はじめに
こんにちは、インサイトテクノロジーの松尾です!
Aurora MySQL 2の RDS 延長サポートについて、「3年目の料金は適用されない」と認識されている方もいるのではないでしょうか。しかし、AWS公式のリリースカレンダーを確認すると、2026年12月1日が3年目料金の開始日として記載されています。今後のコストを見積もるうえでも、料金体系と最新の情報を整理しておきましょう。
- 通常の RDS 延長サポート料金の体系:1〜2年目は通常単価、3年目は2倍の単価が適用される。
- これまでの認識:Aurora MySQL 2は、3年目の料金が適用されないとされていた(3年目の開始日の記載がなかった)。
- 最新の公式情報:AWS公式のリリースカレンダーでは、Aurora MySQL 2の3年目料金開始日が「2026年12月1日」と記載されている。
- 今後の影響:これまでの「3年目料金は適用されない」という認識を見直す必要があり、2026年12月以降は延長サポート料金が2倍になる可能性がある。
Release calendars for Amazon Aurora MySQL(AWS公式)
RDS 延長サポートの料金体系(おさらい)
Amazon RDS / Aurora では、データベースエンジンが標準サポート終了(End of Standard Support)を迎えると、自動的に「RDS 延長サポート(RDS Extended Support)」へ移行し、通常のインフラ費用に加えて延長サポート料金が発生します。
延長サポートの料金体系は、以下の2段階で設計されています。
- 1〜2年目:vCPU時間あたり 単価A
- 3年目以降:vCPU時間あたり 単価Aの2倍
東京リージョンにおける実績値(追加費用)では、1〜2年目が 0.12 USD / vCPU時間、3年目が 0.24 USD / vCPU時間 です。RDS for MySQL や RDS for PostgreSQL、Aurora PostgreSQL などは、すでにこのルールに則って運用されています。
なぜ Aurora MySQL だけが「例外」とされていたのか?
これまで Aurora MySQL 2 については、各種解説記事や一部の公式資料において「3年目料金の設定なし(延長サポート期間中ずっと1〜2年目と同じ単価)」として扱われていました。
- 標準サポート終了:2024年10月31日
- 延長サポート課金開始:2024年12月1日
標準サポート終了後の運用スケジュールにおいて、「3年目に入っても延長サポート料金が値上げされない優遇措置がある」と認知されていたのが Aurora MySQL 2 でした。
最新の公式ドキュメントで状況が変化
AWS公式の Aurora MySQL メジャーバージョンのリリースカレンダー を確認したところ、現在のスケジュール表記は以下のようになっています。
| コミュニティバージョン | Aurora バージョン | 標準サポート終了 | 延長サポート 1〜2年目料金開始 | 延長サポート 3年目料金開始 | 延長サポート終了日 |
|---|---|---|---|---|---|
| MySQL 8.0 | Aurora MySQL 3 | 2028年4月30日 | 2028年5月1日 | Not applicable | 2029年7月31日 |
| MySQL 5.7 | Aurora MySQL 2 | 2024年10月31日 | 2024年12月1日 | 2026年12月1日 | 2029年6月30日 |
Aurora MySQL 3(MySQL 8.0互換)は延長サポートの期間自体が短いため(?)か、今のところは「Not applicable」となっていますが、Aurora MySQL 2 の行には明確に「2026年12月1日」という 3年目料金の開始日が記載されています。
また、Amazon Aurora 料金ページ の説明からも「Aurora MySQL には3年目料金が適用されない」といった免除規定の記述は見当たらなくなっています。
影響:いつから、いくら増えるのか?
