この記事は PICマイコン Advent Calendar 2025 1日目の記事です。
1.初めに - マイコン(MCU)とは?
電子工作の世界やロボコンでは、必ずといっていいほど"マイコン"という言葉を耳にします。
では、いったいマイコンとはなんでしょうか?
簡単にいうと「プログラムを書き込むことで電子回路を思い通りに動かせる小さなコンピューター」です。
例えば、LEDを光らせたり、モーターを回したり、センサーの値を読んだりすることができます。
他のコンピューターとの違い
小さいコンピューターといっても色々な種類があります。
たとえばマイクロプロセッサ(MPU)やシングルボードコンピューター(SBC)などがそうです。
これらはマイコンよりも計算が得意で、基本的にOSで動いてるのでパソコンに近い存在です。しかし、マイコンはこれらとは違い、メモリがチップの中に入っている特徴があるため、動作を決まった時間でこなすことができます。
そのため、タイミングが大事なロボットや、自動車などでよく使われます。
ちなみに、マイコンではハーバードアーキテクチャというのがよく使われます。
ハーバードアーキテクチャというのは、ノイマン型コンピューターとは違い、メモリがデータとプログラムで分かれています。そのため、これらの読み出しの際に混雑がしないという利点があります。簡単にいうと客と従業員で出入り口が分かれているような感じです。
マイコンの種類
マイコンは様々な企業が開発/販売しています。
有名なもので言うと
- Arduino
- ESP32
- STM32
- ルネサスマイコン
- LPCマイコン
- Raspberry Pi Pico
などがあります。
今回はその中でも、PICマイコンに焦点を当てて解説していきます。
2.PICマイコンとは?
PICマイコンとは、Microchipが出しているマイコンです。
とても歴史があるマイコンで、初代のPICマイコンであるPIC1650のアーキテクチャは半世紀ほど前(1975年ごろ)に開発されました。
PICマイコンのPICというのはなんでしょうか?
調べてみるとPIC1650について書かれたとある文献に「Programmable Intelligent Computer」との記載ありました。そして、その後に現在の「Peripheral Interface Controller」と改められたようです。
3.PICマイコンの開発方法
PICマイコンの開発では、C,C++,アセンブラを使えます。
開発用のエディタとしては、Microchipが出しているMPLAB X IDEというものがあります。
また、MPLAB® Tools for VS Codeという拡張機能を使うことで、Visual Studio Codeでも開発ができます。
また、開発をする際はMPLAB Code Configurator(通称:MCC)というコンフィギュレーターを使って、マイコンの簡単な設定をします。STMのHALに似ていますが、個人的にはMCCはより直感的で簡単に設定できるためとても使いやすいです。
書き込みにはPickitやPICerFTなどの書き込み機で書き込みます。開発ボードには書き込み機としての機能が内蔵されているものもあります。
4.ペリフェラルピンセレクトとは?
PICマイコンの大きな特徴として、PIC特有の機能であるPPS(Peripheral Pin Select)という機能があります。
これは、UARTやCAN、ADCなどの様々な機能をユーザー側が柔軟にピンに割り当てることができるという機能です。
前述したMCCでは次のように、柔軟で直感的に割り当てることができます。
次のようなウィンドウで設定をしています。(dsPIC33CK256MC502)

※QEIはエンコーダーを読むペリフェラルです。
5.PICマイコンを使うメリット / デメリット
メリット①:適材適所で選べる圧倒的なラインナップ
PICマイコンには、8bit・16bit・32bitなど様々な種類があり、8bitと16bitだけでも1000種類を超える製品が存在します。(パッケージ違いは含まない)
さらに、用途ごとに分けられたファミリが多数用意されており、「やりたいこと」に合わせて最適なマイコンを選べます。
たとえば、次のようなファミリがあります。
-
dsPIC33CDVL64MC106ファミリ
16bitで、ゲートドライバを内蔵したモーター制御向けマイコン
CANトランシーバ内蔵のものもある -
PIC32MZファミリ
32bitのグラフィック処理向けマイコン -
PIC32MKファミリ
32bitのモーター制御向けマイコン
CAN FDが最大4つ使える -
WFI32ファミリ
32bitでWi-Fi機能を内蔵したマイコンのファミリ
このように豊富な種類から、用途に合わせてオーバースペックでない十分なスペックの適したマイコンを選べるのが強みです。
メリット②:ディスコンの心配が少ない
Microchip社はこのページにあるように長期供給を重視する方針を持っていて、PICマイコンはディスコンの心配が非常に少ないです。
一度作った回路を、長い期間にわたって安心して使い続けられるのは、とても大きなメリットです。
メリット③:安価で国内でも入手しやすい
PICマイコンは比較的安価なものが多く、有名なところだと秋月電子でも容易に入手可能です。
そのため、手を出しやすいマイコンだと思います。
デメリット①:情報が少なめ
データシートやリファレンスマニュアルは充実していますが、日本語のネットの記事は、Arduino IDEで開発できるマイコンと比べると少ないです。 また、記事があっても結構前のファミリに関する記事やMCCを使っていない記事であることが多いです。
そのため、すぐに動かすにはある程度そのモジュールの使用や仕組みをちゃんと理解する必要があります。
デメリット②:MCCが少し重い
MCCはとても便利ですが、起動時にやや重くなります。たまに一瞬固まることもあります。
そのため、少しストレスに感じるかもしれません。
6.おわりに
今回の記事では、PICマイコンとは何か、そしてその特徴や開発環境、PPSなどの強みについて簡単に紹介しました。
PICマイコンは種類が豊富で、用途に応じて適切なものを選べる実用性の高いマイコンです。
一方で、ネット上にはPICマイコンに関する日本語記事がそこまでなく、実践的な情報にたどり着きにくいという現状もあります。そのため、初心者にはArduinoと比べたら格段に手をつけにくいかと思います。
そこで、この PICマイコン Advent Calendar 2025では、PICマイコンに関する情報をこれから毎日書いていきます。
PICに少しでも興味を持った方は、ぜひ他の日の記事も読んでみてください。