0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

即戦力化 ディープラーニング実習(音声合成)

Posted at

【おまけ2】音声合成(txt2speech)

講義目録:即戦力化 ディープラーニング実習

はじめに

本記事では、テキストを音声に変換するAI(音声合成、Text-to-Speech: TTS) を体験します。

テキストから音声を自動生成するTTS技術は、近年大きく進化しており、
ナビゲーション音声、アナウンサーの代替、ボイスアシスタント(Siri, Alexa等)など、実生活でも広く使われるようになってきました。

今回も、Hugging Faceで公開されている音声合成モデルを使って、
日本語の文章を読み上げる実習を行います。

Google Colab上で動かすことで、環境構築の負担なく実行できます。
特に、AIに「自分の書いたテキスト」を読ませるという体験は、深層学習の理解を楽しく直感的にしてくれるはずです。

Google Colabへのリンク


実習の目的

  • 日本語の音声合成モデルをGoogle Colabで動かす
  • テキストを自然な音声に変換するTTSモデルの使い方を学ぶ
  • 生成された音声ファイル(WAV形式)をColab上で再生する
  • 音声合成AIの仕組みと応用可能性に触れる

実習のコード(音声合成:日本語)

それでは、テキストを音声に変換し、WAVファイルとして再生する実習を行いましょう。

google colab で動くコードは次の通りです。

# 1. 音声合成用ライブラリのインストール
!pip install -q --force-reinstall git+https://github.com/myshell-ai/MeloTTS.git
!python -m unidic download

google colab の場合、いったんセッションの再起動をし、上記セル(コード)を再実行してください。

再起動しないと、次のセルでエラーが発生してしまいます。

from melo.api import TTS
from IPython.display import Audio

tts = TTS(language="JP", device="auto")  # 初回のみ重みDL
wav = "japanese.wav"
tts.tts_to_file("おはようございます。今日は良い天気ですね。", tts.hps.data.spk2id["JP"], wav)

Audio(wav) 

✅ 実行結果

上記のコードを実行すると、指定したテキストが読み上げられた音声が再生されます。
生成された音声は output 変数にWAV形式で保存されており、Colab上で直接再生が可能です。

それにしても、なんというか……。日本人離れした日本語発音ですよね。

このあたりはもっと新しく、規模の大きいモデルを使えばよくなります。

注意事項

音声の出力にはGPUがあると高速ですが、CPUでも動作可能です。

音声が再生されない場合は、Runtime > Restart and run all を試してください。

実習のコード(音声合成:英語)

日本語の次は、英語の音声合成(Text-to-Speech, TTS)を体験しましょう。

アメリカ英語(US)とインド英語(India)の両方で同じ文章を読み上げて、発音や抑揚の違いを観察します。

まず、必要なライブラリをインストールし、モデルを読み込みます。

!pip install -q --upgrade nltk
import ssl, nltk
ssl._create_default_https_context = ssl._create_unverified_context  # ← Colab 用
nltk.download("punkt")                          # 文分割モデル
nltk.download("averaged_perceptron_tagger_eng") # 品詞タガー(英語用)

english_model  = TTS(language="EN", device="auto")   # ← ここを EN

2. 英語を米国アクセントで音声合成

続いて、米国アクセントを指定して、音声合成を行います。

発音する文は、Good morning! How are you today? にしました。

text = "Good morning! How are you today?"
spk_us = english_model.hps.data.spk2id["EN-US"]      # ← American
wav = "en_us.wav"
english_model.tts_to_file(text, spk_us, wav)
Audio(wav)

聞き取れましたか?
では、米国英語とインド英語との違いを体験してみましょう。

spk_india = english_model.hps.data.spk2id["EN_INDIA"]
wav = "en_india.wav"
english_model.tts_to_file(text, spk_india, wav)
Audio(wav)

実習結果の比較

  • 同じ文でも、話者のアクセント(US vs India)やイントネーションが異なりますね。ディープラーニングの実習だけではなく、英語の知識まで増えました。やったね!

  • 実社会では、地域や文化に応じた発話スタイルが求められる場面があり、TTSモデルはそれに対応可能です。

補足:音声合成AIの仕組みと応用可能性

音声合成(Text-to-Speech, TTS)は、文字列(テキスト)を自然な音声に変換する技術です。
その裏では、深層学習を用いた複数のモデルが連携し、人間らしい発話を実現しています。


🔧 音声合成AIの仕組み(典型的な3段階)

TTSシステムは、以下のような段階で動作します:

1. テキスト前処理(Text Analysis)

  • 入力された文を単語や音素に分解(トークン化)
  • アクセント、イントネーション、ポーズなどを文法から推定
  • 多くのTTSモデルは、音素表記(phoneme) という発音記号に変換して処理します

2. 音響特徴量の生成(Acoustic Modeling)

  • テキストの特徴から、メルスペクトログラムなどの音響表現を生成
  • Tacotron, FastSpeechなどのモデルが使われます
  • 感情・話者のスタイル(速さ・高低)もこの段階で学習可能

3. 音声波形の生成(Vocoder)

  • 音響特徴量を、実際の音(波形)に変換する
  • WaveNet, HiFi-GAN, VocGAN などの「ボコーダ(vocoder)」と呼ばれるモデルを使用

例:今回使用した facebook/mms-tts-jpnTTS(language="EN") も、この流れを内部で処理しています。


🧠 最近のTTSモデルの進化

近年のTTSは、以下のような特徴を備えています:

  • マルチスピーカ対応:話者ごとの音声を1つのモデルで切り替え可能(例:US英語、インド英語など)
  • エンドツーエンド化:テキスト→音声までを一つの深層モデルで完結(例:VITS)
  • 感情・スタイル制御:怒り・悲しみ・喜びなどの感情表現も可能に
  • 多言語モデル:1つのモデルで多数の言語をカバー(例:MetaのMMS)

🔊 音声合成AIの応用可能性

TTSは多くの実社会タスクに応用され始めています。

分野 応用例
教育 読み上げ教材、英語リスニング練習、読み聞かせアプリ
アシスタント系 Siri、Alexa、Google Assistant などの会話応答
医療 音声合成による患者案内、高齢者向けの読み上げ支援
バリアフリー 視覚障がい者への情報提示、駅の自動音声案内
ゲーム・メディア キャラクターボイス、ナレーション、YouTubeナビ音声、自動動画生成BGM
法律・契約文書 長文ドキュメントの読み上げによる内容確認(監査・読み聞かせ用途)

🔭 今後の展望

  • 感情合成:話し方や気分を指定して表現の幅を広げる
  • ゼロショット話者合成:声のサンプル1つで誰でも再現(音声クローン)
  • リアルタイム生成:ストリーミング処理による会話AIの即時音声応答

音声合成AIは、「テキスト情報を声で伝える」という点で、
人とAIのインタフェースとして極めて重要な役割を担い始めています。

🔭 次回予告:

次回【第7週】からは、CNN編へと突入です。

主に自然言語を扱うRNNから、主に画像を扱うCNNの実習を行います。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?