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Web制作向けnpm-scripts

Last updated at Posted at 2019-07-07

更新版
Web制作向けnpm-scripts 3

npm-scriptsのWeb制作向けタスクランナー

Web制作は細かいやることが多いので、少しでも自動化して手作業を減らしたいと考えました。

一人で完結する作業であれば、PreprosKoala(開発終了)などGUIのツールや、エディタの標準、拡張機能で実現できる事も多いですが、複数人で作業を行う場合、無駄な作業やトラブルを避けるために環境を統一する、コーディング規約を遵守するなどかなり面倒です。

そこでよく使われるGulpやWebpackですが、学習コストがかかる上に、Web制作ではそこまでの機能はいらない場合が多いので、比較的入門しやすいと感じたnpm-scriptsでWeb制作向けのタスクランナーを作ってみました。

やりたい事

Web制作の効率化のため、作業の自動化を設定します。

HTML CSS JavaScript
変換元 Pug,EJS CSS,Stylus TypeScript
旧ブラウザ対応 - Autoprefixer transpile
SourceMap -
圧縮 -
整形 -
画像ファイルのデータ圧縮
Browser-Syncによるオートリロード
※TypeScriptを使わず、JavaScriptを直接記述するパターンを追加しました。
※この記事内では触れていないのですが、TypeScriptのtranspileが必要な場合、tsconfig.jsonのオプションの設定を行ってください。

altで書いて変換するメリット

HTML、CSS、JavaScriptでは使えない機能が使えます。

メリット
altHTML(Pug,EJS) 条件分岐 ファイルの分割管理 変数の使用 など
altCSS(SCSS,Stylus) ファイルの分割管理 mixin など
altJS(TypeScript) 古いJavaScriptへの変換 型の使用 など

0. 準備

0.1 エディタの設定変更

コードフォーマットやAutoprefixerなどタスクランナーで処理する事は、エディタ側であらかじめ無効にしておいてください。

0.2 Node.jsのインストール

Node.jsのパッケージを使って処理を自動化するので、最初に、Node.jsのインストールを行います。
Node.jsのパッケージ管理ツールのnpm(Node Package Manager)も一緒にインストールされます。
npmを使って、必要なパッケージをインストールしていきます。
Node.js

Node.jsとnpmが正常にインストールされたか確認します。
Windows環境で「Command prompt」を使い、作業を進めていきます。
「Command prompt」は、Mac環境の場合は「Terminal」と読み替えてください。

「Command prompt」を立ち上げ、下記のコマンドを実行し、バージョンが表示されればインストールできています。
(Command promptは場合によっては管理者として起動が必要になるかもしれません。)

$ node -v
$ npm –v

-vは--versionの短縮形で、Node.js、npmの現在インストールされているバージョンを表示します。

0.3 プロジェクトディレクトリの準備

ディレクトリ「website」(任意の名前)を作成し、中に移動します。
npmも一緒にインストールされます。

$ cd (デスクトップなど、プロジェクトを置きたい場所)
$ mkdir website
$ cd website

ディレクトリをnpmの管理下に置きます。

$ npm init -y

initはinitializeを意味します。
-yオプションは、これからされるはずだった質問に、すべてyesと答えるものです。
今回はスキップするため、指定しておきます。
プロジェクトディレクトリのルートにpackage.jsonファイルが生成されます。

0.4. 必要なファイルの準備

src配下のファイルを用意してください。
PugとEJS、SCSSとStylusはそれぞれどちらか片方だけで良いです。
PugとEJSの、includeさせたいファイルがある場合は、_includeディレクトリに配置してください。
※他の設定ファイル群は作業を進めていく時に作成します。

website
├ src
│ ├ pug
│ │ └ index.pug
│ │
│ ├ ejs
│ │ └ index.ejs
│ │
│ ├ _include
│ │ └ _included.pug(_included.ejs)
│ │
│ ├ img
│ │ ├ img.jpg
│ │ ├ img.png
│ │ ├ img.svg
│ │ └ img.gif
│ │ 
│ ├ scss(stylus)
│ │ └ style.scss(style.styl)
│ │
│ ├ ts
│ │ └ main.ts
│ │
│ └ js
│   └ main.js
│
├ package.json
├ package-lock.json
│
├ imagemin.js
│
├ tsconfig.json
│
├ .browserslistrc
│
├ .eslintrc.json 
│
├ .prettierrc.json 
│
├ .stylelintrc.json(.stylintrc.json)
│
└ .stylelintignore 

