11/29(水)に水曜日ワトソンカフェ Vol.5に参加してきたので、そのメモ。
水曜日ワトソンカフェとは
水曜日ワトソンカフェとは「(IBM)Watsonを実際にどう動かしていくか、どんな風に新しいビジネスに活用できるか…等々、多様な登壇者、参加者と共に、考え、議論する、サロンのようなイベント」です。
内容と感想
今回は今年最後の開催ということで、識者によるパネルディスカッションが2つ組まれていました。1つが「一番楽にWatsonを使いはじめるには?」というテーマで、もう1つが「Watsonで構築すすめるときに困ったらどうする?」。2つは内容的に少しかぶっている部分もあったので、休憩時やその後の懇親会で得た情報も含めて、ここでは書いていきます。
- Watson APIはManaged AI。Managed AIという領域では、Watsonが他社に比べても一番進んでいる。
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VR (Visual Recognition) はAPI経由で学習させることができる。
- Azureもできるが、1,000枚までという制限がある(* 筆者未確認)。
- 最近アナウンスされたライトアカウントでは残念ながら、VRとNLC (Natural Language Classifier) は使えない。
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R&R (Retrieve & Rank) はDeprecateされ、Discovery に包含されることがアナウンスされたが、Discoveryは日本語がやや弱い。
- Discoveryについては Watson Discovery Serviceが日本語対応したので、触ってみた【何、それ?】編 - Qiita
- Watson ML (Machine Learning) は敷居が低い。ビジュアルでフローを埋めていくようなやり方と自分ですべて書いていくやり方のハイブリッド。MLとDSX (Data Science Experience) を組み合わせて使うが、DSXはRやJypyterなので、それからMLを呼んでも良い。
- WatsonはAPIの統廃合が頻繁にあるが、NLU (Natural Language Understanding) もDiscoveryに統合されてそうな予感がする。
- 全体的にAPIが機能拡張していく傾向がある(=部品が大きくなってきているように思う)。1つのAPIでいろんなことができるのだが、開発者からすると、小さい機能に特化したAPIが数用意されていて、それらを組み合わせて使うほうが使いやすい。
- Edge AIにどう対応するのかが見えていない。
- Watson APIはデータ量が少なくても良いところが魅力。Big Dataに対して、Small Dataでも結果が得られるところは魅力。
- それも含めて、IBM CloudやWatson APIはスピード開発に向く、PoCをすぐに用意し、試すことができる。
- 手元のデータでまず試してみて、それから大きく展開していくことができる。
- Watson APIはAIであっても、AIを感じさせない良さがある。InputとOutputを定義し、その変換/処理を実現する手段としてWatson APIを用いることを考えれば良い。
全体を通じて、WatsonユーザーのWatson愛が感じられる良いイベントでした。肩に力が入っておらず、緩い感じで情報交換が出来ました。
IBMのイベントなので、もっと硬いのではないかと思っていたのですが、そんなことは無く、IBMのDeveloper Advocateの方なども、「へー、そうなんだー」と参加者と一緒に勉強している姿勢を見せていたり、ネガティブなことを言われても(もしくは自虐的に自分から言っても)笑いとともに流してしまえるところがすごいと感じました。
APIの統廃合
Watson APIの統廃合スピードが速いという話題の中で、クラウドだから仕方ないという話があり、GCPもそうですよね、と言われたのですが、まぁ正しいのだが、それにしても、IBM CloudとWatsonはちょっと速すぎるように思います。IBM Cloudの以前のブランドであるBluemixもWatsonも書いた書籍の内容がすでに現状のバージョンと合わなくなってしまっているというのは著者泣かせです。Bluemix本などは出版時点ですでに、その通りやっても動かないという状態でした。IBMのサイトの公式チュートリアル通りにやっても動かないという、これはどうにかして欲しいです。
ただ、感想のところにも書きましたが、イベントでは、提案していたものが途中で無くなったとかそういうエピソードがあっても、みんなで笑い飛ばしてしまっているところに、このコミュニティの不思議な強さは感じました。ベンダーがダメだと(語弊あり ;))コミュニティが強くなるのでしょうか。
ちなみに、GCPの場合はリリースにステージを設けていたり、Deprecationのポリシーを用意したりしています。
PaaSとAPIとしての魅力
イベントを通じて感じたのは、IBM CloudとWatsonのPaaSやAPIとしての魅力です。冒頭の方でも書いたように、AIと言っても、Managed APIの形で難しいことわからなくても、APIとして呼び出すだけで結果を得ることができます。TensorFlowとかChainerとかでゴリゴリやりたい人にはまったく向きませんが、短時間でまず結果を得たい人には最適でしょう。うまい領域を攻めているように思います。IaaSとしてIBM Cloud (SoftLayerと言われている部分) をいきなり使うのはあまり無いと思いますので、コグニティブなどの部分から利用を促進していく、そのような方針は理にかなっているでしょう。