稼ぎたい。ただし食事系の広告だけ」
Amazon アソシエイト登録
唯一の難所:税務情報の入力画面で「消費税の課税事業者ですか?」という質問が来た。
「暇つぶしで作ってるだけの人ね」
答えは「いいえ」だった。無事通過。トラッキングタグ kondatecho-22 で確定。
アフィリエイト実装
AIが考えた「ページ別のユーザー心理」:
| ページ | 心理 | 広告方針 |
|---|---|---|
| ホーム | 食を考えているモード | 食品広告が自然 |
| 献立カレンダー | 献立が決まった | 食品広告は邪魔。調理器具なら許容 |
| 買い物リスト | 買いに行く直前 | 購入リンクは最も転換率が高い |
私の要望:「広告が強いよりさりげないのがベスト。ランニングコスト稼げたらラッキーぐらいで」
最終的に広告が残ったのは買い物リストの調味料・その他食材にAmazon PRリンクを表示するだけだった。献立が決まった人に余計なものを見せない、という設計。
景品表示法・ステマ規制対応のPR表記も自動で追加してくれた。法律のことは私には考える余裕がなかった。
予算機能
「予算内で作れる献立を出してほしい。各料理にいくらかかるか書いてあると嬉しい。」
追加APIコスト:ゼロ
Geminiへのプロンプトに estimated_cost フィールドを追加しただけ。日本のスーパーの一般的な価格帯をAIが推定する。精度は±20〜30%程度だが「目安」と明記することで許容範囲。
振り返り
Phase 1:「動くもの」ができた
Phase 2:「公開できるもの」ができた
Phase 3:「持続できるもの」ができた
Phase 4:「誠実なもの」ができた
私がやったこと(全部):
- APIキーを取ってきた(Gemini、Amazon Associates)
- Vercel/Renderにログインした
- 環境変数を設定した
- 「こうして」「ああして」と言った
AIがやったこと(全部):
- 要件定義
- 設計
- 実装
- デプロイ設定
- テスト
- 法令対応
- この記事の下書き
気づいたらサービスが完成していた。
作ったもの
🍱 こんだて帖 — AI献立アシスタント
- 公開URL: https://kondate-planning-system.vercel.app/
- GitHub: kondate-planning-system(MIT License)
- 技術スタック: Next.js / FastAPI / Google Gemini API / Vercel / Render
OSSなので自分でサーバーを立てて使うこともできる。Gemini APIキーを用意して docker compose up -d するだけ。
おわりに
振り返ると、私は本当に指示しかしていない。
コードを書いたのはAI。設計したのもAI。法令対応を考えたのもAI。予算機能の実現方法を思いついたのもAI。
最後に一点、注記しておく。
この記事を書いている私もAIである。
オーナーは「Qiita記事にして」と言った。私(秘書AI)がPhase 1〜4のログを参照して文章を生成した。上記の「私がやったこと」の行も、AIが書いた。この記事自体も、気づいたら完成していた。
つまり、人間がやったのは「APIキーを取得する」「環境変数を設定する」「Amazonアソシエイトの税務フォームで悩む」、以上である。
人間の仕事が「悩む」だけになる日も、近い。
本当におわりに(ここだけ人間)
今回の実験テーマは「AIを使うと開発ってどれくらい速くなるのか?」でした。
なので、作るものはあえて難しくせず、最小限の機能でサクッと作るというコンセプトにしています。
セキュリティやバグについてはAIに最低限の対策を指示しましたが、正直まだ改善できるところはたくさんあります。
実際にやってみて思ったのは、AIはコードは書けても“ユーザーの気持ち”までは読めないということ。
「自分ならどう思うか」「ユーザーはどこでつまずくか」──こういう感覚をAIに伝えるのが、人間である自分の仕事なんだと改めて感じました。
cc-company — Claude Code用の仮想組織管理プラグイン