1. 変換

1.1. HTML

altHTML(EJSまたはPug)をHTMLに変換します。(導入はどちらか片方だけで良いです。)
パーツの共通化を行う都合上、どこから参照されてもいいように、サイト内へのリンクはルートパスで記述します。
ルートパスで書かれたHTMLファイルをそのままブラウザで開くと別ページへのリンクやCSSファイルへのパスが合わないので、確認は1.2.のBrowser-Syncで行います。

1.1.1. EJSをHTMLに変換する場合

Pugを使う場合は飛ばして1.1.2に進んでください。

1.1.1.1. パッケージのインストール

ejs-cliと、chokidar-cliのインストールを行います。

$ npm i ejs-cli -D
$ npm i chokidar-cli -D

ejs-cliはファイル監視機能を持たないので、ファイルの更新を監視して処理を行うchokidarもインストールしています。

キーワード 内容
install(i) 指定したNode.jsのパッケージをインストール
--save-dev(-D) プロジェクトディレクトリ内へのインストールを指定

初回のパッケージインストールは、package-lock.jsonと「node_modules」ディレクトリが生成され、ejs-cli以外のパッケージもインストールされるので、少し時間がかかります。

1.1.1.2. package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "compile:ejs2html": "ejs-cli -b src/ejs/ \"/**/*.ejs\" -o dist/",
  "watch:ejs2html": "chokidar \"src/ejs/\" -c \"npm run compile:ejs2html\" --initial"
}
タスク 処理内容
compile:ejs2html EJSファイルをhtmlファイルに変換(実行時)
watch:ejs2html EJSファイルをhtmlファイルに変換(実行時、EJSファイル変更時)
キーワード 内容
ejs-cliの--base-dir(-b) ベースとなるディレクトリを指定
ejs-cliの--out(-o) 出力先のディレクトリを指定
chokidarの--command(-c) 実行したいタスクを指定
chokidarの--initial ファイルの変更時だけでなく、起動時にも一度実行
ejs-cliは、特に指定しなくても階層構造を維持してファイルを出力します。
1.1.1.3. タスクの実行

下記のコマンドで変換を実行します。

$ npm run watch:ejs2html

dist配下にHTMLファイルが生成されます。
EJSファイルを更新すると、HTMLファイルも更新されます。
確認できたら、Ctrl+Cで処理を終了します。

1.1.2. PugファイルをHTMLファイルに変換する場合

EJSを使う場合は1.1.1を参照してください。

1.1.2.1 パッケージのインストール

pug-cliをインストールします

$ npm i github:pugjs/pug-cli#master -D
キーワード 内容
install(i) 指定したNode.jsのパッケージをインストール
--save-dev(-D) プロジェクトディレクトリ内へのインストールを指定

※本来は、「npm i pug-cli -D」でインストールするところですが、別のPugをincludeしたときにincludeされる側のファイルも別ファイルとして出力されてしまうので、出力されないように改善されたバージョンをインストールしています。

初回のパッケージのインストールは、package-lock.jsonと「node_modules」ディレクトリが生成され、pug以外のパッケージもインストールされるので、少し時間がかかります。

