0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Notion AIで人事業務をちょっとだけ便利にした話

0
Posted at

はじめに

私は営業 → エンジニアを経て、いまは技術人事をしています。

今回は、一次面接官から最終面接官(役員)への「申し送り」を、Notion AIで"一目でわかる1枚シート"にした話です(実際は一次と最終の間に二次面接などが入ることもあります)。

大したシステムを組んだわけではなく、プログラミングも一切していません。
それでも現場が少し便利になったので、同じように人事・採用で「申し送り」「引き継ぎ」に困っている人の参考になればと思って書きます。

そもそもNotion AIでスキルが作れる

Notion AIには、Claude の「Skills」のように、自分専用のコマンド(スキル)を作っておける機能があります。
「この手順で、この形式で出力してね」という指示を記載し、AIスキルとして使用と設定するだけで使えます。毎回プロンプトを書かなくても、決まった仕事を決まった品質でやってくれます。

しかもNotion AIの中身は Claude Opus 4.8 などの最新モデルが選択できるのが魅力的ですね。
今回はこの「スキル」機能で、申し送りシートを作る専用コマンドを用意しました。

スクリーンショット 2026-06-30 21.02.30.png

何に困っていたか

ナハトの選考フローはこうなっています。

  1. 一次面接:Google Meetで実施、議事録が残る
  2. 面接官が HERP(採用管理ツール)に評価を記入
  3. 最終面接(役員):履歴書・職務経歴書・適正検査結果を バインダーで挟んだ で見ながら実施

ここでボトルネックだったのが、1→3の「申し送り」がSlackのテキストだったこと。

  • 役員は分単位で忙しく、長文を読む時間がない
  • 文字が多く、結局どこを見ればいいのか分からない

つまり「情報はあるのに、最終面接の直前に頭に入らない」状態でした。

なぜ Notion AI だったのか

候補は色々ありましたが、最終的に Notion AI を選びました。理由はシンプルです。

  • 全社員にNotionが付与済み → 新しいツールの導入・教育コストがゼロ
  • Notion AIはトークン数が実質無制限 → 議事録+評価を気にせず読ませられる
  • そのうえで Claude Opus 4.8 などの最新モデル が使える

「非エンジニアが、いつもの環境のまま、追加課金もアカウント発行もなしで使える」
これが現場浸透のうえで決定的でした。

どんなに良いツールも、使ってもらえなければゼロなので。

作ったもの

一次面接の情報を放り込むと、こんな1枚のレポートが出てきます。(※デモデータです)

スクリーンショット 2026-06-30 21.10.51.png

読ませているのは次の2つだけ。

  • 一次面接の Google Meet 議事録
  • 一次面接官が HERPに記載した評価項目(ナハト独自の評価軸 + 総合推奨)

出力は 単一のHTMLファイル。Notionページに埋め込んであるので、そのまま閲覧でき、印刷して面接に持ち込めるようにしました(理由は後述)。

レポートは6セクションに固定しています。

  1. ヘッダー(氏名・ポジション・総合推奨)
  2. 候補者サマリー(転職理由 / 転職軸 / 将来像 / 志望理由)
  3. ナハト独自の評価軸 — グレードのみの表
  4. 強み・懸念サマリー
  5. 申し送り(まだ聞き出せていない要素)
  6. 付随情報(年収・入社希望月・他社状況 など)

こだわった点

ここからが本題です。「Notion AIに丸投げ」では、この品質になりませんでした。
人の評価を扱うツールなので、AIの自由度をあえて削る方向で設計しています。

1. フォーマットを"ガチガチ"に固定して、表記ゆれをなくした

最初の壁が 出力の揺らぎ でした。
同じ指示でも、配色が変わる・列構成が変わる・勝手に汎用デザインが生成される……。
毎回見た目が違うと、役員が毎回レイアウトを読み解くことになり、「一目でわかる」が成立しません。

そこで方針を変えて、完成済みのHTML/CSSテンプレートを1文字も改変させず、AIには 〔〕 で囲った中身(テキスト)だけを差し替えさせるようにしました。

スキルの冒頭に、こういう"禁止事項"を最重要ルールとして置いています。

【最重要・厳守】固定テンプレートを丸ごとコピーし、〔〕内のテキストだけを差し替える。
- 固定HTML/CSSテンプレートを1文字も改変せずそのままコピーして出力する。
- 差し替えてよいのは〔〕で囲まれた内容(テキスト)だけ。
- 独自デザイン・別配色・汎用スタイル等を生成することを禁止する。

