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Markovモデルでロケットリーグ大会(RLCS)でのレートを求める。

Last updated at Posted at 2022-06-04

はじめに

この記事では、レーティングシステムである、Markovモデルを紹介する。

そして、この方法を使ってロケットリーグのレーティングを求めてみる。

Markovモデル

Markovモデルは名前の通り、Markov連鎖をもとに考えられたモデルである。

まず初めに、自分の利用したい試合結果からの統計量$V_{ij}$を考える。
例えば次のようなものが考えられる。

  • チームiがチームjから取った総得点
  • チームiがチームjに勝利した回数
  • チームiがチームjより多くとった点差

そして、統計量をnormalizationした行列$N_{ij}$を作成する。

N_{ij} = \frac{V_{ij}} {\Sigma_j V_{ij}}

行列Nに次のような行が残っている場合は、行列の大きさnを利用して次のように変換する。

\text{if } N_{ij} = 0 (j=1..n) \text{ then } N_{ij} \rightarrow \frac{1}{n}

このようにしてできた行列を$S_{\alpha_0}$とする。そのほかの統計量に関しても同様に$S_{\alpha_1}$、$S_{\alpha_2}$...という風に導出し、それぞれの線形結合を次のように取る。

S = \Sigma_j \alpha_j S_{\alpha_j} 

この時、

\Sigma_j \alpha_j = 1 (\alpha_j > 0) 

また、Sがirreducibleではない場合には、次のような変換を施すことでSをirreducibleにする事ができる。

S \rightarrow \beta S + \frac{1 - \beta}{n} E (0\le\beta\le1)

ここまで出来たらあとは、

S^{T} \vec{r} = \vec{r}

という固有値問題を解けば、レート$\vec{r}$が求まる。

例題(RLCS)

いつもの通り、ロケットリーグチャンピオンシリーズのデータ(シーズンX North America GroupA)を使ってレートを導出してみる。

今回はこれらの統計量を利用することにした。

  • 試合での得点数
  • ショットを打った数
  • ボールの支配率

これらのデータを用いてレートを算出すると次のようになった。

order team name rate
1 RGE 0.240
2 SQ 0.217
3 V1 0.215
4 OXG 0.201
5 VOLT 0.126

これまでのモデル(MasseyEloなど)のレートと順位が大きく違っているのが見て取れる。
例えば、SQはこれまでのレートでは4位にランクインしていたが、このレート導出方法では2位となっている。これは、SQはボールの支配率もよくシュートを打つチャンスが多くあるが、決定打にかける為試合に勝てていない事が分かる。このように、レートの導出だけでもいろいろ考察できそうである。

おわりに

今回のMarkovの方法は、自分の好きな統計量を組み合わせることができるので、とても汎用的であると感じた。
次回は、このMarkovの方法の一種であるPage Rankのモデルについて触れようと思う。

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