1.1.2.2. package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "watch:pug2html": "pug src/pug/ --hierarchy -o dist/ -w -P"
}
タスク 処理内容
watch:pug2html PugファイルをHTMLファイルに変換(実行時、Pugファイル変更時)
キーワード 内容
--hierarchy 階層構造を保つ
--out(-o) 出力先のディレクトリを指定
--watch(-w) ファイルを監視して、更新がある度に処理を実行
--pretty(-P) インデントを有効化
1.1.2.3 タスクの実行
$ npm run watch:pug2html

dist配下にHTMLファイルが生成されます。
Pugファイルを更新すると、HTMLファイルも更新されます。
確認できたら、Ctrl+Cで処理を終了します。

1.2.Browser-Sync

生成したファイルを確認するため、Browser-Syncを導入します。

1.2.1. パッケージのインストール

Browser-Syncをインストールします。

$ npm i browser-sync -D

1.2.2. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "start:server": "browser-sync start -s dist -w src/*.html src/css/*.css src/js/*.js"
}
タスク 処理内容
start:server Browser-Syncを起動
キーワード 内容
start Browser-Syncを開始する
--server(-s) 開くディレクトリを指定
--watch(-w) 監視するファイルを指定

1.2.3. タスクの実行

$ npm run start:server

ブラウザが立ち上がって、dist/index.htmlが表示されます。
※dist/index.htmlが存在しないと、「Cannot GET /」と表示されます。

Browser-SyncをCtrl+Cで終了します。

1.3. Autoprefixer

ベンダープレフィックスの追加は、SCSSファイルやStylusファイルを汚さないため生成したCSSに適用します。

1.3.1. パッケージのインストール

postcss-cliとautoprefixerをインストールします。

$ npm i postcss-cli -D 
$ npm i autoprefixer -D

(2021/1/30)パッケージのアップデートをしたところ、postcssの8以上を入れるように言われるようになったので、下記も追加

$ npm i postcss -D 

1.3.2. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "compile:css2cssprefix": "postcss dist/css/style.css -u autoprefixer -o dist/css/style.css"
}
タスク 処理内容
compile:css2cssprefix CSSファイルにベンダープレフィックスを追加(実行時)
キーワード 内容
--use(-u) プラグインを指定
--output(-o) 出力先を指定

1.3.3. 設定ファイルの準備

プロジェクトルートに.browserslistrcファイルを作成し、対象ブラウザを記述します。

defaults

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
https://github.com/browserslist/browserslist
.browserslistrcで対象ブラウザを指定する
.browserslistrcに設定した対象ブラウザの確認

コマンドで対象ブラウザを確認することもできます。


$ npx browserslist

まだ、CSSファイルを生成していないので、Autoprefixerの追加処理は実行せずに次に進みます。

1.4 CSS

SCSSファイルもしくはStylusファイルをCSSファイルに変換します。

1.4.1. SCSSファイルをCSSファイルに変換する場合

Stylusファイルを使用する場合は、1.4.2に進んでください。

1.4.1.1 パッケージのインストール

node-sassとnode-sass-globbingとnpm-run-allをインストールします。

$ npm i node-sass -D
$ npm i node-sass-globbing -D
$ npm i npm-run-all -D
1.4.1.2.package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "compile:scss2css": "node-sass src/scss/style.scss --importer node_modules/node-sass-globbing/index.js dist/css/style.css --output-style expanded --source-map dist/css/",
  "compile:scss2cssprefix":"run-s compile:scss2css compile:css2cssprefix",
  "watch:scss2cssprefix":"chokidar \"src/scss/\" --command \"npm run compile:scss2cssprefix\" --initial"
}
タスク 処理内容
compile:scss2css SCSSファイルをCSSファイルに変換(実行時)
compile:scss2cssprefix SCSSファイルをCSSファイルに変換し、Autoprefixを追加(実行時)
watch:scss2cssprefix SCSSファイルをCSSファイルに変換し、Autoprefixを追加(実行時、SCSSファイル変更時)
キーワード 内容
--importer カスタムインポーターのJavaScriptファイルへのパスを指定
--output-style 出力するCSSファイルの整形タイプを選択(nested、expanded、compact、compressed)
--source-map SourceMapを出力する
1.4.1.3. glob

node-sass-globbingは、globという機能を使うために必要です。
globは、同じディレクトリからのimportを行う時ファイル名を個別に指定せずワイルドカードで済ませることができるため、SCSSファイルが増えるたびにimportを記述せずに済みます。