「AIに考えさせない部分」を決め切るのが、業務ツールでは品質を安定させる近道でした。

2. AIに盛らせず、根拠のない項目は「未確認」と明示させる

人事の申し送りで一番こわいのが、AIがそれっぽく話を盛ることです。
議事録にない強みを勝手に書かれたら、候補者の評価を歪めかねません。

なので、ルールをこう固定しました。

  • 議事録に根拠がある項目だけ書く。推測で埋めない。
  • 情報がない項目は「議事録上 未確認」とそのまま表示する(無理に埋めない)

なんでも書いちゃうAIの性質をルールで抑え込んだ形です。
きれいに全部埋まったレポートより、確認できたことだけが書かれたレポートのほうが、何倍も信用できます。

3. 紙文化に合わせて、A4印刷を最適化した

最終面接では、あえて画面を挟まず、紙の履歴書・職務経歴書を見ながら話すというのがナハトのスタイルです。候補者の方とまっすぐ向き合う時間を大事にしたい、という考えからきています。

なので申し送りシートも「画面で見るもの」ではなく「印刷するもの」として設計しました。
具体的には印刷用CSS(@media print)を入れ、A4・1枚に収まるように余白やフォントサイズを別途調整しています。

@page { size: A4; margin: 9mm; }
@media print {
  body { font-size: 10px; line-height: 1.38; }
  section { break-inside: avoid; }   /* セクションが途中で切れないように */
  /* ...印刷時だけ余白・サイズを詰める... */
}

4. HERP評価の"ラジオボタン"を、画像で正しく読ませた

地味につまずいたのがここ。
HERPの評価(総合推奨・各評価軸のグレード)はラジオボタン形式で、複数の選択肢が並んで見えます。

AIにテキストだけ渡すと、並んでいる選択肢のうちどれが選ばれているのか判別できない(最悪、全部選ばれているように扱う)ことがありました。

対策として、

  • 採用するのは「●(塗りつぶされた丸)が付いた選択肢だけ」とルール化
  • 「○(空の丸)」は未選択として無視
  • 選択肢がテキストで並んでいるだけなら選択値ではない。塗りつぶし状態を画像で必ず確認してから書く
  • 出力前に「●が付いていた選択肢」をもう一度自己チェックしてから確定

要は「テキストで読むな、画像で見ろ、そして見直せ」を指示に明文化しました。AIに画面を読ませるときの、地味だけど大事な落とし穴だと思います。

失敗談・試行錯誤

きれいに一発で動いたわけではありません。
いちばん厄介だったのが 「ファイルにならない問題」 です。

「HTMLファイルを作って」と頼んでいるのに、チャットにHTMLのコードがそのままベタ貼りされて終わることが何度もありました。エンジニアなら「これをファイルに保存して開けばいい」と分かりますが、非エンジニアの現場にコードの塊を渡しても、何もできません。

ここで効いたのが、Notionはアップロードした単一HTMLファイルを、ページ内でそのまま表示できるという点です(意外と知られていないかもしれません)。

そこでスキルの仕事を「HTMLを書く」ではなく、こう定義し直しました。

  1. 単一のHTMLファイルを生成する
  2. 新しいNotionページを作り、そこに <embed> でファイルを埋め込む
  3. Notion内でそのまま閲覧でき、ファイルのダウンロード(→印刷)もできる

「コードを出して終わり」ではなく「受け取った人がそのまま使える状態」までをゴールにしたことで、ようやく現場で回るようになりました。

非エンジニアでも作るための再現ポイント

  1. AIに考えさせる範囲を最小化する
    レイアウトや構成は人間が先に固定し、AIには「中身のテキストだけ」を任せる。これだけで出力が安定します。

  2. 盛らせないルールを最初に書く
    「根拠がない項目は埋めず『未確認』と書く」。たった一文で、AIの暴走を大きく防げます。

  3. アウトプットのゴールを成果物で指定する
    「コードを出す」ではなく「Notionに埋め込まれたファイルにする」まで指定する。受け取る人がそのまま使える形を終点にする。

  4. 現場の文化に合わせる
    うちの場合は最終面接の場合は「紙で見る文化」なのでそこに合わせました。
    (もちろんそれ以外の場所では紙媒体はほとんど使いません笑)

テンプレートさえ一度作ってしまえば、あとは議事録を貼るだけです。

おわりに

  • 全社員が使えるNotion AIを土台に選び
  • フォーマットを固定して表記ゆれを消し
  • 根拠のないことは書かせず
  • 紙の文化に合わせて印刷まで設計した

プログラミングをしなくても、業務を分かっている人がAIの枠組みを設計すれば、現場で使えるツールは作れます。
いい時代になりましたね。

同じように「申し送り」「引き継ぎ」で困っている人事・採用の方の、何かのヒントになれば嬉しいです。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?