前提注意
以下で計算しているのは 「延長サポートの追加料金単体」 です。通常のインスタンス利用料やストレージ料金などは別途ベース費用として発生するため、データベース全体の請求額が単純に2倍になるわけではありません。
Aurora MySQL 2(MySQL 5.7互換)を使い続けた場合の、東京リージョンにおける延長サポート単価の推移(想定)は以下の通りです。
| 期間 | 東京リージョン想定単価(vCPU時間あたり)※1 |
|---|---|
| 2024年12月1日 〜 2026年11月30日(1〜2年目) | 0.12 USD |
| 2026年12月1日 〜 2029年6月30日(3年目) | 0.24 USD(2倍) |
試算例:延長サポート追加費用のみ(db.r6g.large / 2 vCPU の場合)
-
1〜2年目(〜2026/11/30)の延長サポート費用:
2 vCPU × 0.12 USD × 24時間 × 30日 = 172.8 USD/月 -
3年目(2026/12/1〜)の延長サポート費用:
2 vCPU × 0.24 USD × 24時間 × 30日 = 345.6 USD/月
この例では、ベースとなるインフラ費用とは別に 毎月約 172.8 USD(1ドル150円換算で約2.6万円相当)の「純粋な値上げインパクト」 が上乗せされることになります。大型インスタンスや複数クラスターを運用している環境では、この差額だけでも無視できない金額になります。
※1 正確な最新料金は AWS Pricing Calculator や公式料金ページで確認してください。
まとめと推奨される対応
- コスト見積もりの見直し:「Aurora MySQL は3年目に延長サポート費用が上がらない」という認識を改め、2026年12月以降の予算計画を修正する必要があります。
-
Aurora MySQL 3(MySQL 8.0互換)への移行準備:
Aurora MySQL 3 へアップグレードすれば、延長サポート料金(vCPUあたり 0.12 USD〜0.24 USD)そのものが一切不要になります。 -
安全な移行手段の検討:
Amazon RDS Blue/Green Deployments やインプレースアップグレードを活用し、計画的なバージョンアップを進めることを強くおすすめします。
※ AWSのサポート方針や料金仕様は更新される場合があるため、最終判断の際は必ず最新の公式英語ドキュメントおよび AWS Pricing Calculator をご確認ください。
参考リンク
- Release calendars for Amazon Aurora MySQL(AWS公式)
- Amazon Aurora 料金(AWS公式)
- Amazon Aurora の RDS 延長サポート(AWS公式)
※ここから先は弊社サービスの紹介です。
おわりに:バージョンアップの壁となる「テスト工数」をどう乗り越えるか?
Aurora MySQL 3 へのアップグレードがコスト増加を避ける最適解であるとはいえ、「アプリケーションから発行される膨大なSQLが、新バージョンでもエラーなく動くか」「性能劣化は起きないか」を検証するのは非常に骨の折れる作業です。このテスト工数がネックとなり、移行計画がなかなか進まないという現場も多いのではないでしょうか。
こうした DB バージョンアップに伴うテスト課題を解決するために、弊社では 「Insight SQL Testing」 という自動テストツールを提供しています。
【Insight SQL Testing の主な特長】
- SQLの自動収集:現行環境でアプリケーションから発行されたSQLを自動的に取り込みます。
- 新環境での自動実行:取り込んだ本番相当のSQLを、バージョンアップ後のテスト環境で自動的に実行(リプレイ)します。
- 結果の自動評価:実行結果を比較・評価し、バージョンアップに起因する「非互換性によるエラー」や「性能劣化」を自動で検知します。
- AIによる修正提案:さらに、Amazon Bedrock を活用し、エラーが発生したSQLに対する修正案の提示まで自動で行います。
Amazon RDS や Aurora を利用している限り、エンジンバージョンのライフサイクル対応は「いつか必ず直面する課題」です。2026年12月の延長サポート料金の値上がりに慌てないためにも、事前の確実なテストと準備が鍵となります。
「移行テストの工数が足りない」「安全にアップグレードする自信がない」とお困りでしたら、ぜひお気軽に弊社にご相談ください!
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また、少し前に記載した内容ですが、以下も参考になればと思います。