SCSSファイルを個別にインポートする場合

style.scss
@import "layout/_header";
@import "layout/_footer";

SCSSファイルをglobで一括してインポートする場合

style.scss
@import "layout/*";
1.4.1.4. タスクの実行
$ npm run watch:scss2cssprefix

dist/css配下にCSSファイルが生成されます。
SCSSファイルを更新すると、CSSファイルも更新されます。
SCSSファイルの内容と、.browserslistrcの内容次第で、CSSファイルにベンダープレフィックスが追加されます。
確認できたら、Ctrl+Cで処理を終了します。

1.4.2. StylusファイルをCSSファイルに変換する場合

SCSSファイルを使用する場合は、1.4.1を参照してください。

1.4.2.1. パッケージのインストール

stylusとmkdirpとnpm-run-allをインストールします。

$ npm i stylus -D
$ npm i mkdirp -D
$ npm i npm-run-all -D
1.4.2.2. package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "precompile:stylus2css": "mkdirp dist/css",
  "compile:stylus2css": "stylus src/stylus/style.styl -o dist/css/ -m",
  "compile:stylus2cssprefix":"run-s compile:stylus2css compile:css2cssprefix",
  "watch:stylus2cssprefix":"chokidar \"src/stylus/\" -c \"npm run compile:stylus2cssprefix\" --initial"
}
タスク 処理内容
precompile:stylus2css dist/cssフォルダを作成
compile:stylus2css SCSSファイルをCSSファイルに変換
compile:stylus2cssprefix StylusファイルをCSSファイルに変換し、Autoprefixを追加(実行時)
watch:stylus2cssprefix StylusファイルをCSSファイルに変換し、Autoprefixを追加(実行時、SCSSファイル変更時)

stylusでの変換は、dist/cssフォルダが存在しないとエラーになってしまうため、変換の前にmkdirpでdist/cssディレクトリを作成します。

キーワード 内容
--out(-o) 出力先の指定
--sourcemap(-m) SourceMapを出力
1.4.2.3. glob

Stylusはデフォルトでglobに対応しています。
globは、同じディレクトリからのimportを行う時ファイル名を個別に指定せずワイルドカードで済ませることができるため、stylファイルが増えるたびにimportを記述せずに済みます。

stylファイルを個別にインポートする場合

style.scss
@import "layout/_header"
@import "layout/_footer"

stylファイルをglobで一括してインポートする場合

style.scss
@import "layout/*"
1.4.2.4 タスクの実行
$ npm run watch:stylus2cssprefix

dist/css配下にCSSファイルが生成されます。
Stylusファイルを更新すると、CSSファイルも更新されます。
Stylusファイルの内容と、.browserslistrcの内容次第で、CSSファイルにベンダープレフィックスが追加されます。
確認できたら、Ctrl+Cで処理を終了します。

1.5. JavaScript

TypeScriptを記述してJavaScriptに変換するか、直接JavaScriptを記述します。

1.5.1. TypeScriptをJavaScriptに変換する場合

TypeScriptを使わず、直接JavaScriptを記述する場合は1.5.2に進んでください

1.5.1.1. パッケージのインストール
$ npm i typescript -D
1.5.1.2 設定ファイルの準備

tsconfig.jsonを作成します。

$ tsc --init

SourceMapを出力しないので、 // "sourceMap": true,のコメントアウトを解除します。

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
https://www.typescriptlang.org/docs/handbook/tsconfig-json.html
TypeScriptのtranspileが必要な場合、tsconfig.jsonのtargetオプション等で設定を行ってください。

1.5.1.3. package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "watch:ts": "tsc --rootDir src/ts --outDir dist/js -w"
}
タスク 処理内容
watch:ts TypeScriptファイルを監視してJavaScriptに変換
キーワード 内容
--rootDir 入力ファイルのルートディレクトリを指定(--outDirでの出力ディレクトリ制御)
--outDir 出力構造をディレクトリにリダイレクト
--watch(-w) ファイルの変更を監視
1.5.1.4. タスクの実行
$ npm run watch:ts

dist/js配下にJavaScriptファイルと、SourceMapファイルが生成されます。
TypeScriptファイルを更新すると、JavaScriptファイルとSourceMapファイルが更新されます。
Ctrlで処理を終了します。

1.5.2 JavaScriptを直接記述する場合

TypeScriptを使用する場合は、1.6に進んでください。

1.5.2.1 パッケージのインストール
$ npm i cpx -D
1.5.2.2. package.jsonへの追記
package.json
"scripts": {
  "watch:js": "cpx \"src/js/*.js\" dist/js/ -w"
}
タスク 処理内容
watch:ts src/js/配下のJavaScriptファイルを監視してdist/js配下にコピー
キーワード 内容
--watch(-w) ファイルの変更を監視
1.5.2.3. タスクの実行
$ npm run watch:js

dist/js配下にJavaScriptファイルがコピーされます。
JavaScriptファイルを更新すると、JavaScriptファイルが再度コピーされます。
Ctrlで処理を終了します。

1.6. 画像

使用する画像を圧縮して容量を削減します。
TinyPNGなどのWebサービスを使うことでも削減可能ですが、追加や変更の度に手間がかかるためnpm scriptsで処理します。

1.6.1. パッケージのインストール

imagemin-cli、imagemin-keep-folder、imagemin-mozjpeg、imagemin-pngquant、imagemin-gifsicle、imagemin-svgoをインストールします。

$ npm i imagemin-cli -D
$ npm i imagemin-keep-folder -D
$ npm i imagemin-mozjpeg -D
$ npm i imagemin-pngquant -D
$ npm i imagemin-gifsicle -D
$ npm i imagemin-svgo -D

1.6.2. 設定ファイルの準備

プロジェクトルートにimagemin.jsを配置します。

imagemin.js
const keepfolder = require('imagemin-keep-folder');
const mozjpeg = require('imagemin-mozjpeg');
const pngquant = require('imagemin-pngquant');
const gifsicle = require('imagemin-gifsicle');
const svgo = require('imagemin-svgo');

keepfolder(['src/img/**/*.{jpg,png,gif,svg}'], {
  plugins: [
    mozjpeg({
      quality: 85
    }),
    pngquant({
      quality: [.7, .8]
    }),
    gifsicle(),
    svgo()
  ],
  replaceOutputDir: output => {
    return output.replace(/img\//, '../dist/img/')
  }
});

1.6.3. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "watch:img": "chokidar \"src/img/**/*\" --command \"node imagemin.js\" --initial"
}
タスク 処理内容
watch:img 画像の圧縮(実行時、ファイル変更時)

1.6.4. タスクの実行

$ npm run watch:img

dist/imgディレクトリ配下に容量が削減された画像ファイルが生成されます。

1.7 distディレクトリの削除

以前の作業で生成したファイルがdistに残っているとトラブルにつながる恐れがあるため、削除します。

1.7.1. パッケージのインストール

rimrafをインストールします。

$ npm i rimraf -D

rimrafは、ファイルやディレクトリの削除を行います。

1.7.2. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "delete:dist": "rimraf dist"
}
タスク 処理内容
delete:dist 実行時に、distディレクトリを削除

1.7.3. タスクの実行

$ npm run delete:dist

distディレクトリが削除されます。

1.8 ファイルのコピー

HTML、CSS、JavaScriptの以外にもdist配下に生成したいファイルがある場合に毎回手動でコピーするのは手間になるので、src配下に配置しておいてコピーします。
今回は、sitemap.xml、robots.txt、humans.txt、manifest.json、favicon.ico、apple-touch-icon.pngをコピーするようにします。

1.8.1 パッケージのインストール

1.5.2でcpxをインストールしていない場合はインストールが必要です。

$ npm i cpx -D

1.8.2. package.jsonへの追記

1.5.2.2. ではファイルを監視して、変更がある度にファイルコピーを行っていましたが、あまり変更が入らないファイルのコピーを想定しているので、-w オプションは付けません。

package.json
"scripts": {
"copy:sitemapxml": "cpx \"src/sitemap.xml\" dist/",
"copy:robotstxt": "cpx \"src/robots.txt\" dist/",
"copy:humanstxt": "cpx \"src/humans.txt\" dist/",
"copy:manifestjson": "cpx \"src/manifest.json\" dist/",
"copy:faviconico": "cpx \"src/favicon.ico\" dist/",
"copy:apple-touch-iconpng": "cpx \"src/apple-touch-icon.png\" dist/"
}

1.8.2. タスクの実行

$ npm run copy:sitemapxml

srcフォルダ直下にあるsitemap.xmlがdist直下にコピーされます。
実行時にはsrcフォルダ直下にsitemap.xmlを置くのを忘れないようにしてください。

1.9. タスクの連携

これまで、個別に作成してきたタスクを、同時に実行できるように組み合わせていきます。
・HTML、CSS、JavaScriptへの変換を同時に行います。
・CSSファイルにはAutoprefixerを適用します。
・Browser-Syncで、変換されたファイルをブラウザのリロードなしに表示します。
・連携タスクの実行前に、distディレクトリの削除を行い、favicon.icoなどコーディング時に変更の少ないファイルのコピーを行います。

1.9.1. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "prewatch:all": "run-s delete:dist copy:sitemapxml copy:robotstxt copy:humanstxt copy:manifestjson copy:faviconico copy:apple-touch-iconpng",
  "watch:all": "run-p watch:pug2html watch:scss2cssprefix watch:ts watch:img start:server"
}

タスク 処理内容
prewatch:all distディレクトリを削除(実行時)、指定ファイルのコピー
watch:all PugをHTMLに変換、SCSSをCSS(Autoprefix追加)、TypeScriptをJavaScriptに変換もしくはJavaScriptをコピー、画像を圧縮し、Browser-Syncを起動
EJSファイルを使用している場合はwatch:pug2htmlをwatch:ejs2htmlに変更してください。
Stylusファイルを使用している場合はwatch:scss2cssprefixをwatch:stylus2cssprefixに変更してください。
JavaScriptを直接記述している場合はwatch:tsをwatch:jsに変更してください。

1.9.2. タスクの実行

$ npm run watch:all

Ctrl+cでタスクを終了します。
※dist/index.htmlが生成されているのに、ブラウザに「Cannot GET /」と表示される場合はリロードしてみてください。

2. 整形

2.1. SCSSの整形

2.1.1. パッケージのインストール

stylelint、stylelint-scss、stylelint-config-recommended-scss、stylelint-order、prettier、stylelint-config-prettier、stylelint-prettierをインストールします。

$ npm i stylelint -D
$ npm i stylelint-scss -D
$ npm i stylelint-config-recommended-scss -D
$ npm i stylelint-order -D
 
$ npm i prettier -D
$ npm i stylelint-config-prettier -D
$ npm i stylelint-prettier -D
パッケージ 内容
stylelint stylelint本体
stylelint-scss stylelintのscss用ルールを使う
stylelint-config-recommended-scss SCSS用のルールセット
stylelint-order プロパティの順番を整える
prettier prettier本体
stylelint-config-prettier Prettierと競合する可能性があるStylelintのルールを無効化
stylelint-prettier StylelintルールとしてPrettierを実行

2.1.2. 設定ファイルの準備

.stylelintrc.jsonを準備します。

.stylelintrc.json
{
  "extends": "stylelint-config-prettier",
  "plugins": [
    "stylelint-order",
    "stylelint-prettier"
  ],
  "rules": {
    "prettier/prettier": true,
    "indentation": 4,
    "declaration-colon-newline-after": null,
    "value-list-comma-newline-after": "never-multi-line",
    "order/properties-alphabetical-order": true
  }
}

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
.stylelintrc

プロジェクトルートに.prettierrc.jsonを準備します。

.prettierrc.json
{
  "semi":  true,
  "trailingComma":  "all",
  "singleQuote":  true,
  "printWidth":  120,
  "tabWidth":  4,
  "useTabs": false,
  "proseWrap": "preserve",
  "endOfLine": "auto"
}

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
.prettierrc

.stylelintignoreファイルを作成します。
※特定のディレクトリを排除する場合のみ

.stylelintignore

(対象外にしたいディレクトリ名)

2.1.3. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "lint:scss": "stylelint \"**/*.scss\"",
  "format:scss": "stylelint --fix \"**/*.scss\""
}
タスク 処理内容
lint:scss SCSSファイルの構文をチェック
format:scss SCSSファイルの構文をチェックし、修正する
キーワード 内容
--fix コードを修正

2.1.4. タスクの実行

$ npm run format:scss

2.2 Stylusの整形

2.2.1. パッケージのインストール

stylus-supremacyとstylintをインストールします。

$ npm i stylus-supremacy -D
$ npm i stylint -D

2.2.2. 設定ファイルの準備

プロジェクトルートに.stylintrc.jsonを作成します。

.stylintrc.json
{
  "blocks": false,
  "brackets": "never",
  "colons": "always",
  "colors": "always",
  "commaSpace": "always",
  "commentSpace": "always",
  "cssLiteral": "never",
  "customProperties": [],
  "depthLimit": false,
  "duplicates": true,
  "efficient": "always",
  "exclude": [],
  "extendPref": false,
  "globalDupe": false,
  "groupOutputByFile": true,
  "indentPref": false,
  "leadingZero": "never",
  "maxErrors": false,
  "maxWarnings": false,
  "mixed": false,
  "mixins": [],
  "namingConvention": false,
  "namingConventionStrict": false,
  "none": "never",
  "noImportant": true,
  "parenSpace": false,
  "placeholders": "always",
  "prefixVarsWithDollar": "always",
  "quotePref": false,
  "reporterOptions": {
    "columns": ["lineData", "severity", "description", "rule"],
    "columnSplitter": " ",
    "showHeaders": false,
    "truncate": true
},
  "semicolons": "never",
  "sortOrder": "alphabetical",
  "stackedProperties": "never",
  "trailingWhitespace": "never",
  "universal": false,
  "valid": true,
  "zeroUnits": "never",
  "zIndexNormalize": false
}

設定は適宜変更してください。
https://www.npmjs.com/package/stylint

2.2.3. package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "format:stylus": "stylus-supremacy format src/**/*.styl -p .stylintrc.json -r"
}
タスク 処理内容
format:stylus 画像の圧縮(実行時、ファイル変更時)
キーワード 内容
format Stylusファイルをフォーマット
--options(-p) 独自のフォーマットオプションを指定
--replace(-r) Stylusファイルを上書き

2.2.4. タスクの実行

$ npm run format:stylus

2.3. TypeScript、JavaScriptの整形

2.3.1. パッケージのインストール

eslint、@typescript-eslint/parser、@typescript-eslint/eslint-plugin、prettier、eslint-config-prettier、eslint-plugin-prettierをインストールします。
※prettierは2.1.ですでにインストールしている場合は、インストール不要です。

$ npm i eslint -D
$ npm i @typescript-eslint/parser -D
$ npm i @typescript-eslint/eslint-plugin -D

$ npm i prettier -D
$ npm i eslint-config-prettier -D
$ npm i eslint-plugin-prettier -D
パッケージ 内容
eslint eslint本体
@typescript-eslint/parser ESLintがTypeScriptコードをチェックできるようにする
@typescript-eslint/eslint-plugin TypeScriptのESLintルール
prettier prettier本体
eslint-config-prettier prettierと矛盾する可能性があるESLintのルールを無効化
eslint-plugin-prettier ESLintルールとしてPrettierを実行

2.3.2. 設定ファイルの準備

プロジェクトルートに.prettierrc.jsonを作成します。
2.1.ですでに作成している場合は不要です。

.prettierrc.json
{
  "semi":  true,
  "trailingComma":  "all",
  "singleQuote":  true,
  "printWidth":  120,
  "tabWidth":  4,
  "useTabs": false,
  "proseWrap": "preserve"
}

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
https://qiita.com/iewori/items/8a08678b86e69dba233b

.eslintrc.jsonファイルを作成します。

.eslintrc.json
{
  "parser": "@typescript-eslint/parser",
  "extends":[
    "plugin:@typescript-eslint/recommended",
    "prettier/@typescript-eslint",
    "plugin:prettier/recommended"
  ],
  "parserOptions":  {
    "ecmaVersion":  2018,
    "sourceType":  "module"
  }
}

設定は下記URLを参考に適宜変更してください。
https://eslint.org/docs/user-guide/configuring

2.3.3 package.jsonへの追記

TypeScriptの場合はlint:tsとformat:ts、JavaScriptの場合はlint:jsとformat:jsを記述してください。

package.json
"scripts": {
  "lint:ts": "eslint src/ts/**/*.ts",
  "format:ts": "eslint src/ts/**/*.ts --fix"

  "lint:js": "eslint src/js/**/*.js",
  "format:js": "eslint src/js/**/*.js --fix"
}
キーワード 内容
--fix コードを修正

2.3.4. タスクの実行

TypeScriptの場合はnpm run format:ts、JavaScriptの場合はnpm run format:jsを実行してください。

$ npm run format:ts

$ npm run format:js

2.4 altCSS、altJSの一括整形

2.4.1. package,jsonへの追記

"scripts": {
  "format:all":"run-p format:scss format:ts"
}
タスク 処理内容
format:all SCSSとJavaScriptの整形
Stylusを使用する場合は、format:scssをformat:stylusに変更してください。

2.4.2. タスクの実行

$ npm run format:all

3. 本番公開対応

本番公開時に不要なSourceMapファイルの削除、CSSファイルとJavaScriptファイルのminifyを行います。

3.1. パッケージのインストール

$ npm i uglify-es -D
$ npm i clean-css-cli -D

uglify-esはJavaCsriptの圧縮
clean-css-cliはCSSの圧縮

3.2 package.jsonへの追記

package.json
"scripts": {
  "min:css":"cleancss -o dist/css/style.css dist/css/style.css",
  "min:js": "uglifyjs dist/js/main.js -o dist/js/main.js",
  "delete:map":"rimraf dist/**/*.map",
  "prepare:all":"run-p min:js min:css delete:map"
}
タスク 処理内容
min:js main.jsを圧縮(実行時のみ)
min:css style.cssを圧縮(実行時のみ)
delete:map SourceMapファイルを削除(実行時のみ)
prepare:all main.jsとstyle.cssを圧縮し、SouceMapファイルを削除(実行時のみ)
キーワード 内容
uglifyjsの--output(-o) 出力するファイル名を指定
cleancssの--output(-o) 出力するファイル名を指定

4. 制作環境の共有

共同作業者とタスクランナーを共通化します。
コードフォーマットやAutoprefixerなど、これからタスクランナーで処理する作業は、エディタ側であらかじめ無効にしておいてください。

4.1. package.json、package-lock.jsonの共有

package.json、package-lock.jsonをプロジェクトディレクトリに配置します。

4.2. パッケージのインストール

package-lock.jsonの情報をもとにパッケージの一括インストールできます。

$ npm ci

5. パッケージ管理

パッケージの個別のアップデート

$ npm update (アップデートしたいパッケージ名)

パッケージのアップデートは仕様が変わる場合があるので、注意が必要です。
メジャーアップデートなど、そのままアップデートできない場合は一度アンインストールして再インストールすると最新版 にできます。

パッケージのアンインストール


$ npm uninstall (削除したいパッケージ名)

最新になっていないパッケージを一覧表示

$ npm outdate

npm自体のアップデート

$ npm update npm

パッケージの一括アップデート

$ npm update

パッケージのアップデートは仕様が変わる場合があるので、注意が必要です。

6. まとめ

Web制作時

$ npm run watch:all

コード整形時

$ npm run format:all

公開前

$ npm run prepare:all

dist配下のファイルをそのままアップロードする

リポジトリ
https://github.com/takeshisakuma/npm-scripts_for_webdesign

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